歴史・民族

2021年9月26日 (日)

中国不動産バブルの行方はどうなる????

Chineseclaimer

コロナ禍になってから、株価の上昇が天井知らずだ。不況対策として世界的に金融緩和をやっている関係でお金がだぶついていて、猫も杓子も株式投資に熱心だ。特に少額でスマホから投資ができるようになった関係で、個人投資家の参入が著しい。こうしたなか、先週世界的に少しだけ株が暴落した。きっかけは中国だった。

中国の不動産デベロッパーである恒大集団が経営危機に直面しているのだ。この企業は国が所有する土地を仕入れてマンション開発を進め、中国の不動産バブルを追い風に急成長。2020年に物件販売面積で2位になった。不動産以外にも、映画制作や自動車製造、ヘルスケアなど幅広く事業を展開。傘下のサッカーチーム、広州FCは2度のアジア王者に輝く強豪で、元イタリア代表DFのカンナバロ氏が監督を務める。この絵に描いたようなバブリー企業が、33兆円もの負債を抱えて、利払いの度に経営危機が叫ばれているのである。

報道によれば、中国当局は地方政府に対し、恒大集団の経営破綻に備えるよう指示しているようだ。中共は巨額の債務を抱える同社の救済に二の足を踏み、経営破綻による経済・社会的影響をにらんで対策を進めているようだ。前々から資金繰りに行き詰まっているという噂があった企業なのだが、ギリギリまで引っ張っていたところ、ついにデフォルトの危機が目の前に来たということだろう。

こういう場合、対応は2通りある。1つは政府による救済(国有化)。もう一つは完全整理(倒産、解体して営業譲渡)である。通常は後者が多く、事業ごとに他社に営業譲渡されたりするのだが、あまりに影響が大きいと取り付け騒ぎになって、他社も連鎖的に経営悪化を招いてデフォルトの嵐になってしまう。そうなると手がつけられないので、その前段で政府による救済策、いわゆる徳政令が発せられる。おそらく、資本主義国家と異なって中共による怪力が発せられる可能性が高い。一時的に国有化して分社化されるという流れだ。

日本のバブルは100兆円もの負債を抱えていた。それに比べれば、世界第2位のGDP国家が33兆円を肩代わりするのは難しいことではない。しかし、日本でも100兆円の負債のうち、最初に焦げ付いた6.4兆円あまりの負債を処理するために、大もめにもめた、いわゆる住専問題だ。住専とはバブルの真っ最中に投機的な不動産投資を行っていたノンバンクだ。正にバブルの急先鋒で、多くは都市銀行や農林系金融機関が出資した会社が派手に土地や建物の転売をやっていた。当然最初に負債が焦げ付いた。これを精算するために、政府与党は税金6700億円を投入して処理したのだ。6.4兆円すべてを税金で面倒見たわけではなく、親元の銀行にも手分けして精算させた訳だが、これには国民が大激怒した。そう、バブルで散々踊って勝手に損をした成金崩れの連中(会社)を、なんで血税を入れて助けるのか(実際は潰したのだが)、そういう不満である。一般庶民はボーナスが増える以外、バブルの恩恵はほとんどなかったのだから、当然の怒りである。当時の国民は連鎖倒産というリスクに疎く、潰れるべきものは潰せ、税金は1円も使うなというのが既定路線だったのだ。

その後、さらに負債が表面化する度に政府の動きが注目されたが、住専問題処理で政府与党も官僚(大蔵省)もトラウマを負ってしまい、それ以降は税金投入による救済はできるだけやらない方向で進んだ。細かく言うと、公的資金を資本投入して一時的に返済能力を高めることがあっても、それが完了したら投入した資本部分は国に返してもらう、一時的に税金を投入するが全額返して貰うという行き方だ。結果、状態が非常に悪い山一証券、北海道拓殖銀行は経営破綻で消滅、日本長期信用銀行はハゲタカファンドに10億円で買い取られて、新生銀行として2200億円以上で売り飛ばされるなど、バブルの精算を代表するような結果となった。大蔵省による「銀行は1行も潰さない」という神話が崩れた瞬間であった。

こうした日本の過去の状況に照らし合わせると、中国バブルの担い手はかつての日本のノンバンクそものであり、恒大集団の救済は住専処理のようなものである。これだけ大きくなった中国バブル、はじけるはじけると言いながらもう5年ぐらい続いていたが、大手が潰れると一気に潮目が変わるのは過去も今も同じだ。恒大集団をうまく処置できたとしても、バブルの精算はさらに続くことになるだろう。また日本が国際社会で資金調達を行う際にジャパンプレミアムという余計な金利を取られて苦しんだのだが、もし中国のバブルが弾ければ同様な道を歩むことになる。

日本のバブル崩壊は日本人には大きな痛手で、経済の没落要因となったが、世界経済には何の影響も及ぼさなかった。日本国内でお金がグルグル回っていて、損をしたのは日本人そのものだったからだ。今の日本政府負債もほとんど日本人が持っていて、いざとなれば外国に借金することにはならない。現在の中国の不動産バブルも、踊っているのは中国人で、しかも個人が結構な投資の担い手になっている。だからデフォルトしても世界恐慌にはならない。中国人が損しておしまいなのだ。一方でもしバブルが完全に弾けると負債者が億人単位で出てくる。中国人がそもそも不動産投資など元本保証ではない、損すれば自己責任であるということを100%知った上でやっているなら良いのだが、どうも写真の中国人はそう見えない。投資したからには必ずリターンがあると信じ切っているようだ。それで暴れ始めたら、手がつけられないが、たぶん、香港のように、国民に銃口を向けて弾圧するのだろう。

2021年9月11日 (土)

テロとの戦いから20年経過、結局は憎しみと虚無感だけが残った

911pentagon

https://ameblo.jp/poohoowoo/image-12597864645-14760609675.html より

テロ攻撃を受けたペンタゴン(2001年9月11日)

 

今でもハッキリと覚えている。2001年9月11日(火)。慶は晩飯も風呂も終わり、テレビ朝日のニュースステーションを見ていた。番組が始まって台風のニュースを流してしばらく経過した時だろうか、突然ニューヨークから世界貿易センターで事故があったということで、CNNの生中継映像に切り替わった。晴天の青空に高くそびえ立つ世界貿易センタービルが映し出されたが、ビルの上部からモクモクと黒煙が出ている。情報によると、飛行機がビルにぶつかったということだった。どうも事故かなというような報道ぶり。確かにアメリカは個人で飛行機を所有する人が多いので、セスナあたりが間違ってビルにぶつかってしまったのかなと思ってみていた。この時点で、特に大騒ぎするような状況ではなかった。ニュースステーションは関東に上陸した台風のニュースばかり。しかし、こっちは事故の方が気になるので、NHKに切り替えた。こちらは引き続きアメリカからの中継映像を流している。ビル火災が相当ひどそうなので、中の人が煙に巻かれては大変だろうな、特にぶつかったところの上の階の人は下に逃げれないので大丈夫だろうかという感じで眺めていた。

しかし、このNHKの生中継を眺めていたら、いきなり画面の右側から旅客機が猛スピードで現れて、今度は煙が出ているところの下の階にそのまま突っ込んで大爆発を起こした。中継のアナウンサーも悲鳴を上げている。たった今、2機目が突っ込んだとの情報だ。おいおい、一体何が起きているのかさっぱり分からない。これは映画のワンシーンなのか、現実なのか分からなくなってきた。このままずっと中継が続いて、番組はさながら世界貿易センターの事故中継で終わってしまった。しかし、ぶつかったのは紛れもなく旅客機だ。こんな街中で低空飛行するわけがない。加えて同じビルに2機突っ込むなど有り得ない。解説委員は冷静に言葉を選びつつ、状況証拠から判断するとテロの可能性が高いとのことであった。23時を過ぎると、さっきまで煙を吐いていた場所のタワーがなくなっていて、情報によると倒壊してしまったということだ。これは大変だ、全員死亡に違いない。加えて、ペンタゴンでも自動車が爆発して被害が出ていること、さらに別の航空機がハイジャックされているとの情報が次々に入って来る。ブッシュ大統領もテレビカメラの前で、「いまアメリカが何者かに攻撃を受けた」と語っていた。そうか、やっぱりテロか。これは大変だ。とりあえず夜も遅いので、一旦寝ることにした。9月12日(水)、朝起きてテレビを付けると、全テレビ局において、あらゆる角度から飛行機がビルに突っ込む映像、あのペンタゴンが壊れている映像を次々に流して、同時テロが発生と伝えていた。なんともおぞましい映像だ。人が多数乗った飛行機がビルに突っ込んで跡形もなく爆発する映像はひどすぎる。世界中に米軍を展開するペンタゴンに飛行機が突っ込んで一部とはいえぶっ壊れるとか。一体誰が、なんのためにこんな大胆不敵でひどい仕打ちをするのだろうか、怒りだけがこみ上げてきた。

それからの展開はご存じのとおりである。イスラム原理主義のアルカイダが実行組織だということが分かった。ビンラディンが首謀者で、今はアフガニスタンに潜伏しているということも徐々に分かってきた。アメリカは報復に燃えて、またタイミングが悪いことに、当時のブッシュ政権はネオコンと呼ばれる右派強硬派で固められていたので、アフガニスタンへの軍事攻撃準備に入った。それから今年で20年。アルカイダも壊滅させられ、イラクもとばっちりで潰された。しかし、イラクもアフガニスタンも、アメリカが侵攻して民主的な政府を樹立すると意気込んだものの、880兆円近い戦費を投入しても民主的な政府は根付かず、米軍兵士はゲリラ攻撃で命を落とした。そして、ついに先月アフガニスタンからアメリカが撤退して、元のタリバン政権に逆戻りしてしまった。
アメリカが蟻地獄のようなテロとの戦いで足踏みしている間に、中国がしたたかに国力を上げて、気がつけばアメリカを追い落とす位置まで肉薄してきた。もうテロとの戦いで中東の無政府国家に入れ込んでいる余裕はなくなってきた。中国包囲網を早く構築しなければ、アメリカはさらに没落してしまう。それだけ、テロとの戦い作戦は、ベトナム戦争同様に、アメリカの国力を削ぐ結果となってしまった。ここから言えることは、アメリカはゲリラ戦にめっぽう弱いということだ。無人機による幹部殺害もさんざんやってきたが、結局民間人を誤爆したり、次の反米活動人の台頭を促すばかりで、何も解決しなかった。憎しみの連鎖は絶対に切れないということを思い知らされたということだろう。

Twenty years have passed since the war on terror, and in the end, only hatred and emptiness remain
 

I still remember very clearly Tuesday, September 11, 2001. Kei was watching a night TV program "News Station". The program started with the news about the typhoon, and then suddenly it switched to CNN's live coverage of the accident at the World Trade Center from New York. The World Trade Center building towering high in the clear blue sky was shown, but black smoke was coming out of the top of the building. According to the information, a plane had hit the building. It seemed to be an accident. Since many people in the U.S. own their private airplanes, I wondered if the Cessna had hit the building by mistake. At this point, there was nothing to fuss about. The "News Station" was all about the typhoon that had hit the Kanto area of Japan. However, I was more concerned about the accident here, so I switched to NHK. NHK continued to show the news from the US. The fire in the building seemed to be quite severe, and I wondered if the people in the building would be okay if they were engulfed in smoke, especially the people on the floor above where the fire hit.

However, while I was watching this live broadcast by NHK, a passenger plane suddenly appeared from the right side of the screen at a very high speed, and this time it rammed straight into the floor below where the smoke was coming from, causing a huge explosion. The announcer was screaming. A second plane had just crashed into the building. I have no idea what's going on here. I don't know if this is a scene from a movie or reality. The broadcast went on and on, and the program ended up being a live broadcast of the World Trade Center accident. After 11:00 p.m., the tower where the smoke had been coming from was gone, and according to the information, it had collapsed. This is a disaster, everyone must be dead. In addition, we were told that a car had exploded at the Pentagon, and that another plane had been hijacked. President Bush also said in front of the TV cameras that U.S. had been attacked by anyone. So it was a terrorist attack. This is a serious matter. When I woke up 7 a.m. and turned on the TV on Wednesday, September 12, all the TV stations were showing images of airplanes crashing into buildings one after another, telling us that there had been simultaneous terrorist attacks. The images were horrifying. The image of a plane with many people on board crashing into a building and exploding without leaving any trace was horrible. I was filled with anger and wondered who could have done such a terrible thing.

The rest of the story is as you know. It turned out that Al Qaeda, an Islamic fundamentalist group, was the organization responsible. We gradually learned that Osama bin Laden was the ringleader and that he was now hiding in Afghanistan. The U.S. was bent on retaliation, and also because of the bad timing, the Bush administration at that time was made up of right-wing hard-liners so-called "neocons", and they began to prepare for a military attack on Afghanistan. This year is 20 years since then. Al-Qaeda has been destroyed, and Iraq has been crushed in the aftermath. However, in both Iraq and Afghanistan, although the U.S. was determined to invade and establish a democratic government, no democratic government took root even though nearly 880 trillion yen was spent on the war, and U.S. soldiers lost their lives in guerrilla attacks. Finally, the U.S. withdrew from Afghanistan last month, and the country reverted to the original Taliban regime.
While the U.S. is stalling in its anthill-like war against terrorism, China has been steadily increasing its national strength and has found itself in a position to overtake the U.S. We can no longer afford to be absorbed in the anarchy of the Middle East in the fight against terrorism. If we don't quickly build a siege network around China, the US will fall even further. That's how much the war on terrorism has reduced America's national strength, just like the Vietnam War. What can be said from this is that the U.S. is extremely weak in guerrilla warfare. We've done a lot of drone strikes to kill top officials, but it didn't solve anything, because it only led to the mistaken bombing of civilians and the rise of the next anti-American activist. I guess this is a reminder that the cycle of hatred can never be broken.

2021年6月25日 (金)

文在寅政権は左翼の仮面を被った極右、全体主義者である

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テレビのニュースとネットのニュースを見ていると、外国関係の記事の扱い方にかなりズレがあることを感じる。元々インターネットの記事は、フリーのライターが跋扈している関係もあって、記者個人の性格が反映されたものが多い。それを割り引いても、かなり偏向的な記事が出ているものだと思って良く調べると、外国のメディアの記事をそのまま受け売りで流しているケースが多いのだ。特に韓国や中国のメディアが日本についていろいろ書いた記事を盛んに流しているケースがみられる。

中国は共産党系のメディアしかないので、偏向報道は当然であるが、それよりひどいのが韓国メディアである。テレビでは滅多に流れない韓国メディアの記事は読むだけで反吐が出そうなヘイト記事ばかりだ。最近もアメリカ大統領と会食した文大統領のメニューはカニで、ハンバーガーだった日本の管総理より好待遇だったとか、G7で管総理が端っこにいて、文大統領が真ん中にいるように狙ったカットをネットに流したら南アフリカ大統領を意図的にカットしてしまったとか、まあひどい内容である。ひねくれた小学生の書くような、非常に低レベルの歪曲報道ばかりなのだが、なぜ日本のインターネットメディアはそれを取捨選択することなく大量に垂れ流すのだろうか。

いずれにしても、この韓国の反日は、実態は広義の人種差別、ヘイトに他ならない。日本政府が無視を決め込んで何も抗議しないので言いたい放題状態である。確かに現在は左翼政権でタチが悪いし、ヘイト体質はほとんど国民病なので相手にするだけ無駄なのは分かるが、せめて日本国内にこうしたヘイト記事が横行しないように、メディアの資質を問うことぐらいはした方が良い。テレビでいうところのBPOが、ネットニュースでも必要なのではないか。
それにしても、この文の左翼政権を見ていて、1つ腑に落ちないことがある。どこの国でも、為政者が外国勢力を非難して国民の人気取りをする場合は、例外なく右翼思想の持ち主がやっているものだ。直近ではトランプがそうだった。同盟国をタダ乗りだとか、貿易黒字でアメリカの雇用を奪っているなど、妄想に近い難癖で人気取りをやっていた。日本でも石原慎太郎が典型で、直近では百田尚樹あたりがそうだが、とにかく中国や韓国を小馬鹿にして人気取りを行う。これが右翼思想人のやる人気取りの常套手段である。
しかし、韓国の文政権は左翼である。これは正直おかしい。通常左翼は右翼を攻撃する。日本で言えば、共産党や立憲民主党が自民党をクソミソ言って全否定するのと同じだ。文政権は、それまでの保守勢力と徹底して闘って潰そうとしているので、一見左翼に見える。しかし、裁判官も思想で選んで介入するし、検察を平然と潰しにかかったり、そこから離反した大統領候補を貶めようと司法権を使い倒したりして、権力乱用・非民主的に振る舞っており、これは権力欲に飢えた右翼の常套手段である。トランプも閣僚の首ばかり切って職権乱用だった。そうなると、文政権は右翼か左翼かハッキリしないように見えるが、外国勢力をことさら攻撃しているということは、間違いなく右翼、それも極右の査証だろう。文が攻撃している韓国保守勢力というのは、日本では中道右派程だ。朴槿恵も反日をやっていたが、アメリカが出てきたらすっと引っ込めた。それは普通の保守勢力の態度だ。
極右は民族主義、排外主義、歴史修正主義をとるので、その意味では間違いなく文政権は極右だ。そして、反対勢力を駆逐できた瞬間に突然豹変して全体主義へと衣替えするのだ。この時が南北統一のチャンスである、北朝鮮による南朝鮮の赤化・全体主義化が完了し、西側陣営を離れて 中国の版図へと組み込まれるのである。アメリカの足下から西側陣営のおいしいところだけ吸い取って、さっさと中国の版図に鞍替えするとは実に都合の良い行き方であるが、浮気性の女のようにどんどん威勢の良い客に見境無く乗り換えてゆくのが正に朝鮮の歴史なのである。果たしてアメリカの政治家や情報機関のどれだけが、この韓国の本質を見極めているのか怪しいモノだ。もちろん、政治はリアリズムの世界なので、駐韓米軍がある限り、韓国の都合で自由に中国へ鞍替えすることなどできっこない。 

 

2020年9月30日 (水)

日本民族の成立過程ー1/2

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慶もこのブログでだいぶ歴史や民族について独自の視点で語ってきたところである。日本人のルーツにこだわってきたところもあって、かなり弥生時代に傾注した記事が多数並んでいるところだ。しかし、ルーツとなると、そもそも日本列島に人類が降り立ったところから論議しないといけない。弥生時代の前史、縄文時代や旧石器時代については、自分で書いた記事がほとんどない。そこで、今回は思い切り遡って、人類の起源、旧石器時代から縄文時代までを一気に振り返ってみたい。

そもそもであるが、現生人類、いわゆるホモ サピエンスが出現したのは今から12万年前、アフリカ大陸中央部で、人類はそれから遙かなる拡散の旅を続けてきた。アフリカを出発した人類は、主に4方向へ散らばった。一つはそのままアフリカに留まった人類。これは現在のアフリカ大陸の黒人が直系の祖先である。また、一度アフリカを出たのち、イランの辺りから、西、すなわちヨーロッパ方面へ移動したのがコーカソイド、いわゆる今の白人である。また、海岸沿いにインドを経由して、さらに海を渡ってオーストラリアやニュージーランドへ移動したのがアボリジニの直系である。イランの辺りから東、広大なユーラシア大陸を分散しながら東進したのがモンゴロイドだ。当然だが、我々日本人の祖先、縄文人はこのモンゴロイドの直系である。

人類がアフリカを出発した時点から、日本列島は島国である。大陸から海を渡って上陸しないと日本列島にはたどり着けない。アフリカから遠く、かつ離島ということで、人類が進出するにはハードルが高いお土地柄だ。では、日本列島にモンゴロイドが上陸したのはいつ頃か。これは教科書的には3万5千年前と言われている。なぜなら、長崎県佐世保市の福井洞穴から、日本列島最古である、3万2千年以上前の石器(サヌカイト)が出土しているからだ。石器となれば、自然に出来たものではないし、そもそもサヌカイトは香川県で出土する鉱石であり、それが長崎県に自然と飛来したり流れ着くことはない。間違いなく、上陸した人類が、石器を見つけて流通させていた証拠である。しかも、この洞窟は津波が来たり、あるいは地滑りを起こすような大規模な地震が起きそうにない場所で、時間通りに地層が積層している。すなわち、やらさせはまず絶対にない。人類、日本人の祖先が、3万2千年前に存在した絶対的な証拠である。ただし、石器や土器や壁画が出てきたから、全部それは現世人類であるホモ サピエンスであったとは断定できない。なぜなら、今は絶滅しているネアンデータル人やデニソワ人についても、ホモサピエンスに近い能力を持っていたことが分かってきたからである。例えば8万年前の石器が出てきたから、それが即縄文人とは断定できない。場合によってはデニソワ人が上陸して作成したものの可能性も捨てきれないからだ。ただ、日本人にデニソワ人のDNAがみられるという証拠は今のところないので、この可能性は低い。沖縄あたりから島伝いに本土へとホモ サピエンスが入り込んで来たようだ。

そこはさておき、日本列島に上陸した現世人類の直系である縄文人であるが、種々の状況証拠からアイヌ人と完全に同じらしい。アイヌ人というのは、江戸時代まで北海道に前史以来の生活様式を保持し、混血もなく暮らしていた。なんと明治時代にはアイヌ民族を取り扱うために、「北海道旧土人保護法」なる法律もあったほどである。しかし、まだ混血が進む前のアイヌ人の写真を見て、腑に落ちない人が多いかもしれない。アイヌ人は毛深く、まるで西洋人のように目鼻立ちがしっかりとしており、今の現代日本人とは似ても似つかない。服装なども、日本の伝統様式とはかなり異なり、装飾が多く、動物の皮革や羽を多用している。そもそも遺伝子解析技術が発達する前は、アイヌ人はコーカソイド、すなわち今の白人やインド人の祖先と同じだと思われていたのである。学術的には、人類が移動を開始した当時の外部形態を保持しているので、彫りの深い形質をしていたと言われる。アメリカで記録されている縄文人の直系であるアメリカインディアンも、アイヌ同様に掘りの深い顔立ちで毛深く、今の日本人とは似ても似つかない。今の日本人は弥生時代に大陸から押し寄せたのっぺり顔の弥生人と掘りの深い縄文人の混血なので、顔つきや体格が大きく変わってしまったという風に解釈されている。
弥生時代に元々日本列島に居住していた縄文人は、「毛人」と記されている。まさにアイヌの人々の形質を良く言い当てている表現だ。毛深く彫りの深い古モンゴロイドである縄文人と、寒冷地適応を果たしたのっぺり顔の弥生人は、間違いなく日本列島内部で混血が進んだ。原始的な狩猟民族である縄文人と、水田農耕を主とする弥生人のハイブリッドが現代の日本人の直系の祖先である。

2020年8月15日 (土)

民主主義の戦後総括

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終戦後75年、実に長い月日が過ぎ、戦争を経験した世代がほとんど居なくなり、戦争の悲惨さを継承することが困難になってきている。沖縄戦、東京大空襲、広島と長崎の原爆被爆者慰霊、終戦記念日の式典など、戦争を振り返るイベントは毎年行われるが、戦争の後に我々日本人が歩み始めた「戦後体制」に関する総括はあまりなされていない。

日本人が戦争のあとに、占領軍であるGHQ、ほぼすべてはアメリカの基本路線であったが、そこから真っ先に大規模に導入したのは「自由と民主主義」である。元々大正から昭和初期までは、日本にも日本版デモクラシー(民主主義)が進んでいたのだが、1930年代後半から台頭した軍部が実権を握ってからは、天皇を頂点とした「専制・独裁・軍事優先」が進行して、残念ながら民主主義から大きく離脱してしまった。戦争中の日本は今の北朝鮮のような行き方だったのだ。従って、戦後の日本の体制は、一にも二にも「民主主義で行く」というもので、日本人の腹は完全に固まっていたと言える。

しかし、完全なる民主主義体制というものを日本はほとんど経験したことがなく、結果的にアメリカから制度も含めて直輸入することとなった。ところが、なぜか国体の方はアメリカ方式が採用されず、イギリス式の議会制民主主義がほぼ踏襲されて、天皇の象徴化と関与の解除だけが行われている。アメリカ式の民主主義がそっくりそのまま輸入されたのは、都道府県や市町村などの地方自治体だ。こちらは首長を直接住民が選挙で選出する「ミニ大統領制」が採用された。また警察も基本的に自治体に所属することとなり、都道府県職員となった。教員も義務教育は市町村職員で、高校は県職員となった。警察と教育を国から切り離したのは、戦争中の専制によるイデオロギー統制と国民監視を排除させるためであろう。さらにアメリカ式民主主義で、これまで日本にはなかった制度として、チェック機能の付与がある。元々江戸時代には旗本であっても相互監視制度があったのだが、明治以降は国民監視になって権力者(政治家や行政官)は事実上特権階級として野放しだった。アメリカのそれは制度や組織として独立したもので、これのおかげで地方議員なる巨大なポストができあがったし、学校ではPTAという摩訶不思議な組織も作られた。また労働者を保護するために、労働省という聞いたことのない役所が作られて、この地方出先機関である労働基準監督署というのが、企業の雇用環境についてギラギラ目を光らす制度も作られた。

こうしたアメリカ直輸入で導入された民主主義とそれに伴う新しい制度や組織は、戦後75年経過して、日本に受け入れられて、うまく機能するのようになっているのだろうか?アメリカとて、75年前の民主主義は未熟なものであった訳で、我々はそれを日本仕様に変更する努力をして、軋轢を生まないようにすべきだろう。しかし、実態を見ると、首長は元タレントか中央官僚のお下がり、PTAなどは完全に形骸化して本来の目的の活動は全然やっていないし、労働基準監督署も労働時間と労災を監視するばかりで、雇用環境の変化から労働者を守ることについては無力だ。就職氷河期世代を生み出したのは制度の不完全さを象徴している。結局労働組合があるのなら、労基署という組織は要らず、労組から警察もしくは弁護士に不当労働などを通報して裁判(中央労働委員会)で裁く制度でもつくれば良いのではないかという気がする。最も困るのが議員で、これは完全に既得権益、サラリーマン化して、腐敗の温床となっている。地方議員の政務費の無駄使いや癒着は目を覆うモノがある。特に昨今は都市部近郊でケバいおばちゃん議員がボコボコ増えて、まるでかつての労組における「だら幹」の状態に陥っている。

従って、戦争の悲惨さを振り返るのは当然としても、アメリカ直輸入の民主主義という制度の疲労度を検証し、これを正して、我々日本人が安定的にかつコスパよく運営できる体制を模索するべきではないだろうか。特に地方自治体の体制を大きく変えることが必要だ。

2020年6月 7日 (日)

慰安婦問題のメッキがごっそり剥がれた

Teitaikyokorea  

韓国の反日運動の総本山である慰安婦問題において、その活動の急先鋒で日韓関係を泥沼に落とし込んできた悪名高き「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連、元挺対協)の前リーダー尹美香(ユン・ミヒャン、先の総選挙で国会議員に当選)が、告発されて検察の捜査が入っている。告発したのはなんと元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さん(92)である。あのトランプ大統領が来韓した際に抱擁したご当人だ。韓国では慰安婦像は反日活動の象徴的虚像、シンボルであるのだが、李さんは生仏だ。当然韓国では被害者中の被害者ということでリスペクトされている。その当人が2度も記者会見して、挺対協時代から尹美香に利用されるだけ利用された、慰安婦のことなど全くケアせず金を横取りしてきたとメガトン級の告発をしたのである。

韓国検察は3つの疑惑で捜査している。

1)政府の補助金と国民の募金が、会計書類に記載されなかった「会計不正」疑惑

2)資金の一部が、尹氏の個人口座にたびたび入金されたという「横領」疑惑

3)尹氏が、慰安婦被害者休養施設を高値で購入して親族に運用益を出させていたという「背任」疑惑

 コレが日本の国会議員で発生したなら間違いなく議員辞職どころか、ブタ箱へ直行、所属政党は支持瓦解である。まだ捜査中とはいえ、反日運動の中心人物がコレだったとは空いた口が塞がらない。

ただ日本側の挺対協に対する評価は、慰安婦問題をダシにして反日運動を煽る政治団体の代表格であり、しかも代表の尹氏の夫や妹は北朝鮮のスパイと接触して告発された経緯があるなど、北朝鮮の対南宣伝工作の影響を強く受けている真っ赤な団体であると言うものだった。それが慰安婦自身にハシゴを外されたというか三行半を突きつけられたわけで、化けの皮が剥がれたというものだろう。何も驚きはない。

しかし問題がさらにややこしくなりそうな雰囲気だ。今の韓国の与党は文在寅率いる従北政権で、挺対協も内輪である。すでに疑惑のオンパレードの尹議員の擁護に回っている。しかも政権与党は検察を潰して三権分立から離脱して北朝鮮型の独裁国家を目指している最中だ。コレを保守勢力が仕掛けてきた権力闘争と位置付けて問題のすり替えを謀る魂胆だ。あとは騙されやすい国民がどこまで付き合ってくれるかだが、生仏の慰安婦が告発したのを掌返しで潰して支持が得られる訳がない。すでに政権与党の周辺から、挺対協幹部を告発した元慰安婦の李さんに対する報復ともとれる非難中傷が始まっている。今まで崇めて利用してきた癖に自分たちに不都合な存在とみるや排除の方向に舵を切るとは仁義のカケラもなく、我々日本人から見ると理解不能な行動と言うほかない。政権与党にタテついたことが、挺対協をはじめとした進歩派として許さないという論法である。それにしてもその誹謗中傷は酷い。

「認知症、ぼけている」「本当に大邱の人らしい」「親日おばあさん」「倭寇の後えい」などと罵倒状態だ。結局のところ、慰安婦問題で騒いでいるのは、韓国によくある被害者ビジネスに加担している連中で、慰安婦問題に正面から向き合うつもりは微塵もなく、デマを並べ立ててコトを悪くして、その対策で政府から出てくる金や募金を横取りしたり、自身の立身出世に利用しているだけのことなのである。この内ゲバに日本が首を突っ込むと権力闘争にすり替えられてしまうので無視して、オフィシャルにはただただ日韓合意を守れと言い続ければ良いのだ。

この流れだと、戦時半島出身労働者の件でも、同じように被害者をダシにして日本企業や日本政府から金を巻き上げようとしている勢力がうじゃうじゃいるので、同じようなメッキ剥げ事件が起きそうである。

 

 

 

2020年3月 6日 (金)

神話の代における九州、出雲、近畿勢力の関係について

日本の公式歴史書である「古事記」「日本書紀」の神話の代では、意味不明な神が続々出てきて、なかなか正直複雑怪奇で難解である。しかし、結局のところは、高天原と葦原中国という地理的に離れた2つの大きな勢力があり、前者は九州もしくは近畿地方、後者は間違いなく出雲のことを示している。葦原中国が出雲であることは、異伝のところでずばり出雲と書かれていること、現代の山陽と山陰地方が「中国地方」と呼ばれていることからも容易に想像できる。ここは議論の余地はないのだが、問題は高天原が九州なのか近畿なのかハッキリしないことである。単純に伝承で出てくる地名や中国側の文献などを並べれば、北部九州=高天原ということになる。

ただ一つ言えることは、出雲が先進地で、高天原勢力にとって、軍事力をもって侵略し、勢力下に置かねばならぬほど、重要地域であったことである。なぜそうなのか考えると難しいのだが、それまで天地川に神を宿らせる縄文のアミニズム、その延長線上で出てきた「銅剣・銅鐸崇拝スタイル」から、集落統治者としての有力者を現人神として生前も死後も崇拝する文化が始まった時、巨大な古墳を築いて宗廟とし、永続的な統治手法の一つにしてしまったという部分が大きいのではないか?その先進地がまさに出雲であったのである。現人神として祀られないと、あれほど巨大な人力を使って古墳を築造することなど不可能である。ここに神という名の下での巨大な統率力の存在が覗える。

この物的証拠もある。出雲では西暦0年前後に、突然銅剣や銅鐸が一度に山奥へ遺棄されている。わざわざバツ印を刻印して人里離れた山奥に埋めたのである。これは集落の統治者が突然交代し、それまで当たり前だった銅剣や銅鐸を崇拝するアミニズム思想が宗教弾圧の標的にされたからに違いない。中世のキリスト教弾圧のようなものだ。

 

現人神の文化で支配されてしまうと、死後もその血縁者が崇められてしまう。別の血筋が権力を継承するために、その神を廃して自らが新たな神になれば良いのだが、「神を廃すると祟る」というのがネックになる。実際に古事記や日本書紀でも、祟りによる災いをことさら忌み嫌っている記載があちこちにみられる。アミニズムが現人神に乗り換えられているので、そう簡単に祀ってある御霊を廃することはできない。そうすると、既存の神に自らの系譜を接いで、事実上簒奪したり、あるいは分祀して遠ざけたりする必要が生じる。おそらく国譲りというのは、こうした崇拝対象の神を簒奪する過程の話だと思われる。

高天原の有力地である北部九州には、元々女酋を崇めて統治に使う手法があり、それは卑弥呼の存在からもうかがい知れる。近畿勢力の支配下に入っていたと思われる狗奴国は男王であった。アマテラスが女神にされたもの、この九州(高天原)の女酋崇拝の影響と思われる。しかし、卑弥呼の墓でさえ径100歩で、ただの円墳だと思われる。伊都国の女王クラスでさえ、墓は他の身分の低い庶民と大きく変わらないほどちっぽけなものである(埋葬品は豪華だが)。一方、出雲の方は石張りの四隅突出型方墳で、実に巨大で神々しく輝いていたと思われる。この統治エッセンスを得るためには神を簒奪する必要があるのは誰でも分かる話である。

 

倭国大乱で北部九州から宮崎あたりの田舎に疎開していた天孫の傍流は、出雲系統の統治が内部紛争で緩んだ隙を狙って、遠賀川河口の勢力と一体化して、大和盆地への移住を行った(いわゆる神武東征)。紆余曲折があったものの、出雲系の国津神の有力氏族に婿入りすることができ、そこで統治拡大をはかるようになった。恐らく、その後も九州から邪馬台国の傍流がこのつてで続々と近畿入りしたことであろう。ここで出雲本家の統治エッセンスを得たウガヤフキアエズの末裔は、出雲の石張り方墳と従来の円墳を結合させた、前方後円墳を近畿地方で一気に築造して、勢力を急拡大した。前方後円墳が西暦200年代後半から急に作られてきたことを考えれば、この頃に南九州のウガヤフキアエズの子供が入り婿して、天津神を自称しながら勢力拡大をはかったのだろう。

 

2019年11月14日 (木)

狗奴国のその後について考察

弥生時代に邪馬台国という、未婚のおばさん巫女を女王に担いだ、30カ国連合が日本に存在し、中国の魏王朝と通交していた。このブログで何度も論議して来たが、日本の国家としての萌芽期の話で、とても重要な出発点論議である。しかし、文献資料が中国側のものしかないので、日本側の照合可能な証拠がない。国内で古墳は多数あるが、倭人は文字を一切使っていなかったので、墓誌など重要な記録情報がなく、誰の墓なのかさえ良く分からない(大王クラスであっても)。弥生時代の墳丘墓や円墳から出てくるものと言えば、貝殻ブレスや銅剣ぐらいなものだ。当然文字など全くない。よって、邪馬台国論議は解決していない。今回は、この邪馬台国と呼ばれている、女王国と対立して、決して属していないが、三国志に国として記載されている狗奴国について考察する。実は三国志には30カ国記載されているが、「王が居る」と書かれているのは、邪馬台国のほか、伊都国と狗奴国の3カ国だけだ。狗奴国は王様の名前まで記されるなど相当重要な国なのだが、過去にほとんど考察されていない。

狗奴国も女王国同様に場所が比定できないと良く言われるが、慶は完全にウソだとみている。狗奴国は現在の熊本県である。ククチ彦(= 鞠智彦=菊池彦)が官僚名なのである。時代が少し降った隋の時代に、阿蘇山が見えるところに邪馬台国があると記載されているが、それは菊池川流域、今の山鹿市・菊池市あたりのことである。実際に菊池川流域では、巨大な装飾古墳が大量に残っている。またこの菊池川流域にある江田船山古墳から、獲加多支鹵大王(雄略天皇)に仕えていた証拠の鉄剣が出土している。5世紀の時点で、この地区が既に大和王権の支配下にガッツリ入っていたとの物証である。

このことから、慶は、狗奴国は3世紀に邪馬台国と半島交易を巡って利害対立していたが、中国王朝と繋がっている邪馬台国とは分が悪く、その直後、狗奴国が自国領の安全保障のために近畿天皇家の軍事的支配下に入り、その後、卑弥呼が他界して邪馬台国が没落したどさくさに紛れて邪馬台国を併合したとみている。この邪馬台国併合の過程で、邪馬台国という地名が筑後平野から菊池川流域へ移動しているのではないか。この狗奴国による邪馬台国併合の過程が、景行天皇による九州縦断の物語として残っているのだろう。

狗奴国の最有力候補は、山鹿市内にある「方保田東原遺跡」であろう。この遺跡は、菊池川とその支流の方保田川に挟まれた台地上に広がる弥生時代後期から古墳時代前期に繁栄した大集落遺跡である。これまでの調査の結果、幅8mの大溝をはじめとする多数の溝や100を超える住居跡、土器や鉄器を製作したと考えられる遺構が見つかっている。数多くの青銅製品や鉄製品が出土しており、山陰地方や近畿地方など西日本各地から持ち込まれた土器なども出土している。菊池川中流域の拠点的な集落で、山陰や近畿地方、すなわち当時急拡大していた大和王権の勢力下にあったと考えられる。

後漢書では、狗奴国を邪馬台国が集まる北部九州から渡海した東側(山口県あたりか)としている。三国志では渡海した先には倭種がいると書いてある。そうすると、後漢書は倭種を狗奴国と読み替えているようだ。要するに、中国には朝貢せず、交易関係が無かったということで、倭種も狗奴国も同類と見ているのである。実はあの長い三国志の倭人条の中に、一箇所だけ「大倭」という単語が出てくる。この大倭は恐らく邪馬台国とは別物で、近畿大和王権のことだと思われる。中国側とすれば、朝貢して来ない勢力について無視して記載する必要はないが、邪馬台国に東から近畿天皇家の力が及びつつあるのをちゃんと知っていたと思われる。そして、この時代倭種あるいは狗奴国と呼ばれていた勢力が、5世紀に入ると倭の五王として中国王朝に朝貢してくるのである。

筑後平野の邪馬台国を簒奪した勢力は、5、6世紀ごろかなり豪勢だったようで、豪華な装飾古墳群が今でも残っている。石人という、埴輪から発展した巨大オブジェも墓の周りに巡らせるだけでなく。内装も豪華だ。そうした装飾古墳には、船と馬と馬具や盾などが良く描かれている。特に船に馬が乗っている絵がある。この説明として、朝鮮半島から馬を盛んに輸入していたような説明があるが、慶はそう思わない。恐らくこのk狗奴国の本拠地である菊池川流域、阿蘇山の麓で、輸入馬の繁殖と販売を行っていたと思われる。馬は船に乗せて、近畿天皇家へ献上あるいは販売されていたに違いない。この熊本県の豪族は、石室としても貴重な阿蘇ピンク石を畿内まで船で輸送していた事実があるから、馬を運ぶのも得意だったであろう。

その後、北部九州の勢力のうち、三井県の勢力が朝鮮半島との独自交易でより豪勢になり、近畿天皇家もこれに危機感を覚えて、西暦528年に磐井の乱という形で潰しにかかる。普通なら東から攻めてきた敵に対して、逃げるなら同じ装飾古墳群で文化的に同じ菊池川流域以南へ行きそうだが、磐井は豊前の方へ逃げている。菊池川流域の勢力は、古代から豊前方面への陸路で繋がっていたので、同胞に近い三井の勢力を自分の領土から山越えで逃がしたのかもしれない。

 

2019年9月17日 (火)

新唐書の記載からも邪馬台国九州説が立証可能

日本の公式歴史書である「古事記」「日本書紀」では、現在の近畿天皇家の初代である神武天皇が、南九州から東征したと書いてある。そこに至る過程については、神話のところに散々書いてあって、これが正直複雑怪奇でさっぱり分からない。

日本国が成立した8世紀頃に、遣唐使たちができたてホヤホヤの「日本書紀」を当時の唐王朝へ献本して、その内容が中国側の記録にも転載されている。ただ向こうもこの意味不明の神話のところの解釈には悩んだようで、あまりに長く、登場人物も多いので、結果をざっくりとまとめている。それによると、日本側で言うところの「アマテラス」が初代で、その32世がウガヤフキアエズの尊で、この「阿海」=「天津神」 一族は筑紫城にずっと居て代々中国に朝貢していたが、ウガヤフキアエズの子供の神武が大和州へ移動して初代天皇となったと書かれている。

これはあくまで中国側の解釈ではあるが、この結論に至るまでに日本側の代表者と質疑応答がなされている筈なので、そう間違った解釈ではなかろう。ここで大事なことは、アマテラスからウガヤフキアエズの尊まで32世代、ずっと九州にその一族が居て、中国に朝貢したことのある、倭奴国の末裔であると解釈されていることだ。そうなると、あくまで当時の中国側の解釈ではあるが、高天原=九州=邪馬台国という解釈になる。そして、その32世、すなわち傍流が大和盆地へ移動して統一王朝を樹立して、このたび唐王朝に朝貢したとなる。全く切り口は異なるが、やはり邪馬台国は九州にないとこうした説明が難しい。

アマテラスからウガヤフキアエズまで32世となっているので、これについても考えてみる。そもそも、この32世代が正しいかどうかは検証しようがないが、とりあえず本当だとして、当時の寿命から推定すると、だいたい100年が3世代ぐらいに相当する。よって、アマテラスからウガヤフキアエズまでおおむね300年間ほどの期間があったと思われる。仮にだが、倭奴国として最初に朝貢した西暦57年頃、アマテラスもしくはその子が王をやっていたとした場合、西暦300年ぐらいにウガヤフキアエズが登場し、その子が大和へ移動したことになる。中国側の文献で言えば、卑弥呼から台与の邪馬台国が文献記載から消えた頃に相当する。しかもだが、この頃から確かに近畿地方を中心に前方後円墳が盛んに築造されるようになり、景初4年の年号が書かれた鏡がバンバン国内で作られて配られている。それは、丁度、崇神天皇の時代に符合するのである。東征した神武(崇神)が、「オレは中国公認の王家の後裔である」という威光をちらつかせて統治を進めたことが想像できるのである。そうなると、ウガヤフキアエズ=神武天皇=崇神天皇ということになるのではないか。
個人的には、ウガヤフキアエズの初代が高天原から九州南部へと追い出されたことが気になる。元々北部九州のどこから日向まで流れたのか、そこの解明が必要ではないか。

2019年8月15日 (木)

憲法9条の生い立ちと今後を考える

選挙の度に、政策に関する世論調査の質問項目の一つとして、良く「憲法改正」が論議の遡上に上がってくる。与党自民党に支えられた安倍政権は、いわゆる改憲勢力である。改憲のハードルは高く、国会の議席の2/3を押さえると、念願の憲法改正ができるということで、発足時から改憲について不退転の決意で臨んでいる。しかし、アンケートの結果を見ると、日本人のほとんどが憲法改正を主要な政策とは考えていない。ほとんど福祉と経済対策など、民生向上を主要な政策課題と位置づけていて、これは戦後ずっと変わらない。

では、なぜに憲法を改正する必要があるのか。実は憲法改正について、全面的に見直すという話は全く出ておらず、ほぼすべての議論が憲法9条の扱いだ。学校でも教わる憲法9条。そこには、明確に非武装と戦闘禁止が書かれている。現在の自衛隊が憲法上ほとんど違憲状態のなかで、ロシア、中国、北朝鮮の挑発を押し返すためには、現行憲法のままで拡大解釈を続けることは厳しい。これを、保守層である自民党は、「アメリカに押しつけられた非現実的な条文」として、改正したがっている。安倍総理の爺さんである岸元総理(これも右翼思想)が憲法改正にこだわっていたことは有名である。この憲法9条が制定された背景を知らないと、憲法9条の改正の話もすすまないのだが、マスコミの論調はもっぱら「是か非か」の2択の論議ばかりだ。これでは国民の判断材料にはならない。なにぶん、日本のマスコミも大方左翼に支配されている嫌いがあるので、どうしても改憲に反対という方向性での偏向報道になってしまう。慶はそういう是か非かではなく、なぜ憲法9条がこの内容になったのかをもっと知ったうえで、論議して判断しましょうという考えである。
実は現在の憲法9条の制定に深く関わったのは、幣原喜重郎である。幣原はGHQのマッカーサーと1946年1月24日に会談し、今後の日本の方向性としての平和主義を提案する。具体的には、皇室制度の保持と戦争放棄の考えをマッカーサーに述べたとされる。このあたりの経緯は、幣原の秘書官をやっていた平野三郎氏が、幣原の死亡直前に病床で聞き取った内容があり、それを憲法調査会へ「幣原先生から聴取した戦争放棄条項等の生まれた事情について」という形で報告している。いわゆる「平野文書」と呼ばれているものである。真偽は必ずしも確定できないのだが、内容から言ってほぼ事実関係に沿っていると判断される。
↓参考サイトです
https://www.benricho.org/kenpou/shidehara-9jyou-text.html

そこには、幣原の壮大な平和観が述べられている。非武装、交戦権放棄を言い出したのはマッカーサーではなく幣原自身だ。幣原の頭の中には天皇制の存続がまず第一にあった。しかし連合国の中でも、オーストラリアやニュージーランド、果てはソ連までが、戦争の主犯者である天皇を法廷で裁いて廃さないと戦争は終わったことにならないと強烈に反発していたことが、どうにも気がかりであったようだ。これは天皇制の存続の方が、日本統治のためには便利であると考えていたマッカーサーも同様であり、マッカーサーが連合国の強硬派との板挟みになり、結局天皇制を廃止しようという流れにならないように、先手を打った訳だ。幣原は、「豪州その他の国々は日本の再軍備を恐れるのであって、天皇制そのものを問題にしている訳ではない。故に戦争が放棄された上で、単に名目的に天皇が存続するだけなら、戦争の権化としての天皇は消滅するから、彼らの対象とする天皇制は廃止されたと同然である。もともとアメリカ側である豪州その他の諸国は、この案ならばアメリカと歩調を揃え、逆にソ連を孤立させることが出来る」「この構想は天皇制を存続すると共に第9条を実現する言わば一石二鳥の名案である」と自画自賛している。そう、天皇制を存続させるために、非武装・戦争放棄をうたい、同時に天皇の象徴化、すなわち政治的な無力化が書き込まれているのである。
また病床にあった幣原自身、「この考えは僕だけではなかったが、国体に触れることだから、仮にも日本側からこんなことを口にすることは出来なかった。憲法は押しつけられたという形をとった訳であるが、当時の実情としてそういう形でなかったら実際に出来ることではなかった。」と述べて、あえてアメリカから押しつけられたという形をとって国内を説明したようだ。
実は天皇を実政治の世界に引きずり出したのは明治政府であって、元々日本の天皇は、歴史のほとんどでシンボル的な存在であり続け、実権は征夷大将軍に渡しきっていた。だから、昭和憲法では、単に元に戻っただけのことである。既に象徴天皇制が国民の生活に根付いている現状をみれば、象徴天皇制の引き替えになった憲法9条は現実の国際情勢に合わせて見直しても構わないだろう。当時は連合国のオーストラリアが心配していたが、いまは世界の国々が日本の軍事力にどう評価を与えるかをみて判断したら良いのだ。侵略する側からみれば、非武装・戦争放棄の国の方が易々と侵略できるので便利なのだろうが、今のように平和憲法を掲げておいて、一方で米軍が進駐し、自衛隊が立派な軍隊として存在するダブルスタンダードな状態はむしろ世界の反感を招く。せめて自衛権だけでも憲法で保障して自衛隊の存在を認め、一方で極度に米軍に依存した安全保障体制からは脱却する、これしか選択肢はないのではないか。
幣原は自衛権さえも放棄したような条文になっていることに対し、平野からこれで敵に攻められたらどうするのですかと問われて、「死中に活だよ」と答えている。要するに、核兵器という絶対殺戮兵器が出てきた以上、核兵器を使われたらおしまい。だから、通常兵器で自衛しようとしても無駄だから、国際社会に平和の理念を訴えて、その理念を掲げることで、核に勝る抑止力にするしかないという願いが込められている。慶も理想としてはそうだと考える。しかし、ロシア、中国、北朝鮮という、平和とはおおよそほど遠い悪の枢軸国家に囲まれて、日々領空侵犯や領海侵入を許して実際に領土をかすめ取られている現状があり(同盟国の韓国にさえ)、また平和憲法の理念を理解してくれる同盟国が周りにない日本の地理的条件では、やはり今の9条では持たないのである。
ただ、まだ改憲する前に、外交力で侵略する意図を持った国にそれを思い留めさせることはできる筈だ。実は日本はまだ外交力を存分には発揮できていないので、外交でもう少し先延ばしに出来るなら、憲法改正はもうちょっと論議して引き延ばした方がよいとも考える。

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