経済・政治・国際

2022年5月13日 (金)

プーチンの大誤算:北欧中立国がNATO加盟へ

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フィンランドとスウェーデンがNATO加盟を早急に申請することになりそうだ。どちらもEUの加盟国であるが、軍事的にはNATOには加盟せず中立を維持していた。特にフィンランドはロシアと1300キロも国境を接しており過去には何度もロシア(ソ連)に国土を蹂躙されている関係でロシアの圧力を常に受け続けて来たデリケートな立場だ。 

フィンランドは言わずと知れた北欧の森と湖の国で、面積は日本よりちょっと狭い程度、人口は兵庫県ぐらいしかない。ヨーロッパの国は人口1000万人以上の国がゴロゴロあるので、ノルウェーと並んで面積は広いけど人口は少ないという国家だ。日本人から見ると、森と湖、作家トーベ・ヤンソンの「ムーミン・シリーズ」、Nokia、サウナというイメージが強い国だ。

第二次世界大戦後、フィンランドは資本主義体制を維持したまま共産化もワルシャワ条約機構への加盟もせず、ソ連へ配慮しながらも中立国としての立場を維持した。外交のみならず国内的にもソビエト批判をタブーとする空気に支配される状況は、海外では「フィンランド化」と呼ばれることもあった。すなわち、ロシア(ソ連)忖度外交である。そのため、「フィンランド外交とは、西側にあまり尻を出しすぎぬほどに、ロシアに頭を下げることである」と揶揄されるほどであった。過去に中曽根康弘首相が「ソ連は、日本をフィンランド化しようとしている」と演説で述べ、ソ連が日本をフィンランドのような自分に逆らわない国にしようとしている、となぞらえたことがあったが、この演説はフィンランド政府による抗議を受けている。それほど、ロシアと長く接してきて、政治上の判断をロシア側に忖度してきた歴史が長いということである。

フィンランドはロシアと国境を隔てながら、ロシアにペコペコすることで中立的な関係を維持してきた訳だが、NATOに加盟してしまえば中立国から対立国になる。ここのタブーまで破ってNATO加盟に踏み切る覚悟を決めたのもウクライナの現状を見て危機感を覚えたからに違いない。NATOに加盟していなければ、もしロシアが軍事的に侵攻してきた場合に、誰も助けてくれないというのが明らかにわかったからだ。またロシアは平気で他国に攻めてくると言う本性を見せつけてしまったから、フィンランド国内も穏やかではない。プーチンも、自分が腹を決めれば、力による現状変更ができると妄想して今回の軍事侵攻に踏み切ったわけだが、逆にこれまで中立を維持してきている国々までNATOに加盟してしまうと言う横の動きに関しては目論見外のことだったろう。自国の庭先で暴れてもどうにでもなると甘い見積だったのだろうが、世界は戦後の国際的秩序の破壊者とみなしてロシア包囲網に一気に動き始めた。フィンランドがNATOに加盟したらそれこそウクライナ以上にNATOとの国境線が増えてしまうから、軍事的にはロシアは大失態をしでかしてしまった。大ブーメランである。

ウクライナでドタバタやって苦労している最中にフィンランドのNATO加盟を阻止するために2正面作戦を実施する余力はないだろう。やるなら今すぐフィンランドに侵攻せねばならない。めんどくさいからどちらにも戦術核でもぶち込んで局面打開と考えるかもしれないが、結局のところNATO拡大の動きは加速するばかりだろう。ロシアの北朝鮮的な孤立化は避けられない状況だ。

2022年4月11日 (月)

外交と軍事は分けて考えてはいけない

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ロシアがウクライナに侵攻して、戦局を有利に進めながら停戦交渉に臨んだ。マスコミは戦争中でも交渉の窓口が開いていることは好ましいとして、停戦協議に少しの望みを繋いだような報道をしていたが、実際は停戦交渉の場が全面降伏の宣告場所と化して、全く双方が歩み寄る気配もなかった。その後、何回交渉しても、進展は全くなく、戦争だけが継続され、日々刻々と戦況は変わっていっている。

ここで、侵攻前に外交の専門家なる人たちの発言をたどってみよう。ほとんどの専門家は、軍事作戦は最終判断であって、ギリギリまで外交的な努力が払われて、最終的に侵攻は食い止められるのではないかという楽観論ばかりだった。しかし、蓋を開けてみると、ウクライナが全く何も挑発していないのに、ロシアは一方的に併合しようとしているウクライナ東部の住民を保護するというとってつけたような言いがかりをつけて、全面侵攻に踏み込んだ。

日本人的には、どうも外交と軍事をきれいに区別して議論しているから、現実を予測できないのだ。それは、日本の国家安全保障戦略を読むとすぐ分かる。



国家安全保障戦略(概要)

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/131217anzenhoshou/gaiyou.html

(抜粋)

Ⅳ 我が国がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチ


 1 我が国の能力・役割の強化・拡大

 

  •  国家安全保障の確保のためには、まず我が国自身の能力とそれを発揮し得る基盤を強化するとともに、自らが果たすべき役割を果たしつつ、状況の変化に応じ、自身の能力を適応させていくことが必要である。
  •  経済力及び技術力の強化に加え、外交力、防衛力等を強化し、国家安全保障上の我が国の強靭性を高めることは、アジア太平洋地域を始めとする国際社会の平和と安定につながる。
  •  国家安全保障上の課題を克服し、目標を達成するためには、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、日米同盟を基軸としつつ、各国との協力関係を拡大・深化させるとともに、我が国が有する多様な資源を有効に活用し、総合的な施策を推進する必要がある。

(1)安定した国際環境創出のための外交の強化

 

  •  国家安全保障の要諦は、安定しかつ見通しがつきやすい国際環境を創出し、脅威の出現を未然に防ぐことにある。
  •  国際協調主義に基づく積極的平和主義の下、国際社会の平和と安定の実現に一層積極的な役割を果たし、我が国にとって望ましい国際秩序や安全保障環境を実現していく必要がある。
  •  我が国の主張を国際社会に浸透させ、我が国の立場への支持を集める外交的な創造力及び交渉力が必要である。
  •  我が国の魅力を活かし、国際社会に利益をもたらすソフトパワーの強化や我が国企業や国民のニーズを感度高く把握し、これらのグローバルな展開をサポートする力の充実が重要である。
  •  国連を始めとする国際機関に対し、邦人職員の増強を含め、より積極的に貢献を行っていく。

→日本を支持してくれる仲間を増やすための外交的な取り組み

 

(2)我が国を守り抜く総合的な防衛体制の構築

 

  •  厳しい安全保障環境の中、戦略環境の変化や国力国情に応じ、実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備し、統合運用を基本とする柔軟かつ即応性の高い運用に努める。
  •  政府機関・地方公共団体・民間部門との間の連携を深め、武力攻撃事態等から大規模自然災害に至るあらゆる事態にシームレスに対応するための総合的な体制を平素から構築していく。
  •  その中核を担う自衛隊の体制整備に当たっては、統合的・総合的視点から重要となる機能を優先しつつ、各種事態の抑止・対処のための体制を強化する。
  •  核兵器の脅威に対しては、核抑止力を中心とする米国の拡大抑止が不可欠であり、その信頼性の維持・強化のために米国と緊密に連携していくとともに、弾道ミサイル防衛や国民保護を含む我が国自身の取組により適切に対応する。

→いわゆる防衛力(軍事力) の強化によるハード的な取り組み

 

かし、ロシアとウクライナの停戦協議をみても分かるように、外交交渉は、交渉時点での戦況で着地点が決まってくる。ロシアが戦況を有利に進めている時は全面降伏を求めるゼロイチの姿勢で臨んでくるが、ウクライナが反撃して事態が膠着してくると、武装解除を前提で協議のテーブルに着くという姿勢に変化させる。すなわち、軍事的優位性と外交は、相互補完関係にあって、厳密には区別ができないのである。

また、外交的な努力において、日本の応援団を募ることの重要性を謳っているが、どんな友好国であって、2国間の紛争に直接関与しようとは絶対にしない。いや、国際法上、関与したら中立国では無くなるので関われないのだ。まして、今回は紛争国の片方は世界最大の核武装国家だから、関わったら自分も核攻撃されるリスクがある。だから、応援はするが、支援は武器の提供など物理的な補給に限られるのである。従って、もしロシアが北海道に侵入したり、中国が尖閣諸島への上陸作戦を実施する段階になっても、日本は自分の防衛力で跳ね返すしかないのである。跳ね返した上で、外交交渉のテーブルに着くしかないのである。実は日露戦争が正にそうであった。最も困難だった旅順にあった太平洋艦隊を殲滅し、防衛戦を奉天まで北上させ、バルチック艦隊の到着に準備万端で臨み、見事にほぼ壊滅させた。ここで日本はこれ以上の戦費増大や戦力消耗を避けるために、アメリカの仲介により講和交渉のテーブルに着き、ポーツマス条約(冒頭写真)により講和して戦争は終了した。軍事力で押し返して実力をみせつけたうえで、停戦協議に臨む。結局のところ、これしか対等交渉の道はないのである。

憲法9条と外交力だけで、武装解除状態で日本の平和を達成しようと言っている社民党や共産党などは、全くもってしてお話にならないバカ理論である。安全保障分野でも日本のダメさが露呈してしまった。

 

 

 

2022年4月 7日 (木)

ウクライナ軍善戦の背景

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2022年2月24日から始まったロシア軍のウクライナ侵攻。両国の軍事力の格差から、72時間もあれば首都キーウ(キエフ)を含めて陥落すると思われていた。しかし、蓋を開けるとウクライナ軍は1か月以上もの期間、よく善戦し、現在キーウ周辺に展開していたロシア軍はベラルーシ領内に戻っているようだ。侵攻直後に ロシア軍のヘリが飛んで居る映像が出ていた。また、キーウ郊外の空港にロシア軍の空挺部隊が降下してゼレンスキー大統領の斬首作戦を決行しようとしたようだが、すべて殲滅させられたようだ。ほとんどの軍事専門家が、侵攻初期にロシア軍が航空優勢を獲得し、地上部隊に空から強力な支援を与えて戦いを有利に展開すると予想されていたのだが、実際のところ、ウクライナ軍に対する完全な航空優勢を得ていないようだ。

現状、ロシア軍もウクライナ軍も、戦闘機を自由に飛ばして制空権を確保することはできていない。この理由は、戦闘機を飛ばすと地対空ミサイルで撃墜される可能性が高いからだ。戦闘機は非常に高価で、昔の日本軍の神風特攻隊のように撃墜必至で出動することは容易にできない。撃ち落とされると分かって戦場に飛来するバカはいない。パイロットだって貴重な戦力なのである。それだけ、今回双方が配備している地対空ミサイルが航空機にとって脅威になっているという訳だ。

 

特にS300というソ連時代に開発された地対空ミサイルは射程距離が高く、アメリカが供給しているパトリオットミサイル同様に航空機やミサイルにとって撃墜・迎撃されるリスクが高い。これにより、現在双方とも航空優勢を得ることができず、古典的な地上戦で戦うことになっているのである。地上戦と言っても、ウクライナ軍はドローン攻撃に加え、歩兵による迫撃砲や対戦車ミサイルを組み合わせたゲリラ戦で善戦しているようだ。

ロシア軍は20世紀の戦争よろしく、戦車や装甲車を大量に投入してお得意の地上戦にもつれ込ませようとしているのだが、何分兵力が多いために、兵站がうまく行かず、展開したままウクライナ軍に各個撃破されている状況のようだ。また、ぬかるみの多いウクライナ領内で図体のデカい戦車で侵攻しても通常の道路を通るしかなく、1列に並んでしまって攻撃に晒されている。ウクライナ軍も相手が道路から来るのが分かっているので、むやみに動かず待ち伏せして、戦力を保持しながら押し返している。そうなるとロシア軍は巡航ミサイルなど飛び道具で都市部を破壊する作戦に出ているのだが、この場合、ベラルーシ側から侵入した戦闘機からミサイルを発射したり、黒海側の艦船からミサイルを発射したりしているのだが、そこはNATOや米軍が早期警戒機などを国境付近に飛ばして動きを常時監視しているようで、すぐにウクライナ軍側に相手側の動きが伝わり、近況だとミサイル攻撃の迎撃などにも成功している。例えばベラルーシ側から戦闘機が飛来して攻撃態勢に入れば、その情報はすぐに察知され、ウクライナ側へリアルタイムで伝わるしくみになっているようである。フライトレーダー24というアプリで、こうした米軍やNATOの航空機の動きがリアルタイムで確認できる。

今回の戦争に関して、ロシアは明らかに情報戦で完敗している。国連で追求されても嘘に嘘を積み重ねるばかりで、これだと北朝鮮と全く同じだ。こんないい加減な国家が常任理事国の特権にあぐらをかいている理由がさっぱり理解できない。

2022年3月12日 (土)

ガンバレ!!ウクライナ

Zelenski

毎日テレビではロシアとウクライナのにらみ合いを報じている。それにしてもテレビに見たこともないロシア専門家なるものが頻出し、それはだいたい私立の大学教授だったりするのだが、まるで現地からの情報を直接仕入れているかのような流暢な話しぶりでやっているが、全部メディアで流れている情報を勝手に頭の中で組み立てて話してるだけのにわか専門家である。コロナの時も、コロナ情報専門家なるものが出てきて煽っていたが、まあ似たようなものである。その辺に転がっている情報の受け売りだ。一次情報と直接接していない専門家の話など全然あてにならない。だいたい今回の軍事侵攻を言い当てた専門家は一人もいないのだから、専門家など居ないに等しいのではないか?

さて素人中の素人である慶がその辺に転がってる情報を眺めても、プーチンの目的はすぐわかる。プーチンの目的はすごくシンプルだ。NATO加盟国、すなわちアメリカの影響下にある国をこれ以上ロシア側に近づけたくない。この一言に尽きる。確かに冷戦期のNATOとワルシャワ条約機構の勢力図を見れば共産主義国家の勢力衰退は明瞭である。外交交渉ではNATO諸国の東進を阻止できないので、軍事力を直接使った瀬戸際作戦で相手側から大幅な譲歩を引き出そうというのが狙いに違いない。特にプーチンと仲の良かったウクライナの前大統領が国民の反感を食らって追い落とされたことが今回の侵攻を計画した端緒になったのだろう。チェチェンやベラルーシの大統領のように、プーチンの犬で周りを固めたいのだ。

当初キエフを急襲して斬首作戦を試みたこと、またプーチン自身もウクライナを占領する気は毛頭ないと公言していることからも、一時的な瀬戸際作戦で反転攻勢に出ようとした可能性が非常に高い。しかし現時点で事態は長期化し、この間にロシアも戦術の立て直しを迫られているし、経済制裁の影響が国全体に日々拡大して、国内からの突き上げも気になる。何より、戦費がどんどんかさんでくる。兵士も何ヶ月も出動させられていて、当然休みなどもないだろうから、既にやる気を失っていると思われる。
こうした状況だと、さらに軍隊のケツを叩いてウクライナを力で屈服させるか、NATOを中心とした西側諸国が大幅な譲歩に傾くか、どちらかを果実の実として取らないとプーチンとしては収まらない。自ら拳を振り上げたものの結果的にいろいろブーメランになって追い込まれている感じは否めない。直近のプーチンの映像でも、話している最中に激しく右手のボールペンを擦ったり、苛立ちが隠せない。現段階では、都市包囲網の結果として市街地戦となり、泥沼の殺戮がじわじわと進んで双方が消耗することは自明だ。ロシアは世界中を敵に回しているので、中国さえ仲介役は買って出ないだろうし、こうした状況で核はおろか、化学兵器さえ使うと自らを追い込んでしまう。そこまでやるほど、プーチンは狂ってはいないだろう。
今後の展開は予断を許さないが市街地戦になって、ウクライナ軍がよほど壊滅的な被害を受けて政権首脳がキエフを逃げ出してしまうということがない限り、事態はずっとこう着状態に陥るだろう。望ましくは、ウクライナ軍が持ちこたえて、ロシアが侵攻を諦めることが望ましいのだが。NATOの総元締めのアメリカも、指をくわえて見ている訳には行かないから、衛星情報や通信傍受、内部通報者を通じて最新の情報をウクライナに伝えていることは間違いない。また、密かに潜入した軍事顧問団が、ウクライナ軍と密に戦略を練って、市街地に突入するロシア軍を撃破すべく態勢を整えていることだろう。コサックの発祥の地なのだから、なんとか一矢報いて欲しいものだ。


Ganbare Ukraine!

Daily TV reports on the matchup between Russia and Ukraine. Everyday not-so-famous Russia experts has appearing in TV programs. Many of them are professors at private universities, and they talk as if they have first-hand information from the ground, but all they do is assemble cheap information from the media in their own minds. They are just fake experts. He and She are recipient of cheap information that can be obtained from anywhere. You can't trust anything from an expert who is not in direct contact with primary information. Indeed, none of expert has succeeded in predicting the present military invasion.

Now, although KEI is a just military amateur, it can easily understand Putin's objective. Putin's objective is very simple: he does not want NATO members, i.e., countries under the influence of the U.S., to move any closer to the Russian side. It boils down to one word. Indeed, if one looks at the power structure of NATO and the Warsaw Pact during the Cold War, the decline in the power of the communist states is clear. Since the eastward expansion of NATO countries cannot be stopped through diplomatic negotiations, the aim must be to extract significant concessions from the other side through a brinkmanship strategy directly using military power. In particular, the fact that the former Ukrainian president, who was close to Putin, was ousted due to public resentment, may have been the catalyst for the planned invasion.

The fact that Putin himself has publicly stated that he has no intention of occupying Ukraine, as well as the fact that he initially attempted to raid and behead Kiev, makes it very likely that he was trying to launch a reversal offensive in a temporary brinkmanship operation. However, the situation is protracted at this point, and Russia is being forced to reorganize its tactics during this time, and the impact of economic sanctions is expanding daily throughout the Russian state, and there are concerns about a domestic pushback. Above all, the cost of war is mounting. Soldiers have been deployed for months and have not rested, so it is likely that they are already losing motivation.
Under these circumstances, Putin will not be satisfied unless he beats the asses of his troops even more and brings Ukraine to its knees by force, or the Western powers, especially NATO, are inclined to make significant concessions, either of which will bear fruit. He has raised his own fist in the air, but as a result, he seems to have been driven into a corner by various boomerangs. In the most recent video of Putin, he rubs the ballpoint pen in his right hand violently while he is speaking, and he cannot hide his irritation. At this stage, it is obvious that the result of the urban siege will be urban warfare, and that the mud slaughter will slowly progress and wear both sides down. Russia has the whole world as its enemy, and even China will not play the role of mediator, and in such a situation, Russia would drive itself into a corner by using nuclear or even chemical weapons. Putin is not crazy enough to go that far.
It is difficult to predict what will happen in the future. If the war turns into an urban war and the Ukrainian army is so devastated that the leaders of the regime flee Kiev, Russia will win. However, the situation may remain deadlocked. The U.S., as the head of NATO, will not stand idly by and watch, and will no doubt be keeping Ukraine informed of the latest developments through satellite intelligence, communications intercepts, and whistleblowers. In addition, a secretly infiltrated military advisory group is probably working closely with the Ukrainian military to formulate a strategy and prepare to destroy the Russian forces that are storming into the city. This is the birthplace of the Cossacks, so I hope they manage to get a shot in the arm.

2022年3月 9日 (水)

ウクライナの戦禍をみて日本に欠けているものを実感した

Antibombtunnel
http://yutaka901.fc2web.com/page5aix10.html

毎日ニュース映像で流れてくるロシア侵攻によるウクライナの戦火。テレビやネットは、当然であるが軍事専門家の目線ではなく、一般市民の目線で発信する。そした状況で、ロシアのミサイル攻撃を避けるために、多くの市民が建物地下のシェルター(地下壕)や地下鉄へ避難する様子が映し出されている。これをみて驚かない日本人はいないだろう。日本で地下壕を保有した住宅なり高層団地など、みたことも聞いたこともない。旧ソ連領であるウクライナでは、核戦争を想定して地下壕を必ず保有しているのである。実は第二次世界大戦中、日本は住宅近くの崖などに防空壕を多数掘っていて、実際に空襲警報が出れば頻繁に避難していた。そうした防空壕はほとんど消えているが、地方都市の集落に行くと、まだ防空壕が残っているところがポツポツある。戦後平和ボケした日本人は、米軍に守って貰っているという「幻想」でこうした戦争への基本的な装備を怠ってきた訳だ。

また、圧倒的な戦力で攻められた時に、戦力が弱い方が何をすべきか、これも日本人は分かっていない。とにかくレジスタンスしなければならないのだ。ベトナム人が米軍を追い払ったのも、アフガニスタンでソ連軍が撤退したのも、すべてゲリラ戦の成果だ。ゲリラ戦を展開するには、一般人に紛れた武装集団を養成したり、ジャングルや地下トンネルなどに紛れて、神出鬼没の攻撃を加えたり、工夫が必要だ。今回もウクライナは侵攻前から一般人への武器の供与や手ほどきをやっていた。平時に一般人に武器を与えると犯罪に使われるが、いざという時はそんなことは言ってられない。一般人に武器を持たせれば、事実上国民総動員でのレジスタンスが展開できる訳であるが、日本のように徴兵制度がない国では、自衛隊に志願しない限り、軍事訓練など誰も受けたことがないし、一般人に軍事訓練などを施したら、警官が警告射撃しただけで全国ニュースになるようなお国柄なのだから、それこそ日本共産党や立憲民主党などが国会で大騒ぎすることになる。

幸い、日本の場合は周りを海で囲まれている。ロシアや中国がミサイルや空爆で一斉攻撃をかけて制空権を奪ったとしても、日本を制圧するには海から揚陸するしかない。しかし、潜水艦から攻撃を食らうので、そんなに大量の軍人を送り込むことはできない。また仮に上陸したとしても、日本の都市の背後にはジャングルと言えるような森林地帯があり、いくらでもゲリラ戦ができる。ウクライナのように、平原で国境を接しているところとは、地の利が全然違うのである。
国会では敵基地攻撃だのミサイル防衛など20年ぐらい古い議論をしているようだが、基本ミサイル攻撃を防ぐことはできないのだから、制空権を失ってもなお、制海権は絶対に譲らない、いざという時はゲリラ戦という戦略で国防を考えていく必要があるだろう。

2022年3月 5日 (土)

(感動)ウクライナは良く耐えている

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ロシアがウクライナに全面侵攻して既に1週間が経過した。侵攻初日から巡行ミサイルなどによるピンポイント攻撃をかけて、ヘリコプター部隊を各都市に送り込むなど電撃的な侵攻を開始したため、米欧の軍事専門家も48時間で首都陥落もあり得ると述べていた。しかし、結果的に、その後のロシア軍の侵攻速度は鈍り、1週間経過したが、まだほとんどの都市を制圧できていない。もちろん、ロシア側は圧倒的な戦力でジリジリ都市の包囲網を形成しつつあるが、ウクライナ側の抵抗は激しいようだ。明らかにロシア側に見込み違いがあったようである。

米欧の軍事専門部門からの正式の情報が少ないので判断が難しいのだが、当初制空権を確保するために導入した空挺部隊が地対空ミサイルで迎撃されたり、地上部隊がドローン攻撃を受けたりして足止めを食らっているようだ。特に地対空ミサイルは旧ソ連製のもので、西側諸国で言うところのパトリオットミサイルのような役割なのだが、これが神出鬼没で打ち落としているようだ。

結局古典的な陸路で戦車や軍用車両で侵入しているのだが、待ち伏せや都市部でのゲリラ戦に巻き込まれるので、一気に突破するのも危険だ。プーチンも特別軍事作戦(戦争とは決して言わない)は予定とおり進んでいるとしつつ、死亡した兵士に対して手厚い補償をするよう指示していることからも、犠牲者が多く出て士気に影響していることを暗に示している。 

それにしても、こういう戦争の映像は戦争の世紀と言われた20世紀の映像である。2022年にまだこんな戦争をしかけるとは、ロシアの帝国主義というか、復古主義には呆れる。

それにしても、プーチンの暴挙とウクライナの抵抗をみると、2つの日本の歴史に重なるところがある。

今のプーチンは権力の座に長く居座り、万能感に満ちて、誰の言うことにも耳を貸さず、誰からも批判されるような暴挙を易々と命令している。「狂ったようだ」という表現がぴったりである。これを見ていると、暗殺される直前の織田信長に似ている。プーチンも織田信長も冷静な分析家と戦略家であり、元々は部下の意見にも耳を傾けて、是々非々で情報の取捨選別と的確な作戦実行に長けていた筈だ。どちらも冷徹な合理主義者である。織田信長は畿内から尾張までを勢力圏に組み込み、西は毛利一派と手打ちし、徳川家康も恭順させていたことから、日本初の巨大統一政権を作った功労者だ。しかし、晩年タブーとされた宗教集団の殲滅をやったり、謀反して討ち取った浅井長政の髑髏を装飾して宴会で披露したり、自分に投げ銭して奉るように強要したり、権力の頂上に登って狂ってしまったところがあった(結局部下の明智光秀に暗殺される)。今のプーチンはそれに良く似ている。今回の軍事作戦の前にウクライナはロシアが支配すべきという論文を出しているそうだが、復古主義的で感情的、妄想的で、おおよそ合理主義者の主張とは思えない。そうなると抑えが効かない。ならば、ロシア国内で明智光秀が出てくればこの戦火は一旦終了するが、それは難しそうだ。

また、ウクライナは、世界最大規模の軍事力を有するロシアに対して、味方はいなく、周りを全部敵か関わり合いたくない国に囲まれ、少ない手勢で闘わねばならない状況だ。これは、関ヶ原の戦火が一通り決した後に取り残された島津軍のような立場だ。こういう状況だと、普通は国民の命を優先して白旗を揚げて降伏するのが定石なのだが、むやみには動かずに、相手の動きを見極めながら徹底抗戦をやっている。さながら専守防衛という感じだ。島津軍は自滅覚悟で家康の本陣めがけて突っ込んで来て、その脇をかすめて撤退するという、歴史上誰もみたことない「敵中突破」という離れ業をやっている。ウクライナはそういう自滅的な聖戦をやっている訳ではないが、大統領自らが国外逃亡や行方不明になることなく、全面に出て、国民と共に闘おうと必死に呼びかけているところは覚悟が決まっていて実に美しい。もちろん、白旗揚げても反体制の人々は徹底して静粛されることが分かっているので、どうせ死ぬなら戦って死のうという気分なのかもしれないが、、、

こうなると、ロシアの厭戦気分が蔓延するように、市街地でのゲリラ戦に持ち込んで、事態を長期化させるしかない。あっさり降伏するのと徹底抗戦してから降伏するのでは後々の展開がだいぶ違うことは島津軍の敵中突破を振り返れば良く分かる。しかし、その場合はロシアもウクライナも、どちらも多大な被害が発生する。プーチンは狂っているかもしれないが、ロシア軍部はそれに振り回されずに、馬鹿な戦争などさっさとやめてしまえ!!! 

 

 

2022年2月26日 (土)

プーチンがウクライナへの軍事侵攻を命令した

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日本時間2022年2月24日、ロシアはウクライナへの全面侵攻を始めた。アメリカやNATOの観測により、前々からロシア軍の動きは把握されていて、西側諸国はもし侵攻したらそれ相応の制裁を覚悟しろと再三警告していたが、プーチンはお構いなしで易々と侵攻を命令した。どうみても、目の据わり方が尋常ではない。何が何でもやるという決意がみてとれる。
独立国の主権を一方的に侵し、領土を一方的な軍事力で塗り替える現状変更は容認されるものではない。特に日本はロシアのみならず、韓国や中国とも領土の実行支配を巡ってトラブルを抱えており、他人事ではない。
それにしてもプーチン大統領は大胆不敵だった。今の国際秩序は2つの大戦と東西冷戦を経て確定したものである。国連の常任理事国という特別な地位にあぐらをかいて国際秩序の原則を蹂躙するとはひどいものだ。こうなるともう一つの不埒な常任理事国の中国を勢いつかせることになるだろう。次は台湾問題がいよいよ現実味を帯びてくる。
アメリカのバイデン大統領はロシアによる侵攻に対し、「ウクライナと世界の平和・安全に対する無用な侵略行為」と強く非難した。これから追加制裁を発動するのだろうが、クリミア半島侵攻の時同様、ほとんど効果はないだろう。
 結局のところ、アメリカ自体の国力が低下する中で、内政重視の民主党政権になったことが今回の侵攻の背景にあることは間違いない。クリントン、オバマと続いた民主党政権の時は、たまたま外交的な懸案が少なく、また景気も良かったので安泰としていられた。しかし、そうした外交的な真空状態の間に、死にかけたロシアの復権、中国のめざましい台頭が進行していたわけだ。アメリカは東西冷戦の勝者として我が物顔をして、ITバブルだ、株の上昇だ、シェールオイル革命だと金儲けにいそしんであぐらをかいていたのだが、気がつけばキリギリスになっていた。もはや中ロが組んだら軍事的に対抗できないのである。
 今回のロシアの侵攻を決断させた最大のキッカケは、昨年のお粗末なアフガニスタンからの米軍撤退だったことは間違いない。アフガニスタン程度の国も守れないアメリカにはロシアや中国の動きを制する能力はない。そう睨んだに違いない。
 アメリカ自身は国力が衰えたことは自認している。だからこそ、トランプ政権の後、バイデン大統領は国際的な自由連合の結束を呼びかけている。これはアメリカ単独では世界秩序を保てないというほころびを認めたことになる。ただトランプの孤立政策で嫌気が差していたヨーロッパ諸国的には、急に自由連合を呼びかけてきても、バイデンが不人気で次の大統領選挙でトランプかミニトランプみたいな共和党政権に戻ってハシゴを外されるのではないかとの読みもあって前のめりではない。いまは形骸化したNATOの枠組みと、はじまったばかりの自由で開かれたインド・太平洋ぐらいの枠組みしかない。今回については、残念ながら、ウクライナが侵略されるのを座して眺めているだけである。
 さて、これからすべてプーチンの読み通りにウクライナを掌握し、隣のベラルーシみたいに衛星国扱いにできるのだろうか?実は、必ずしもそうはならない可能性もある。ロシアの国内世論だ。ソ連時代とは異なり、現在のロシアは情報が自由に飛び交っている。もちろん、秘密警察による監視は厳しく、体制批判を行ったジャーナリストが行方不明になったり暗殺されたりしているが、そういう情報さえ誰の耳にも入る。ウクライナでの暴挙の映像がネットで流布し、世界中から批判を受けると、ロシア国民も穏やかではない。中国に向かっていた悪いイメージが、まるごとロシアに向けられると、国民も黙っていないだろう。結局のところ、軍事侵攻というのはうまく行っている時はイケイケだが、厭戦気分が出てくると前線の兵士はハシゴを外されて浮いてしまう。すなわち、大義なき軍事侵攻は諸刃の剣なのである。もし今回のウクライナ侵攻で国内から突き上げを食らうと、今は強気のプーチンも失脚という危険性を抱えることになる。

On February 24, 2022 (Japan time), Russia launched a full-scale invasion of Ukraine. The movement of the Russian military has been known for a long time through the observation of the United States and NATO, and the Western countries had repeatedly warned that they should be prepared for appropriate sanctions if they invaded. Regardless, Putin easily gave the order to invade Ukraine. No matter how you look at it, Putin's eyesight is uncanny. His determination to do whatever it takes is apparent.
Unilaterally violating the sovereignty of an independent country and changing the status quo by unilateral military force is unacceptable. Japan, in particular, is no stranger to problems with not only Russia, but also South Korea and China over control of its territory.
Nevertheless, President Putin was fearless. The current international order was established after the two world wars and the Cold War. It is appalling that he would violate the principles of the international order by resting on his special status as a permanent member of the UN Security Council. This will probably give momentum to China, another insolent permanent member of the UN Security Council. Next, the Taiwan issue will finally become a reality.
U.S. President Biden has strongly condemned the Russian invasion, calling it "a needless act of aggression against the peace and security of Ukraine and the world. Additional sanctions will probably be imposed, but as with the invasion of the Crimean Peninsula, they will have little effect.
 In the end, there is no doubt that the current invasion is due to the fact that the Democratic Party of the United States has come to power, with its emphasis on domestic politics, while the national power of the United States itself is declining. During the Democratic administrations of Clinton and Obama, there were few diplomatic concerns and the economy was booming, so we could rest easy. However, during this diplomatic vacuum, Russia's near-death resurgence and China's remarkable rise were underway. The U.S. had been sitting on its laurels as the winner of the Cold War, making money from the IT bubble, rising stock prices, and the shale oil revolution, but before it knew it, it had become a grasshopper. But the next thing we know, we have become a grasshopper. If China and Russia team up, they will no longer be able to compete militarily.
 There is no doubt that the biggest trigger for Russia's decision to invade this time was the lousy withdrawal of U.S. troops from Afghanistan last year. The U.S., which cannot even defend a country the size of Afghanistan, is not capable of controlling the movements of Russia and China. That must have been their view.
 The U.S. itself admits that its national power has declined. That is why, after the Trump administration, President Biden has called for the unity of an international freedom coalition. This is an admission that the United States cannot maintain the world order on its own. However, European countries, which have been disgusted by Trump's isolationist policies, are not so enthusiastic about the sudden call for a free coalition because they are afraid that Biden will be unpopular and that the next presidential election will see a return to a Republican administration like Trump or a Trump alike person and the ladder will be removed. At the moment, there are only two frameworks: the moribund NATO framework and the just-started free and open Indo-Pacific framework. This time, unfortunately, we can only sit back and watch as Ukraine is invaded.
 Now, will Putin be able to take control of Ukraine and turn it into a satellite state like neighboring Belarus? Actually, there is a possibility that this will not necessarily be the case. This is Russia's domestic public opinion. Unlike the days of the Soviet Union, information in Russia today is freely exchanged. Of course, there is strict surveillance by the secret police, and journalists who have criticized the regime have gone missing or been assassinated, but even this information is available to everyone. The Russian people are not at ease when images of the violence in Ukraine are circulated on the Internet and criticized from all over the world. If the bad image that had been directed at China is now directed at Russia in its entirety, the Russian people will not remain silent. After all, a military invasion is great when it is going well, but when the mood of war wears off, the soldiers on the front line are taken off the ladder and left floating. In other words, a military invasion without a cause is a double-edged sword. If the current invasion of Ukraine provokes a domestic uproar, Putin, who is currently in a strong position, will be in danger of losing his position.

2022年2月14日 (月)

ウクライナ危機をどうみるか

Warusyawa

すわ、第三次世界大戦の勃発に突入するかもしれないという緊張感を持って伝えられているウクライナ情勢。昨年からロシアがウクライナの国境に大量の軍隊を展開させて、軍事演習を繰り返しており、いつでも攻め込むぞと言わんばかりの示威行為をやっている訳だ。西側諸国は早くからこの動きを察知して、様々な外交ルートで軍事侵攻をしないように圧力をかけ続けている。

犯罪には動機があるように、軍事侵攻にも必ず動機がある。その背景の部分はあまり流れてこない。ロシアがなぜにここまで強固な軍事的圧力に転じているのか考えるためには、過去に目を転じることが必要だ。キーワードは「ワルシャワ条約機構」である。
ワルシャワ条約機構とは、かつて存在した軍事同盟である。ソビエト社会主義共和国連邦を盟主とした東ヨーロッパ諸国が結成した軍事同盟で、ポーランドのワルシャワにて設立されたために「ワルシャワ」の名を冠していた。呼びかけはソ連だったので、本部はモスクワであった。ワルシャワ条約機構は、NATO、北大西洋条約機構に対抗して組織された軍事同盟であった。

ワルシャワ条約機構の構成国
・ソビエト社会主義共和国連邦
・ブルガリア人民共和国
・ルーマニア社会主義共和国
・ドイツ民主共和国(東ドイツ)
・ハンガリー人民共和国
・ポーランド人民共和国
・チェコスロバキア社会主義共和国

かつての007のジェームス・ボンドは、東西のスパイが暗躍していたと言われる東欧諸国でスパイ活動や破壊工作を行っていて、追われると西側の国境に向けて逃げるというパターンが多かった。ワルシャワ条約機構の国々は事実上ソ連の衛星国(属国)だった訳だ。ベルリンの壁の崩壊後、ソ連を中心とした東側諸国による社会主義体制が大きく毀損して、ワルシャワ条約機構の国々は民主化され、あるいは分裂、併合され、現在ほとんどがNATOに加盟するまでになっている。旧ソ連の継承国家を自称するロシアからみれば、NATOのラインが思い切り東進したことになり、緩衝国家がなくなって直接NATOと対峙することになるので、穏やかではない。ここでウクライナまでNATOに加盟申請するとなれば、レッドラインを超えたということで、軍事的に侵攻してNATOのラインを東進させまいと考えるのは、ロシア側の理屈から言えば自然なことだ。日本に置き換えると、韓国が北朝鮮と仲良くなって統一し、米軍を追い出して中国の属国になると、対馬海峡まで社会主義国が降りてくる。同じような危機感である。現状変更は誰も好まない。

従って、ロシアからみれば、NATO不拡大の文言を確実に得ることが今回のウクライナ危機の最終目的である。この担保がないなら、ウクライナを転覆させてまでも、ロシアの軍事的コントロール下に置くという決意だろう。ウクライナは旧ソ連の構成国で第2番目に大きな国で、ロシアの領土拡大の先兵となって活躍したコサックを多く輩出した尚武の大国である。しかし、それとて、ロシアと真っ向から対峙して互角に戦えるという訳には行かない。元々ソ連の構成国だったから、ロシアから見れば、他国を侵略するという頭はなく、「自分の庭を取り返す」という程度の発想なのだろう。

本来であれば、このロシアの動きを制するために、NATOはもっとロシアに対して圧力をかけつつ対話の余地を残すべきなのだろうが、NATOの盟主である肝心のアメリカが、仮にウクライナへロシアが侵攻しても軍を動かさない、経済制裁しかしないと最初に言ってしまった。民主党の弱腰バイデン大統領ではこんなものなのだ。また、NATO加盟国のドイツが、ウクライナへ支援のために送った軍装備が「ヘルメット5000個」という笑えるような内容で、こうなるとしたたかなロシアは西側諸国のへなちょこ度を見て、交渉のレベルを極限まで上げてくる。また悪いことに、NATOの構成国はロシアから天然ガスを買いまくっていて、経済制裁したら自分たちも打撃を受ける。既にロシアの圧倒的優位で交渉が進んでいる訳だ。そうなると、焦点はNATOがどこまで譲歩するかというところが落とし所になり、ロシアがウクライナに向けて本格的な軍事侵攻を実施しなくても、果実は得ることができる可能性が高いと言えよう。

2021年12月27日 (月)

岸田内閣発足後すでに84日間が経過

Kishidashijiritsu

毎日新聞の世論調査結果

岸田内閣が発足して84日間。政権の正体が見えてくるのに発足後100日間というのが重要な見極め期間であることは、民主主義国家ならどこも同じだ。要職をこなしながらも、カリスマがなく決め切れないという評判の岸田さん。お手並拝見というところで、野党も表立った個人攻撃は控えているようだ。前任の管総理は安倍政権を忠犬のように下支えして、自身が総理になってもその路線を変更せず、野党の反発を喰らっただけでなく、国民にもその強権的な素性を知られてしまってレームダック化していた。従って、岸田政権は、発足直後からその後始末で苦労することは想像に難くない。支持率を見ると、出だしはそうでもなかったが、現時点で支持率の下降傾向はなく、むしろ上昇している。

まず政権人事をみてみる。最重要ポストである幹事長に論功労賞として当初甘利議員を充てたが、なんと直後の選挙で落選して自滅した。選挙自体は自民党圧勝だったのだが、さすがに陣頭指揮を執る幹事長自らが落選では格好が付かず、辞任。その後、実務派で派閥や安倍元総理のコントロールが効きにくい茂木議員を幹事長ポストに充てている。加えて、茂木議員が動いた後の外務大臣ポストに同じ山口県を地盤とし、安倍元総理とは選挙区内で相当な競合関係にある林議員(参議院からの鞍替え出馬)を充てている。また、安倍元総理におんぶにだっこで担がれて総裁選で高得票を得た高市議員も、閣僚には入れずに総務会長というポストにつけたことも手堅い。この人事を見ると、かなり用心はしているが、要所で脱安倍色(3A支配からの脱却)が出ており、岸田総理としても、かなりフリーハンドを得た形になっている。まあ年齢といい政治経歴といい安倍元総理も岸田総理もほぼ同じなので、別に遠慮することはないのだ。自らの意志で自由にデッサンすることが良いに決まっている。

他の閣僚はベテランでガチガチに固めてある。安倍内閣時代は安倍と個人的に近い人脈・思想で固めていたので何かと失言ばかりしている閣僚が多かったが、今のところ閣僚の滑り出しは手堅い。失言もスキャンダルもほとんどない。官房長官も手堅いし、鈴木善幸の息子の財務大臣も手堅い。反射神経だけが取り柄の、前の経済再生担当大臣のようなハリボテも見当たらない。特に安倍・管政権時代の失言王である麻生太郎議員を名誉職に追いやった効果は絶大だ。これだと野党も攻めにくいだろう。

政策的なところを見ると、まだ政権発足直後で国会論戦がほとんどない状態なので評価が難しいが、管理費が莫大にかかっていたアベノマスクの処分を発表、森友問題で自殺した官僚の妻が民事で訴訟していた裁判で争わずに敗訴を受け入れrるなど、安倍政権時代の負の遺産を精算しつつある。国民レベルでは、無症状者でも無料でPCRを受けることができる体制作りを表明。さらに、最近はコロナに感染したあるいは濃厚接触者となった受験生も安心して受験できるように文科省へ指示するなど、安倍・管政権と比べるとアドバルーン的な愚策ではなく、地に足着いた善政重視で様変わりした様子が感じられる。岸田議員は一貫してハト派路線を歩んできたので、聞く耳持たずで権力を振りかざし、官僚を好き放題にコントロールしたりマスコミをあげつらったりは絶対にしないだろう。「人の話を聞くことだけが唯一の特技」というだけあって、どこに政治的な判断のニーズがあるのかよくわかっているようだ。

ということで、慶の岸田政権への評価はかなり高いと言える。ただ現在は新型コロナウイルスの流行が落ち着いており、外交的にも突発的なイベントは無いので、そもそも静かと言えば静かだ。少なくとも中国は北京オリンピックが終わるまではおとなしいだろうし、アメリカもバイデン政権が早くもレームダック化していて、トランプのように日本にあれこれ要求してくる余力もない。朝鮮半島は向こうの大統領選挙が終わるまで放置だ。景気は原油価格、その他材料価格や輸入品停滞や運送料上昇でこの先も急上昇傾向が続くことは必至で、よちよち歩きを始めた消費回復に急ブレーキがかかる恐れもある。公明党に押し切られた10万円配布では、岸田カラーを出せずに調整能力が弱いところが露呈した。アメリカが人権問題で外交的ボイコットを表面しているが、日本は判断を先延ばしでうやむやにしようとしている。もちろん、アメリカのご機嫌ばかり取っている必要はないのだが、判断を先延ばしにしても結果は変わらない。日本だって、尖閣を盗み取ろういとされているのに、笑顔で政府要人をゾロゾロと中国に派遣することなどできる訳ないのだから。正に決めきれない男の本領発揮という瞬間でもあった。これから、難問が次々に押し寄せて来た時に、決め切れない男が本当に迅速に適切な判断ができるのか、お手並み拝見というところだろう。

2021年11月 2日 (火)

2021衆議院選挙の構図を読む

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総務省で公開している過去の衆議院選挙の世代別投票率
今回の第49回衆議院選挙については、当初の下馬評を覆すかのように、自民党・公明党の政権与党の圧勝に終わった。その理由は、「投票率の低さ」に収斂する。どちらの政党も組織票が多いからだ。いわゆる無党派層と言われる浮動票は、有権者に占める割合も多く、バランサーのようにどっちに転ぶか分からない。しかし、この浮動票は滅多に投票所に足を運ばない。無党派層=政治に興味なしなのである。世論調査で、「たぶん投票する」と回答する3割の人間は、よほどのことが無い限り投票しないという無党派層である。その多くは、若い世代、働き盛り、女性である。しかし、「サイレントマジョリティー」と言われるように、物言わない有権者の意思もくみ取るのが民主主義の王道である。
投票率が低くなりはじめたのは平成に入ってからだ。政治の安定性が増して、何もしなくてもそこそこ世の中が回るようになったからだ。ただし、何回選挙をやっても投票率が上がらない理由は、一昔前と現在は微妙に異なる。一昔前(10年前後より以前)は、政治への期待度、問題解決のニーズに合わせて投票率が上下していた。バブル崩壊後の不景気が深刻化していた2005年あるいは2009年の選挙では投票率が高かった。まさに、世の中が政治によって閉塞感を打破することを求めていたからだ。実際2009年の高い投票率であった第45回衆議院選挙時では政権交代が起きた。しかし、その後は低投票率状態が常態化している。この要因は政権交代のニーズがどうのこうのではなく、メディア側に問題があると思われる。
いわゆるメディアによる世論調査が細かくなってきて、事前に有権者の動向が報道されるようになってきた。与党と野党のどちらが優勢か、あるいはある選挙区の候補が拮抗しているか、それとも無風選挙になりそうなのか、事前に粗々分かるのである。そうすると有権者の心理として、「どうせ投票しても自分の1票が反映されない」となり、投票所に足が向かわない。投票率が下がれば、組織票に強い自民党と公明党が躍進する。ここ10年あまりはこれの繰り返しなのである。
メディアの世論調査をやめろとは言えないので、そういう状況で投票率を上げるためには、もう投票所に足を運ばなくても、スマホでポチっとするだけ一票の投票行為を行えるようにしなければならない。しかし、これは組織票で持っている政権与党には致命傷になる可能性もあり、まずやらないだろう。だから野党は政権与党の批判をする前に、まずは投票率を上げるための政策提案をし続けることに尽きる。

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