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2022年5月13日 (金)

プーチンの大誤算:北欧中立国がNATO加盟へ

Finland_lake

フィンランドとスウェーデンがNATO加盟を早急に申請することになりそうだ。どちらもEUの加盟国であるが、軍事的にはNATOには加盟せず中立を維持していた。特にフィンランドはロシアと1300キロも国境を接しており過去には何度もロシア(ソ連)に国土を蹂躙されている関係でロシアの圧力を常に受け続けて来たデリケートな立場だ。 

フィンランドは言わずと知れた北欧の森と湖の国で、面積は日本よりちょっと狭い程度、人口は兵庫県ぐらいしかない。ヨーロッパの国は人口1000万人以上の国がゴロゴロあるので、ノルウェーと並んで面積は広いけど人口は少ないという国家だ。日本人から見ると、森と湖、作家トーベ・ヤンソンの「ムーミン・シリーズ」、Nokia、サウナというイメージが強い国だ。

第二次世界大戦後、フィンランドは資本主義体制を維持したまま共産化もワルシャワ条約機構への加盟もせず、ソ連へ配慮しながらも中立国としての立場を維持した。外交のみならず国内的にもソビエト批判をタブーとする空気に支配される状況は、海外では「フィンランド化」と呼ばれることもあった。すなわち、ロシア(ソ連)忖度外交である。そのため、「フィンランド外交とは、西側にあまり尻を出しすぎぬほどに、ロシアに頭を下げることである」と揶揄されるほどであった。過去に中曽根康弘首相が「ソ連は、日本をフィンランド化しようとしている」と演説で述べ、ソ連が日本をフィンランドのような自分に逆らわない国にしようとしている、となぞらえたことがあったが、この演説はフィンランド政府による抗議を受けている。それほど、ロシアと長く接してきて、政治上の判断をロシア側に忖度してきた歴史が長いということである。

フィンランドはロシアと国境を隔てながら、ロシアにペコペコすることで中立的な関係を維持してきた訳だが、NATOに加盟してしまえば中立国から対立国になる。ここのタブーまで破ってNATO加盟に踏み切る覚悟を決めたのもウクライナの現状を見て危機感を覚えたからに違いない。NATOに加盟していなければ、もしロシアが軍事的に侵攻してきた場合に、誰も助けてくれないというのが明らかにわかったからだ。またロシアは平気で他国に攻めてくると言う本性を見せつけてしまったから、フィンランド国内も穏やかではない。プーチンも、自分が腹を決めれば、力による現状変更ができると妄想して今回の軍事侵攻に踏み切ったわけだが、逆にこれまで中立を維持してきている国々までNATOに加盟してしまうと言う横の動きに関しては目論見外のことだったろう。自国の庭先で暴れてもどうにでもなると甘い見積だったのだろうが、世界は戦後の国際的秩序の破壊者とみなしてロシア包囲網に一気に動き始めた。フィンランドがNATOに加盟したらそれこそウクライナ以上にNATOとの国境線が増えてしまうから、軍事的にはロシアは大失態をしでかしてしまった。大ブーメランである。

ウクライナでドタバタやって苦労している最中にフィンランドのNATO加盟を阻止するために2正面作戦を実施する余力はないだろう。やるなら今すぐフィンランドに侵攻せねばならない。めんどくさいからどちらにも戦術核でもぶち込んで局面打開と考えるかもしれないが、結局のところNATO拡大の動きは加速するばかりだろう。ロシアの北朝鮮的な孤立化は避けられない状況だ。

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