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2022年5月28日 (土)

内部圧力で戦争断念させるしかない

Putin-hospital

https://www.yomiuri.co.jp/pluralphoto/20220526-OYT1I50055/

ロシアのウクライナ侵攻は既に3ヶ月を経過した。数日でキーウ(キエフ)陥落でゼレンスキー体制崩壊とウクライナの大半の自国領への編入をもくろんでいたプーチンであるが、正にもくろみハズレとなっている。今は親ロシア派の多いウクライナ東部2州の完全制圧に戦略を切り替えているところだ。キーウ周辺は奪還したものの、東部での状況は一進一退である。

西側は様々な経済制裁を加えているが、実際のところ、あまり効いていない。これは北朝鮮への経済制裁が全く効いていないのと同じだ。西側がいくら経済制裁を行っても、旧ソ連の同盟国あるいは中国やインド経由で窓は開いている。ルーブルは一時的に暴落したが、自国通貨での資源価格の支払いを強要するウルトラCで元に戻った。
ロシア国内から反戦運動が広がることが最も重要な動きであることに代わりはないが、さすが秘密警察出身者で固められたプーチン政権なので、見事に国内を押さえ込んでいる。この点においても、北朝鮮や中国と同じだ。ただ、反戦封じ込めは完璧に見えるが、北朝鮮や中国とは1点異なる抜け道がある。それは、兵士のお母さんが組織するNGOに強い発言権があるということだ。
ロシア軍は将校のほか、契約制の職業軍人と、徴兵による徴集兵で成り立っている。ロシア軍の定数は100万人、実数が約90万人であるが、その約30%が徴集兵であると言われている。

我々の周辺国で言えば、韓国が徴兵制度を維持していることが良く知られている。一定年齢に達した若者は、強制的に従軍させられるのである。韓国では2年間であるが、まさにこの2年間は失われた青春時代ということになり、かなりの苦痛である。これはロシアでも同じだ。徴兵による子供の権利を守るために、その母親たちが設立した組織が、「ロシア兵士の母の委員会連合」である。文字どおり、自分たちの子どもである兵士の権利を守る目的で設立されたNGOだ。しかも全国に支部を持っている大きな組織である。徴兵制度の枠組みの中で、軍隊内で立場の弱い新兵に対するいじめや虐待などの人権侵害が行われていないか、この団体が監視している。弁護士などの法律顧問団も抱えている強力な組織となっている。ロシアのような強権的な国家で、このような強力な監視組織があるとは少し驚きである。

この母の会はウクライナ侵攻で何を言っているかと言えば、(ロシアが言うところの)特別軍事作戦に息子たちが参加しているのだが、親から繰り返し心配する訴えが寄せられている。連絡が取れない息子がたくさんいるのに、死んで居るのかどうかさえ確認できないと。一体どうなっているのか政府は明らかにせよということだ。まあ親としては当然であろう。

こうした動きを気にしてか、先日プーチンが白衣を着て病院を訪問し、負傷したロシア兵士をお見舞いして激励するプロパガンダが流されていた。それだけ、兵士の親から相当なクレームが来ているという査証だろう。また前戦で1万5千人も兵士が死亡している現状で戦意の喪失が著しく、戦線からの離脱や新たな徴兵がうまく行っていないらしい。結果として兵士不足に陥り、高額の報酬で傭兵をやっているそうだ。

ウクライナ侵攻はプーチン側近が勝手に企画してゴーサインを出した大義無き戦争である。これだけの大規模な戦争は事前に漏れてはいけない。そのため、特別軍事作戦と言い張り、戦争という言葉は使わず、現場の兵隊にも一切内容を知らせていない。あくまで演習の延長でウクライナへ侵攻したのだ。結果として、闘い慣れていない新人の徴集兵が戦争の最前線に立たされて、命を落としている。こういう内部のだまし討ちのような戦争のやり方は、必ず内部で反感を食らって頓挫する。母の会が暴れているということは、既にプーチンは追い込まれているということだろう。

 

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