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2022年4月11日 (月)

外交と軍事は分けて考えてはいけない

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ロシアがウクライナに侵攻して、戦局を有利に進めながら停戦交渉に臨んだ。マスコミは戦争中でも交渉の窓口が開いていることは好ましいとして、停戦協議に少しの望みを繋いだような報道をしていたが、実際は停戦交渉の場が全面降伏の宣告場所と化して、全く双方が歩み寄る気配もなかった。その後、何回交渉しても、進展は全くなく、戦争だけが継続され、日々刻々と戦況は変わっていっている。

ここで、侵攻前に外交の専門家なる人たちの発言をたどってみよう。ほとんどの専門家は、軍事作戦は最終判断であって、ギリギリまで外交的な努力が払われて、最終的に侵攻は食い止められるのではないかという楽観論ばかりだった。しかし、蓋を開けてみると、ウクライナが全く何も挑発していないのに、ロシアは一方的に併合しようとしているウクライナ東部の住民を保護するというとってつけたような言いがかりをつけて、全面侵攻に踏み込んだ。

日本人的には、どうも外交と軍事をきれいに区別して議論しているから、現実を予測できないのだ。それは、日本の国家安全保障戦略を読むとすぐ分かる。



国家安全保障戦略(概要)

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/131217anzenhoshou/gaiyou.html

(抜粋)

Ⅳ 我が国がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチ


 1 我が国の能力・役割の強化・拡大

 

  •  国家安全保障の確保のためには、まず我が国自身の能力とそれを発揮し得る基盤を強化するとともに、自らが果たすべき役割を果たしつつ、状況の変化に応じ、自身の能力を適応させていくことが必要である。
  •  経済力及び技術力の強化に加え、外交力、防衛力等を強化し、国家安全保障上の我が国の強靭性を高めることは、アジア太平洋地域を始めとする国際社会の平和と安定につながる。
  •  国家安全保障上の課題を克服し、目標を達成するためには、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、日米同盟を基軸としつつ、各国との協力関係を拡大・深化させるとともに、我が国が有する多様な資源を有効に活用し、総合的な施策を推進する必要がある。

(1)安定した国際環境創出のための外交の強化

 

  •  国家安全保障の要諦は、安定しかつ見通しがつきやすい国際環境を創出し、脅威の出現を未然に防ぐことにある。
  •  国際協調主義に基づく積極的平和主義の下、国際社会の平和と安定の実現に一層積極的な役割を果たし、我が国にとって望ましい国際秩序や安全保障環境を実現していく必要がある。
  •  我が国の主張を国際社会に浸透させ、我が国の立場への支持を集める外交的な創造力及び交渉力が必要である。
  •  我が国の魅力を活かし、国際社会に利益をもたらすソフトパワーの強化や我が国企業や国民のニーズを感度高く把握し、これらのグローバルな展開をサポートする力の充実が重要である。
  •  国連を始めとする国際機関に対し、邦人職員の増強を含め、より積極的に貢献を行っていく。

→日本を支持してくれる仲間を増やすための外交的な取り組み

 

(2)我が国を守り抜く総合的な防衛体制の構築

 

  •  厳しい安全保障環境の中、戦略環境の変化や国力国情に応じ、実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備し、統合運用を基本とする柔軟かつ即応性の高い運用に努める。
  •  政府機関・地方公共団体・民間部門との間の連携を深め、武力攻撃事態等から大規模自然災害に至るあらゆる事態にシームレスに対応するための総合的な体制を平素から構築していく。
  •  その中核を担う自衛隊の体制整備に当たっては、統合的・総合的視点から重要となる機能を優先しつつ、各種事態の抑止・対処のための体制を強化する。
  •  核兵器の脅威に対しては、核抑止力を中心とする米国の拡大抑止が不可欠であり、その信頼性の維持・強化のために米国と緊密に連携していくとともに、弾道ミサイル防衛や国民保護を含む我が国自身の取組により適切に対応する。

→いわゆる防衛力(軍事力) の強化によるハード的な取り組み

 

かし、ロシアとウクライナの停戦協議をみても分かるように、外交交渉は、交渉時点での戦況で着地点が決まってくる。ロシアが戦況を有利に進めている時は全面降伏を求めるゼロイチの姿勢で臨んでくるが、ウクライナが反撃して事態が膠着してくると、武装解除を前提で協議のテーブルに着くという姿勢に変化させる。すなわち、軍事的優位性と外交は、相互補完関係にあって、厳密には区別ができないのである。

また、外交的な努力において、日本の応援団を募ることの重要性を謳っているが、どんな友好国であって、2国間の紛争に直接関与しようとは絶対にしない。いや、国際法上、関与したら中立国では無くなるので関われないのだ。まして、今回は紛争国の片方は世界最大の核武装国家だから、関わったら自分も核攻撃されるリスクがある。だから、応援はするが、支援は武器の提供など物理的な補給に限られるのである。従って、もしロシアが北海道に侵入したり、中国が尖閣諸島への上陸作戦を実施する段階になっても、日本は自分の防衛力で跳ね返すしかないのである。跳ね返した上で、外交交渉のテーブルに着くしかないのである。実は日露戦争が正にそうであった。最も困難だった旅順にあった太平洋艦隊を殲滅し、防衛戦を奉天まで北上させ、バルチック艦隊の到着に準備万端で臨み、見事にほぼ壊滅させた。ここで日本はこれ以上の戦費増大や戦力消耗を避けるために、アメリカの仲介により講和交渉のテーブルに着き、ポーツマス条約(冒頭写真)により講和して戦争は終了した。軍事力で押し返して実力をみせつけたうえで、停戦協議に臨む。結局のところ、これしか対等交渉の道はないのである。

憲法9条と外交力だけで、武装解除状態で日本の平和を達成しようと言っている社民党や共産党などは、全くもってしてお話にならないバカ理論である。安全保障分野でも日本のダメさが露呈してしまった。

 

 

 

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