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2022年4月30日 (土)

新型コロナウイルスのその後の総括

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新型コロナウイルスのパンデミック発生からはや2年あまり。すっかりマスク姿にも慣れてしまい、マスク生活がむしろ日常ではないかと錯覚するような状況である。年末から変異株であるオミクロン系統が爆発的に感染を広げて、第6波が最大の感染者を出してしまった。第5波までは、まだ我々の周りで感染したという情報は散発的だったが、第6波ではほぼ知り合いが複数人感染してしまうという状況になった。幸い、専門家の指摘のとおり、このオミクロン株は軽症で、肺炎など重症呼吸器症候群を引き起こす確率が劇的に減っている。専門家によれば、新型コロナウイルスはSARS-CoV-2と呼称されているが、SARSは重症呼吸器症候群のことである。SARSをほとんど引き起こさないのにSARSという名称はおかしいかもしれない。元SARS-CoV-2とでも呼ぶべきだろうか。元々コロナウイルスは変異したら毒性が落ちると言われていたので、これが丸々2年かかったということだろう。今後も変異を繰り返すだろうが、毒性はさらに落ちて、ただの風邪ウイルスに落ち着くことを祈るばかりである。
さて、相変わらず毎日陽性者が○人とかニュースでやっている。さすがに重症化しないし病院の逼迫率も上がらないので、これにいちいち反応しなくなった。ただ、PCRや抗原検査で陽性となった人と、本当に感染した人の差分がどうなっているのか、さっぱり分かっていない。しかし、そこはちゃんと調べてられていて、国立感染症研究所が宮城県、東京都、愛知県、大阪府、福岡県で定期的にランダムに血液検査を行い、陽性者の属性を調べているようだ。具体的には、血液を調べて、過去の感染履歴を調べている。具体的には、Nタンパク質(ヌクレオカプシドタンパク質)に対する抗体の保有率を調べているそうだ。これとは別にSタンパク質というのもあるのだが、これはスパイクタンパク質のことで、現在国民対象に接種されているワクチンはここをターゲットとしたものである。Nタンパク質は、コロナウイルスの遺伝子を包む殻のことを指しており、タンパク質自体が大きく判別しやすい構造のため、コロナウイルス抗原検査ではこのNタンパク質を検出するように設計されている。Nタンパク質は現在使用されているmRNAワクチンからは人工的に生成することができないので、実物のウイルスに感染してできた抗体とワクチン接種で誘導された抗体と明瞭に区別が可能である。すなわち、本物のコロナウイルスに感染しないと、Nタンパク質に対する抗体は血中に出てこないしくみだ。このNタンパク質抗体の保有者(抗N抗体保有者)を調べると、以下のようになっている。

 

宮城県1.48%

東京都5.79%

愛知県3.48%

大阪府5.62%

福岡県2.71%


アメリカなどでは国民の6割が感染してしまっているようだが、日本では最も高い東京や大阪でも5%程度だ。アメリカの1/10である。他の地区は1~3%程度である。いまだ国民のほとんどがコロナウイルスに感染しておらず、実に優秀な感染症対策が達成されてきた証拠である。ロックダウンや罰金に基づく規制もせずに、これだけ低い感染率で死亡者も少なく抑えた日本は、スウェーデンと並んで今回のコロナパンデミックの勝者と言える。現在中国で行われているゼロコロナによるロックダウンが滑稽に見えるし、大量の死者を出した米国やヨーロッパ諸国とは比較にならない。ただ、第6波はこの低い感染率が仇になって、急激な感染者増加に繋がったが、3回目のワクチン接種がギリギリ間に合って、3月以降は落ち着いた展開を見せている。おかげで、このGWは何の規制もなく旅行等が楽しめる状況である。


このNタンパク質抗体保有量と通常のPCRや抗原検査で陽性となった者の関係をみてみる。グラフのとおり、両者には明瞭な相関関係がある。すなわち、PCR等で感染者とされた割合とNタンパク質の保有者の割合は一定の関係にあるということだ。従って、人口あたりの感染者数でいろいろ議論して問題ないようだ。

20220315covid19-positive2


このNタンパク質抗体陽性率を、それぞれの都府県の人口に掛け合わせて推定陽性者数を算出してみた。なお、Nタンパク質の保有者のうち4割が感染しましたという診断を受けていなかったそうだ。無症状で検査もされずに過ごしていたという訳だ。そうすると、普通に考えれば、PCR等で陽性とされた者の2.5倍が実際に感染した人の総数ということになるのだが、次の表を見ると、Nタンパク質抗体保有者の方がPCR等の陽性者数(のべ数)よりもかなり少ない。PCR陽性者の方がNタンパク質抗体の保有者の1.43~1.66倍あるのだ。ということは、PCRの方が過大評価しているという不思議な結果となった。

 

  PCR等陽性者数

抗N抗体保有者数

(推定実感染者数)

PCR等陽性者/実感染者数
宮城県 49,478 34,635 1.43
東京都 1,118,484 782,939 1.43
愛知県 372,511 260,758 1.43
大阪府 709,689 496,782 1.43
福岡県 229,993 138,237 1.66

PCR等の陽性者数は3月15日時点での累計値


この理由としては、1人の人が何回も陽性になってダブルカウントされた可能性、あるいは本当は感染していないのに、疑似陽性としてカウントされてしまったという可能性がある。いずれにしても、真相はNタンパク質の保有者の割合のとおりなので、実際にコロナウイルスに感染した人は、PCR等の感染者数と同じかやや少ないぐらいであった、と判断して差し支えないようだ。当初、実際の感染者数はPCR等の陽性者の2倍だ、5倍だ、10倍だと騒いでいたが、結論は以上のとおりである。コロナ女王なる煽り学者などの言っていたことは、結論として全部ハズレだったという訳だ。
次に人口10万人あたりの陽性者数を眺めていて、基本的に人口密度が高いところほど陽性者数の割合が高いという傾向が見て取れる。しかし、一方で人口密度が高いところは感染者数を押し上げる若者の比率も高く、単純にその影響が出ているだけの可能性もある。そこで、都道府県の人口と人口10万人あたりの陽性者数の関係をみると、以下のような直線関係にあることが分かる。この直線関係の上側に出るところが予想以上に高い感染者数を出したところ、下側に出るところが低い感染者で、コロナ対策がうまく行ったところという評価になる。この関係式から外れた府県を以下の表にしてみた。

20220315covid19-positive3

人口比の高陽性率県 人口比の低陽性率県
沖縄 新潟
奈良 岩手
滋賀 福島
佐賀 山形
京都 長野

 

人口の割に高い感染者数を出した県を見ると、面白い傾向がある。沖縄は一目瞭然で、感染症対策に失敗した県である。それ以外の4県のうち、3県は大阪に近接した県である。いずれも大阪との往来者(サラリーマンや学生)が多い県で、経済的にも依存しているので、こういう結果になっているのであろう。いわゆるもらい感染者が多かった訳だ。佐賀県がポツンと高い感染者数を出して居るが、これも福岡県とのサラリーマンや学生の往来が多く、経済的に依存しているという意味では関西の府県と同じような立場にある。北海道は当初高い感染者数と医療崩壊で大変な状況になったが、その後は対策が浸透した結果、平均的な数字に落ち着いている。
逆に人口当たりの感染者が人口比で低い県としては、新潟県、東北3県、そして長野県となっている。いれも3大都市圏との往来が少なく、人口密度も高くない。当然の結果であろう。

今回のパンデミックの経験は今後の新型インフルエンザなどの対策にも役立つだろう。以下に列挙する。
・外国から侵入して来るウイルスを防ぐことはできない
・PCR検査と濃厚接触者追跡、隔離政策は一定レベル有効であるが、デジタル化しないとパンクする
・マスクとRNAワクチンは強力な防御ツール
・地方都市で医療崩壊は起きない
・感染症対策と経済は強いトレードオフの関係にあり、偏った政策はだめ
・持病がある人は必ずワクチン必要



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