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2022年2月14日 (月)

ウクライナ危機をどうみるか

Warusyawa

すわ、第三次世界大戦の勃発に突入するかもしれないという緊張感を持って伝えられているウクライナ情勢。昨年からロシアがウクライナの国境に大量の軍隊を展開させて、軍事演習を繰り返しており、いつでも攻め込むぞと言わんばかりの示威行為をやっている訳だ。西側諸国は早くからこの動きを察知して、様々な外交ルートで軍事侵攻をしないように圧力をかけ続けている。

犯罪には動機があるように、軍事侵攻にも必ず動機がある。その背景の部分はあまり流れてこない。ロシアがなぜにここまで強固な軍事的圧力に転じているのか考えるためには、過去に目を転じることが必要だ。キーワードは「ワルシャワ条約機構」である。
ワルシャワ条約機構とは、かつて存在した軍事同盟である。ソビエト社会主義共和国連邦を盟主とした東ヨーロッパ諸国が結成した軍事同盟で、ポーランドのワルシャワにて設立されたために「ワルシャワ」の名を冠していた。呼びかけはソ連だったので、本部はモスクワであった。ワルシャワ条約機構は、NATO、北大西洋条約機構に対抗して組織された軍事同盟であった。

ワルシャワ条約機構の構成国
・ソビエト社会主義共和国連邦
・ブルガリア人民共和国
・ルーマニア社会主義共和国
・ドイツ民主共和国(東ドイツ)
・ハンガリー人民共和国
・ポーランド人民共和国
・チェコスロバキア社会主義共和国

かつての007のジェームス・ボンドは、東西のスパイが暗躍していたと言われる東欧諸国でスパイ活動や破壊工作を行っていて、追われると西側の国境に向けて逃げるというパターンが多かった。ワルシャワ条約機構の国々は事実上ソ連の衛星国(属国)だった訳だ。ベルリンの壁の崩壊後、ソ連を中心とした東側諸国による社会主義体制が大きく毀損して、ワルシャワ条約機構の国々は民主化され、あるいは分裂、併合され、現在ほとんどがNATOに加盟するまでになっている。旧ソ連の継承国家を自称するロシアからみれば、NATOのラインが思い切り東進したことになり、緩衝国家がなくなって直接NATOと対峙することになるので、穏やかではない。ここでウクライナまでNATOに加盟申請するとなれば、レッドラインを超えたということで、軍事的に侵攻してNATOのラインを東進させまいと考えるのは、ロシア側の理屈から言えば自然なことだ。日本に置き換えると、韓国が北朝鮮と仲良くなって統一し、米軍を追い出して中国の属国になると、対馬海峡まで社会主義国が降りてくる。同じような危機感である。現状変更は誰も好まない。

従って、ロシアからみれば、NATO不拡大の文言を確実に得ることが今回のウクライナ危機の最終目的である。この担保がないなら、ウクライナを転覆させてまでも、ロシアの軍事的コントロール下に置くという決意だろう。ウクライナは旧ソ連の構成国で第2番目に大きな国で、ロシアの領土拡大の先兵となって活躍したコサックを多く輩出した尚武の大国である。しかし、それとて、ロシアと真っ向から対峙して互角に戦えるという訳には行かない。元々ソ連の構成国だったから、ロシアから見れば、他国を侵略するという頭はなく、「自分の庭を取り返す」という程度の発想なのだろう。

本来であれば、このロシアの動きを制するために、NATOはもっとロシアに対して圧力をかけつつ対話の余地を残すべきなのだろうが、NATOの盟主である肝心のアメリカが、仮にウクライナへロシアが侵攻しても軍を動かさない、経済制裁しかしないと最初に言ってしまった。民主党の弱腰バイデン大統領ではこんなものなのだ。また、NATO加盟国のドイツが、ウクライナへ支援のために送った軍装備が「ヘルメット5000個」という笑えるような内容で、こうなるとしたたかなロシアは西側諸国のへなちょこ度を見て、交渉のレベルを極限まで上げてくる。また悪いことに、NATOの構成国はロシアから天然ガスを買いまくっていて、経済制裁したら自分たちも打撃を受ける。既にロシアの圧倒的優位で交渉が進んでいる訳だ。そうなると、焦点はNATOがどこまで譲歩するかというところが落とし所になり、ロシアがウクライナに向けて本格的な軍事侵攻を実施しなくても、果実は得ることができる可能性が高いと言えよう。

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