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2021年8月22日 (日)

武漢ウイルス研究所からのCOVID-19 流出説で新証拠が提示される

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画像(https://thenationalpulse.com/breaking/wuhan-fact-sheet/) 

2021年8月2日、米下院外交委員会のマイケル・マッコール筆頭理事(共和党)および同党スタッフが、「新型コロナの起源 武漢ウイルス研究所調査」と題する報告書(全83ページ)を発表した。その論点は、新型コロナを研究していた中国湖北省武漢市の研究所から流出したことを示す多くの証拠がある」と指摘する衝撃的なものだ。加えて、「圧倒的多数の証拠」により、「2019年9月12日以前に、ウイルスが研究所から流出したことを証明している」と武漢ウイルス研究所がコロナの発生源だと主張している。
これまでトランプ政権の時にも、アメリカの情報機関による調査結果に基づき、「ウイルスが研究所からばらまかれた」と主張されていたが、具体的な証拠の開示は全く無かった。この件に関しては、しばらく音沙汰無かった訳だが、改めて新証拠が提示されたと言える。この報告書について、残念ながら日本ではほとんど報道されていない。そこで、以下にエグゼクティブ・サマリーのみ日本語へ翻訳したので示す。

「新型コロナの起源 武漢ウイルス研究所調査」
エグゼクティブ・サマリー(翻訳版)
世界保健機関(WHO)がパンデミックを宣言してから1年以上が経過しましたが、SARS-CoV-2ウイルスとその原因であるCOVID-19の出現により、世界はまだ混乱しています。世界では、61万2,000人以上のアメリカ人を含む400万人以上の人々が命を落とし、世界の経済は壊滅的な打撃を受けています。このレポートでは、このウイルスの起源を探り、どのようにして致命的なパンデミックになったのかを見ていきます。


武漢ウイルス研究所
昨年9月、下院外交委員会のマイノリティスタッフは、マイケル・T・マコール議員の指示のもと、「COVID-19」パンデミックの起源に関する報告書を発表しました。この報告書では、SARS-CoV-2が武漢ウイルス研究所(WIV)から流出した可能性を指摘していました。 しかし、調査を続けていくうちに、より多くの情報が得られたため、今回の流行の原因として海鮮市場(起源説)を完全に否定することができるようになったと考えています。また、ウイルスがWIVから流出したこと、そしてそれが2019年9月12日以前に行われたことを証明する証拠が圧倒的に多いと考えています。
これは、報告書に記載された以下のような複数の証拠に基づくものです。
・2019年9月12日の深夜にWIVのウイルスとサンプルのデータベースが説明なく突然削除された
・2019年に中国のトップ科学者が表明した安全性への懸念とWIVの異常なまでの定期メンテナンス
・2019年10月に武漢で開催された軍事ワールドゲームの選手が、武漢滞在中および帰国直後にCOVID-19に類似した症状で体調を崩したこと
・ 2019年9月および10月の武漢の衛星画像で、WIV本部周辺の地元病院の患者数が大幅に増加し、COVID-19に類似した症状の患者が異常に多いことが確認されたこと。
・早ければ2019年後半に、人民解放軍の生物兵器専門家がWIVのバイオセーフティレベル4ラボ(BSL-4)の責任者に就任したこと
・中国共産党とWIVで働く、またはWIVに関連する科学者が、WIVで行われている研究の種類を隠したり、隠ぺいしたりする行動をとったことなどです。

遺伝子の改変
この報告書では、WIVの研究者が米国の科学者と共同で、中国政府と米国政府の両方から資金提供を受け、WIVでコロナウイルスの機能獲得研究を、時にはBSL-2の条件下で行っていたことを示す十分な証拠も示されています。この研究の多くは、ヒトに感染しないコロナウイルスのスパイクタンパク質を改変し、ヒトの免疫系に結合できるようにすることに焦点を当てていました。この研究の目的は、パンデミックを引き起こす可能性のあるウイルスを特定し、広範囲なコロナウイルス・ワクチンを作ることでした。多くの場合、科学者たちは、ヒトの免疫系に感染する「キメラ・ウイルス」(他のウイルスの断片から作られたウイルス)を作り出すことに成功していた。このような危険な研究が歯科医院と同じような安全レベル(BSL-2)で行われていたため、天然ウイルスや遺伝子組み換えウイルスが研究室から簡単に逃げ出し、地域社会に感染してしまう可能性があったのです。委員会のマイノリティスタッフは、WIVと直接関係があり、現在のパンデミックが始まる前の数年間に、痕跡を残さずにコロナウイルスを遺伝子組み換えする能力を持った機能獲得型の研究を行っていた科学者も特定しました。アメリカの科学者であるラルフ・バリック博士は、2005年という早い時期に、遺伝子改変の痕跡を残さない方法の作成を支援しました。そして、2016年には早くもWIVで働く科学者が同じことを行うことができました。このことから、SARS-CoV-2には遺伝子組み換えマーカーがないので人為的に作られたものではないとする科学界の主張は、不誠実なものであることは明らかです。我々は、ウイルスが遺伝子操作された可能性を示す十分な証拠があり、この仮説を完全に調査して、それが今回起こったかどうかを判断することが極めて重要であると結論づけている。


隠蔽工作
最初のレポートでは、中国共産党と世界保健機関(WHO)が最初の流行を隠蔽するために行った多くの方法を紹介しました。そして、その隠蔽工作によって、局所的な流行であったはずのものが世界的な大流行になってしまったのです。中国共産党は、医師を口封じのために拘束し、真実を明らかにしようとするジャーナリストを消息不明にした。実験室のサンプルを破壊し、人から人への感染の明確な証拠があることを隠しました。そして、いまだに真の原因究明を拒んでいます。それと同時に、WHOはテドロス事務局長の下、世界にパンデミックの危険性を警告することができませんでした。テドロス事務局長は、中国共産党の言い分を丸写しし、習総書記の操り人形のように振る舞っていた。今回の補遺では、WIVのトップ科学者と米国人科学者ピーター・ダザック博士(Dr. Peter Daszak)が、いかにしてこの隠蔽工作を進めたかについて、さらなる証拠を見つけました。彼らの行為は、ウイルスが研究室から流出した可能性を疑問視する他の科学者をいじめたり、ウイルスが痕跡を残さずに修正できることについて世界に誤解を与えたり、多くの場合、自分たちが行っている研究の性質や、その研究に使用している低レベルの安全プロトコルについて直接嘘をついたりしました。また、米国政府の助成金が海外の研究所で使用されていることに疑問を投げかけ、助成金の監視を強化することを求めています。


次のステップ
この広範な調査の後、私たちはピーター・ダザック博士を議会で証言させるべき時だと考えています。彼がWIVで資金提供した研究の種類については、彼にしか答えられない多くの未解決の疑問が残っています。さらに、私たちは、責任者の責任を追及するだけでなく、将来のパンデミックを防ぐためにも、議会が通過させることのできる法律があると信じています(以下に限定されません)。
中国科学院とその関連団体を制裁する。武漢ウイルス研究所とその指導者を特別指定国民および阻止者リストに掲載し、さらに適切な二次制裁を適用する。適切なレベルの安全性と情報共有を確保できていない学術的、政府的、軍事的なバイオ研究施設に対する新たな制裁を認める。

ここまでが報告書の要約だ。まず、慶が最初に驚いたのはウイルスの改変に関する部分だ。2021年6月の時点で、CDC前所長のロバート・レッドフィールド氏が以下のように疑問を呈していたことが知られていた。


「新型コロナがコウモリから未確認の動物に感染し、そして人に感染して、最も感染力があるウイルスになったというのは生物学的にありえないと私は思った。他のコロナウイルスはそんなふうには人に感染しないからだ。このことは別の仮説の存在を示唆している。それは、新型コロナがコウモリのウイルス由来で、実験室に入り、そこで、ヒトーヒト間で効率的に感染するように研究され、進化したという仮説だ」

要するに、元々コウモリのウイルスだからと言って、そう簡単にヒトからヒトへ効率的に感染するように進化はしない、人為的に改変しないと難しいという意見だ。専門のウイルス学者がそう言っている訳で、無視できない意見である。そこが今回の報告書でも指摘されている。

こうやって要約全体を眺めると、最後に名前が出てきたピーター・ダザック博士というのがキーマンとなっている。実際、2020年1月、WIVは、利害関係があるダザック博士に、WIVが新型コロナの発生源だという陰謀論を抑えるための声明文を出すよう依頼して、2月にその声明文が著名な医学誌ランセットに掲載された。2020年1月の時点では中国国内でのヒトーヒト感染が明確となって患者数が大幅に増えていた時期なので、まだこの時点で研究所から原因となるウイルスが流出したという指摘は出ていなかったのに、この人は自分に非難が来ないよう、先手を打っていた訳だ。報告所が指摘するように、隠蔽工作ととられても仕方ない行動である。

そこで、ピーター・ダザック博士とは何者か、Wikipedeaから経歴を引いてきて翻訳した。

1990年代には、イギリスのサリー州にあるキングストン大学の生命科学部に勤務しました。1990年代後半には渡米し、ジョージア大学生態学研究所やジョージア州アトランタの米国疾病対策センターの国立感染症センターに所属。その後、ニューヨークの共同シンクタンク「Consortium for Conservation Medicine」のエグゼクティブ・ディレクターに就任しました。イギリスの2つの大学と、コロンビア大学Mailman School of Public Healthをはじめとするアメリカの3つの大学で非常勤講師を務める[1]。
2000年に開催された保全生物学会のシンポジウムでは、「新興感染症の複雑な問題」に焦点が当てられていた[5]。2001年には、「人間の環境変化によって引き起こされていない野生動物の新興感染症の例はほとんどなく...また、人間の新興感染症に家畜や野生動物の要素が含まれていないものはほとんどない」と述べている[6]。彼の研究は、新しい病気が野生動物、家畜、人間の集団に与える影響を調査・予測することに重点が置かれており、ニパウイルス感染症、オーストラリアのヘンドラ発生、2002-2004年のSARS発生、鳥インフルエンザ、西ナイルウイルスなどの伝染病に関する調査研究に携わってきた[6]。
2014年からは、EcoHealth Allianceに授与された、コウモリを起源とする新しい人獣共通感染症コロナウイルスの出現に焦点を当てたNIHの6年間のプロジェクトの主任研究員を務めました。 このプロジェクトの目的のひとつは,中国南部のコウモリに生息する重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルス(SARSr-CoV)の多様性と分布の特徴を,スパイクタンパク配列,感染クローン技術,感染実験(in vitroおよびin vivo),受容体結合の分析などのデータに基づいて明らかにすることであった[8]。 [この6つの1年間のプロジェクトは、米国国立衛生研究所の一部である国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)から375万ドルの資金提供を受けています[7]。
また,国際自然保護連合,世界保健機関(WHO),米国科学アカデミー,米国内務省などの委員を務めています[1]。 米国科学アカデミー,米国科学・工学・医学アカデミー(NASEM)の「微生物の脅威に関するフォーラム」の委員長であり,One Health Commission Council of Advisorsの監督委員も務めています[9]。
大規模なウイルスの発生時には、Daszakは動物から人間へと種の壁を越えて移動する病気を含む伝染病の専門家として講演に招かれています[9][10][11]。 2014年に西アフリカでエボラ出血熱が発生した際、Daszakは「我々の研究は、新興のパンデミックの脅威を発生源で軽減するための新しいアプローチが、病気が発生した後に世界的な対応を動員しようとするよりも費用対効果が高いことを示している」と述べています[12]。
2019年10月、米国連邦政府が、米国国際開発庁(USAID)の新興脅威部門が運営していたPREDICTという10年前のプログラムを「静かに」終了させたとき[14]、ダザックは、米国が西アフリカでのエボラ出血熱対策に費やした50億ドルと比較して、2億5000万ドルかかったPREDICTははるかに低コストだったと述べた。さらにダザックは、「PREDICTは、パンデミックが発生するのをじっと待つのではなく、パンデミックを未然に防ぐためのアプローチだった」と述べている[14]。
2020年現在、ダザックはWeb of ScienceのHighly Cited Researcherに指定されている[15]。 学術論文での引用に加えて、彼の研究は主要な英字新聞[16][17]、テレビ・ラジオ放送、ドキュメンタリー映画[18]、ポッドキャストなどでも取り上げられている[19]。
2021年現在、Daszakはニューヨークに本部を置くNGO「EcoHealth Alliance」の代表を務めている[20]。 彼の研究は、重症急性呼吸器症候群(SARS)、ニパウイルス、中東呼吸器症候群(MERS)、リフトバレー熱、エボラウイルス、COVID-19などの世界的な新興感染症に焦点を当てている[1][21][22]。
パンデミック前、ダザックとエコヘルス・アライアンスは、米国を拠点とする唯一の組織として、中国でコロナウイルスの進化と感染を研究しており[24]、武漢ウイルス学研究所などと提携していました。米国でCOVID-19のパンデミックが始まった後の2020年4月1日、USAIDは2019年9月に資金が切れたEcoHealthプログラムを6ヶ月間緊急延長するために226万ドルを交付した。 [25][26]カリフォルニア大学は、この延長が「公衆衛生対応に情報を提供するためのアフリカ、アジア、中東におけるSARS-CoV-2症例の検出」と「アジアと東南アジアで過去10年間に収集したデータとサンプルを用いたSARS-CoV-2の動物由来または発生源」の調査を支援すると発表しました[26]。
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新興感染症の由来や拡大に関する先鋭の研究者であることは間違いない。人類を脅威に陥れる感染症と立ち向かうため、基礎的な研究を推進するという意味で、大いに敬意を払うべき経歴である。

問題は、コウモリ由来のウイルスの研究を行うにあたって、武漢ウイルス研究所と関係を持ったことである。もちろん、中国の研究機関とアメリカの研究機関が連携することは、学術的交流の観点および、過去にもSARSウイルスが中国に生息しているコウモリ由来の可能性が高いといわれていて、アメリカ国内ではサンプルを入手できないことを考えれば、至極当然の流れかもしれない。しかし、中国という国が一党独裁国家であり、サンプルも情報も相手方の都合の良いように捻じ曲げられたり、突然人民解放軍が入り込んできたりする危険性については、かなり無防備で脇の甘い研究者だったと思われる。

アメリカ議会にレポートが提出されて、これから議論が沸騰するかもしれない。ダザック氏が議会に呼ばれて証人喚問を受けるかもしれないが、最初から隠蔽工作のような行動をしているので、否定ばかりして新証言は出てこないだろう。また、医学的あるいはウイルス学的に専門的なことを議会がどこまで追求できるかも見通せない。結局のところ、すべてが状況証拠の積み重ねであって、ウイルスが研究所から流出・拡散したという「決定的証拠」を示している訳ではない。決定的証拠というのは、WIVに同じ遺伝子配列を持ったウイルス株が存在したこと、最初に病院に担ぎ込まれた患者がWIV関係者で、しかも分離されたウイルスが研究所のライブラリーにあった株と同一であったこと、これらの要件がすべて満たされないと証明は難しい。中国側は当初から隠蔽で動いていたことは間違いないし、当然認める訳はないから、中国から新しい情報が出てくることはない。関係者が亡命してきて証言しない限り、決定的証拠を見聞きすることはできないだろう。ただし、ちゃんとした研究者を専任して、ウイルスの起源について徹底調査する活動は続けて欲しい。

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