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2020年7月22日 (水)

車中泊をしてみて昔との違いを感じたこと

Truck-station

新型コロナウイルスの蔓延に伴い、公共交通機関による長距離移動、ホテルへの宿泊という出張スタイルが一時的に崩壊した。いや、非常事態宣言が解除された現在でも、元の状態とはほど遠い。非常事態宣言時の東京発下りの新幹線の自由席乗車率がゼロとか、通常ではありえない状況であった。これまで国内の出張者とインバウンドで宿泊する外国人でごった返していたビジネスホテルも、すっかり開店休業状態である。まさにホテルが劇的にガラガラになったのだ。

そうした状況で、在宅勤務や休日は巣篭もりが推奨されているものの、必要最小限の移動はどうしても必要だ。他者との接触を避けつつ確実に移動するためには、公共交通機関ではなく、自家用車による移動ということになる。車という密室空間でドアtoドアで移動する分には、感染するリスクはゼロだ。この場合は、どうしても長距離になると車中泊という状態に陥る。慶も3月以降に車中泊での移動を何度か余儀なくされたのだが、普段やらない車中泊を経験してみて、いくつか気がついたことがあるので書き留める。

まず夜間の高速道路は交通量が少ないのだが、走っているのはほとんどが長距離トラックである。高速道路は重要なロジスティックの基盤インフラなのである。慶が若かりし頃は、このトラックの運ちゃんと言うと暴走野郎が多く、デコトラで煽り運転を繰り返すなど恐怖を覚えること星の数ほどあったのだが、今ではデジタルタコメーターで記録を取られて、会社側のコンプライアンスとかもやかましく、法定速度で粛々と走っている。その運転手たちは、休憩や時間調整のため、高速道路のパーキングや郊外の大きな道の駅の駐車場でエンジンかけたまま寝ている。昼間は気が付かないが、夜中はパーキングにびっしりとトレーラーやトラックが並んで休憩しているのだ。昼間では滅多に見ない光景。

慶も車中泊してみると、最初はベットで寝るより苦痛と思っていたのだが、意外と熟睡できるのだ。車のシートというのは、人間工学的によくデザインされており、長時間座っていたり、加速減速でGがかかっても腰や背中への影響が少なくなるよう設計されている。ソファーほどではないが、座イスよりは遙かに居心地が良い。少なくとも、普通の椅子に座って寝るより断然心地よい。またパーキングや道の駅だとトイレやゴミ出しで困ることはない。食い物と飲み物だけあれば一晩過ごせる。まあこれほど金がかからない宿泊法はないだろう。しかもよく観察すると、キャンピングカーもしくはミニバンを改装した車に乗り込み、車中泊で旅行している中高齢者が結構多い。リタイヤした高齢者が、こうした車中泊で旅行するのが静かなブームになっているそうだ。アメリカとかでは牽引可能なトレーラーを「移動する部屋」として週末あるいは一定期間遠出する「トレーラーハウス生活者」が多く映画とかでもよく登場する。ある意味キャンプよりも合理的な手法である。日本でもそういう人口がじわりと増えているのだ。高倉健が主演していた遺作「あなたへ」において、ミニバンに乗りこみ、富山から亡き妻の故郷である長崎まで車中泊で移動して、途中途中で同じように車中泊で生活する人たちと意外な出会いをするという映画があったが、実世界でもそれが広がっているのだろう。

無論、旅館に寝泊まりせず旅行しているのでかなり貧困層に近い人々であることはアメリカと同じだが、誰にも干渉されず、余計な計画は立てず、自力で自由に生活しながら旅行するのは痛快であろう。人生の締めに自宅で籠るのではなく、こういう放浪旅行をするというのは、慶もなんとなく憧れる。予想より早く、そういう体験ができた。

ただ、ある車中泊移動者(高齢夫婦)が、ドリンク休憩中に慶に話しかけて来たが、どうしてもエンジンかけたまま一晩過ごすとなると色々地元住民や駐車場の管理者とのトラブルが多いようで、高速道路はいいのだが、一般道だと大きな道の駅しか泊まるところがないということだ。日本には車中泊で旅行するためのインフラが貧弱なのである。それは非常に残念な話だ。これだけ日本中に道の駅があるのだから、コイン式のシャワーブースやコインランドリーを併設して、車中泊移動者へ便宜を図る投資をしてはどうだろうかと考えた。

次に感じるのは、慶が知っている80年代中頃から90年代前半と比較すると、夜はとても静かで安全だということだ。まず暴走族なるものの姿をほとんど見ない。昔は夜の国道を走れば、たいだいヤンキーか暴走族がチラチラ走っていて、コンビニや自販機の前にたむろしていたのだが、今では全然見ない。女性が一人歩きしていても大丈夫なほど、危ない連中が居ない。警察の取り締まりの成果なのか、単なる少子高齢化あるいは草食化で暴れる若者が減っただけなのか、理由は分からない。あまりにスイスイ走れるので逆に怖いものだ。

最後に、24時間営業の店がめっきりなくなった。80年代、90年代だと、少なくとも主要国道沿いのガソリンスタンドは24時間営業だった。いまではそもそもガソリンスタンドの数が少ないし、夜間空いているところはセルフぐらいで、人が常駐しているスタンドはほとんどない。さらに、飲食となれば、ジョナサンのようなスタイルのファミリーレストラン、トラック運転手相手のラーメン・うどん・そばの店、ほっかほか亭など、24時間営業の店がぞろぞろあった。また、今では想像できないが、24時間営業の本屋、レンタルビデオ店も数多くあったのだが、今では壊滅的に夜間は営業していない。いま24時間営業しているのは、コンビニとコインランドリーだけだ。80年代、90年代と全く様子が変わらないのは自販機のたたずまいだけと言って良い。

そんなこんなで、学生時代から数えて30年以上夜型生活から遠ざかっていた慶がみた2020年の夜の街を振り返った。いかがでしたか。


注)移動旅行が前提の車中泊は一つの旅のスタイルとして面白いが、家を追われた生活困窮者も車中泊生活を行っており、こちらは見るからに悲惨だ。やはり基本は雨風凌げる住宅に住むのが健康で文化的な生活の基本だと思う。

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