« 果物の端境期が苦しい | トップページ | 地方の魚肉練り製品を改めて見直す:カツタイプの練り製品 »

2020年6月14日 (日)

Amazon.com・楽天になれなかった日本初のインターネット販売サービス企業

Daiichi-kaden

世界的に店頭販売からネット販売に商形態が大きく変化している。新型コロナウイルスによる巣ごもり傾向によって、この流れがさらに加速して、店頭販売などは少数派に墜ちてゆくのではないかと思われるほどだ。このインターネットで注文して、郵便や宅配便で家庭の玄関まで届けるサービスはいつごろ始まったのだろうか。

現在インターネット販売の巨人であるAmazon.comは1995年7月にアメリカでオンライン書店としてのサービスを開始している。その後、書籍以外まで販売対象品を広げて現在に至っている。アメリカ企業ではあるが、世界中で大量のインターネット販売を手掛けるなど、ガリバー企業である。従来の小売り業を根本から破壊してきた存在でもある。日本国内では、1997年5月に楽天市場がオープンして、Amazon.comと同じようなインターネット販売サービスを開始している。現在Amazon.comや楽天と争っているYahooショッピングは楽天市場よりもさらに2年遅れで1999年にインターネット販売サービスを開始している。現在この3巨頭が国内のネットショップ市場を牛耳っているのだ。1990年代の中頃から後半にインターネット販売というビジネスモデルが始まったと言える。

そもそもだが、玄関までモノを届ける通販という業態は古くからあった。新聞広告や折り込み、あるいは雑誌の片隅に通販の広告があり、あるいはカタログが送られてきて、郵便為替などで支払うと郵便で届くというものである。慶の実に恥ずかしい経験であるが、新聞広告で「寝ている間にグングン記憶できる枕」などというまがい物に飛びつき、送られて来たものは台形の枕の中にカセッテープ再生機が仕込んであり、コレで自分で録音した英単語のテープをかけなが寝ていたが、うるさくて全然眠れないし記憶もできないという笑い話もある。他にテレビショッピングというのも急拡大していた。日本通販などは、よく番組と番組の間にCM感覚で流れていたものだ。いずれも1970年代にその端緒が拓かれている。通販とインターネットショッピングは構造的に違いはないのだが、好きなものを無限に検索でき、注文した瞬間に発送準備が揃うという意味で、従来の通販やテレビショッピングとは一線を画している。

一方で、現在主流のインターネット注文・販売・配送システムであるが、実はAmazon.comよりも歴史が古い取り組みを行っていた日本企業があったことをご存知か?広島の家電量販店「ダイイチ(その後デオデオと改称→合併してエディオンと社名が変更)」がインターネット上で洋書の販売を行っていた。ホームページ上で会員登録して、その後取り扱える洋書を検索して、リストにあるとそれを選択してメールで発注するというものだ。価格は外国での販売価格(検索時の為替レートが勘案される)に、一定の手数料を乗じるスタイルである。あまり記憶は定かではないが、20%ぐらい上乗せすると、送料込みで送られて来ていたと思う。洋書というのは、よほどのベストセラーでない限り国内の本屋に並んでいないので、基本本屋で発注して入手するのだが、やたら高額な手数料を取られるし、船便とかなると2、3ヶ月はかかるので、早々に入手できるシロモノではなかった。それが、ホームページ画面から気軽に発注して、おそらく瞬時に外国へ発注情報が届き、多くは航空便で届くというお手軽なものだ。まさに今のインターネット通販のはしりである。電話もいらない、価格は画面で確認できる、確実に、早く、安く到着する。

このダイイチによる洋書のインターネット販売が開始されたのは、なんとAmazon.comが同様にインターネットで書籍の通販を始める2年前、1993年のことである。慶もインターネットでホームページにアクセスしたり、あるいはEmailなる、今では古いが当時は謎で斬新な通信手段を始めたのがこの1993~1994年のことである。まだホームページを開設している企業も少なく、それもパンフレットのような紹介サイトと連絡のためのメールアドレスが張ってあるだけのシンプルなものだったのだが、このダイイチの洋書発注サイトは斬新だった。知り合いがダマされたと思って試してみたらすぐ本が届いたということで、慶もネット元年でコーフン状態だったので、特に洋書など読みもしないのに、興味本位で発注したものだ(実際に確実に届いた)。それにしても、インターネットのごく初期に、本場のアメリカのAmazon.comより2年も早くインターネット販売を始めていた日本企業があったとは驚愕である。このダイイチとは本屋でもネット専門の企業でもなく、広島を地盤に西日本で広く家電販売を行っていた家電量販店である。当時西日本にはベスト電器という福岡を地盤とする家電量販店の巨人がおり、両者が熾烈な価格及び分厚いアフターケアサービス競争をやっていた。どういう経緯でダイイチが洋書販売を手がけたのか、ネットで調べても一切出ていない。しかも残念なことに、このダイイチが始めたネット通販は書籍大手やAmazonに食われてしまって、さっさと事業を手放してしまったようだ。もしダイイチが本気になって、書籍だけでなく、それこそ本業の家電やあらゆる商品をネットで販売する事業を拡大していたならば、今頃楽天市場を押さえ込んだ巨大ネット通販企業に成長していたかもしれない。しかし、家電量販店という立場上、ネットで家電を安く販売してしまうと、自分の会社の店舗を潰してしまうので、それはできなかったのだろう。エディオンとなった現在では家電だけでなく、多くの製品のネット販売を手掛けているが、一度手放したビックチャンスはそう簡単に戻っては来ない。実に残念な結末である。

« 果物の端境期が苦しい | トップページ | 地方の魚肉練り製品を改めて見直す:カツタイプの練り製品 »

パソコン・インターネット」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。