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2019年12月15日 (日)

食をそそる「赤」の魔術

年末になると、無性にカニに魅了されてしまう。もちろん、カニはうまいが、なにぶん高い。特に国産のズワイガニとなれば、1匹最低3千円以上、大方は中サイズが4-6千円ぐらい、大きいのは1ー2万円である。いくら何でも、カニごときで1万円も払うというのは尋常ではない。結局庶民の食卓には1年に1回ぐらいしか出てこないものである。
そこでつらつら考えると、どうも日本人というのは、食材の色に惑わされているのではないかと怪しむようになった。とにかく、「赤=高級」という魔術にかかっていると思われる。
【肉】特に高級牛肉の調理する前の色は赤だ。スーパーの特売も、ネット通販も、ふるさと納税の返礼品も、和牛が頻出するが、いずれも加熱前の生肉の真っ赤な写真である。色の薄い豚肉や鶏肉の場合は、特売価格は表示されているが、写真は出ていない。ハムも発色剤でピンクになっていなければきっと売れないだろう。
【魚】この分野ほど赤が珍重される食材はない。何はさておきマグロ。これも赤だ。同じく人気なのはサーモンで、これはオレンジ色だが、似たようなものだ。マダイなど白身の魚はすっかり不人気らしい。最近は回転寿司にさえマダイは出ていないことが多い。キンメダイも人気だ。先出のカニは典型的な高級食材で、同じくエビも赤なので大人気である。茹でたタコ、特にアフリカ産の輸入モノは色がピンクに近く大人気である。
【野菜】スーパーの野菜売り場に行くと、トマトの品揃えの多さに驚く。当然、色が濃ければ濃いほど人気があり、高い。日本人はトマト1個に100ー150円以上払っているが、恐らくトマトの本場であるイタリア人が見たら仰天するだろう。向こうでは缶詰やジュースにするぐらい、トマトは安い。パプリカも人気で、同じ見た目のピーマンの3倍ぐらいの値段がする。一方で、赤唐辛子は良い色をしているが、日本人は辛みが苦手なので、これは人気があるとは言えない。
【果物】イチゴは特に人気だ。まさに味よりも見た目が優先される果物である。同じ色のサクランボも高級果物だ。リンゴは赤いが、それより小さいトマトと値段は変わらないので、物価の優等生である。もし断面が赤いリンゴが開発されたら、価格は3倍になるだろう。断面が赤いスイカ、オレンジ色の赤肉メロンも大人気である。
Strowberry
なぜに日本人がここまで赤い食材に惑わされるのか、この理由は分からない。慶の仮説として、もともと肉食を禁じられていた日本人は、肉の赤い色に飢えていたので、その禁欲から宗教的、あるいは牛肉が安くなって庶民まで手が届くようになって、赤にくびったけという、「解放説」。もしくは、ハレの日に赤飯や赤い餅、ちゃんちゃんこなど、あるいは神社を赤く塗り分けるなど、紅を好んだ性質に由来している「ハレの気質説」。どちらも証明のしようがないが、この赤を好む性質は、まだまだ100年ぐらいは続きそうだ。
しかし、アイスクリームなどは、むしろ赤は珍重されず、バニラやチョコなど見た目は地味な色ばかりだ。ケーキなども同様。ヨーグルトも牛乳もさすがに着色したものは好まない。要するに、潜在的に色と味を天秤にかけた場合は、味の方を優先する感覚は生きているようなので、この赤好みも未来永劫という訳ではなさそうだ。

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