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2019年12月11日 (水)

実にわかりやすいジェットコースター経営

立ち食いステーキ屋として名を馳せ、一時は出店ラッシュで爆走中だった「いきなりステーキ」。春頃から雲行きが怪しくなり、ここに来て急失速しているそうだ。このいきなりステーキもわずか2年前はイケイケ・ドンドンで、社長が神がかってしまったのか、遂に安倍総理に手紙を出すことにまでなった。その手紙の内容を以下に転載する。

2017年2月に安倍総理に宛てた手紙の内容
「私はいきなり!ステーキ社長の一瀬と申します。2013年に銀座で開店して以来、国内で116号店まで成長しています。ほかに類を見ないほどスピード展開を推進しており、雇用者数は全国で3000人を超えました。メディアで非常識の塊といわれるほど、従来の概念を打ち破るステーキ店です。
このたび、2月23日にニューヨークに開店致しました。私は「米国産の牛肉をアメリカ人のスタッフにより、アメリカ人のお客さんに提供したい」とあいさつしました。このことは、トランプ大統領閣下も喜ばれることと確信しています。
数多くの外食企業が米国へ進出する中で、ステーキの本場ニューヨークへの出店は(ステーキ業態の)日本企業として初めてのことです。安倍首相にもぜひ食べていただきたいです。このようなバイタリティーあふれる企業も存在することを知っていただきたく、手紙を出させていただきました。
外食企業の日本代表という志を持って米国進出を成功に導きますので、どうかこんなものもいるのかと記憶の隅に留めておきますようにお願い申し上げます」

丁度ステーキの本場であるアメリカに出店した直後に公表された手紙だ。いかに自分が沢山の人を雇用し、景気回復に貢献しているか、自信に満ちあふれている。しかし、この手紙をみた慶は、「成金根性丸出しだな」「盛者必衰の理をあらわす」と蔑んで読んだものである。

ここのところ、日本は肉ブームである。いや、肉ブームというより、魚離れと言ってしまった方がよい。魚が軒並み総崩れなのである。だいたい単価からして、魚を食うぐらいなら牛肉食ったがマシと考えるのは実に合理的である。なぜ魚が牛肉と同じ値段がするのかは別途議論したいが、要するに、食の西洋化が最終局面に入ってきたと言っても過言ではない。
慶はこの食の西洋化のギアを入れたのは、速水もこみちも相当影響していると考える。イケメン俳優が朝から一品調理をやるのだが、その料理はすべてと言っていいぐらい肉だらけだった。この番組を見ていた若い女性が丁度主婦層に入って来て、それこそ毎日食卓が肉という状態になってしまっている。そうすると、肉というのは元々飽きやすいので、鶏肉や豚肉に飽きた人々が、牛肉の方に流れて来ているのである。

いきなりステーキの一瀬社長は、狭い店舗で食材の原価率の高いステーキを出しても、客を回転させれば儲けが出るとにらんで出店し、そして実際に当たったと思っている。しかし、それは偶然の産物である。丁度世の中の人が安い肉に飽き始めて、高い牛肉へと流れはじめたところで、たまたまステーキ店を出したというタイミングだけで成功したも同然なのである。従って、他店でステーキが普通に出るようになってしまえば、もはや存在価値は失われる運命だったのだ。しかも、牛肉でされ、飽きるものなのである。いや、そもそも牛肉は高いし硬いので、これが主流になることはない。

遂に赤字経営に陥って、消費増税で客足も遠のきはじめたため、これまでの出店攻勢が思い切り経営の足を引っ張るようになってきている。まさに上昇が大きければ下降も大きいというジェットコースター経営である。慶も4、5年で飽きられると思っていたが、絶頂期から2年で赤字とは想像以上だった。それにしても、客足が遠のいたからと言って、今度は泣きの社長の手紙を店先に掲げて客を呼び込もうとはみっともなくて見ていられない。
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ただ、ペッパーフードサービス社は元々「ペッパーランチ」という、お手頃価格のステーキをショッピングセンターのフードコートなどで提供するビジネスを手広くやっていて、個々の客層を見ると、子連れの家族から、高齢者まで、「ちょっと肉をガッツリ食べたいな」というニーズを上手く掴んでいる。いきなりステーキの形式はちょっと割高だし毎週食べるようなものでもないので、当然不採算店は閉じて行かないと大荷物になるだろう。

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