« 日本文化のすごさを自画自賛する番組群 | トップページ | 愛すべきミックスジュース »

2019年5月12日 (日)

米中貿易戦争がひどくなっている

昨年のいまぐらいから、アメリカが中国との貿易による輸入超過を問題視し、貿易協議を開始している。慶はUSTRに例のライトハイザーという、日本から見たら身の毛もよだつごり押し交渉人がいることから、これは絶対にもめるぞと思っていた。その後1年間、間違いなくもめ続けている。しかし、中国側はアメリカと正面衝突しては自分たちの方の被害が大きいことを良く分かっており、四の五の言って折れたフリをしたり、徹底抗戦をカマしてみたりしていたところだ。しかし、昨年10月にペンス副大統領が演説した内容は、事実上の中国への戦線布告で、これをみれば、米中貿易戦争というのは、貿易赤字減らしという単なる経済問題に留まらず、両国の覇権争いという政治的要素で満ちあふれていることが良く分かる。
日本は1980年代にアメリカとの貿易摩擦を抱えて四苦八苦した歴史がある。レーガンと中曽根康弘は仲が良かったのに、こと経済問題となるとアメリカは安全保障問題とは切り離し、USTRという訳の分からない官僚組織を利用して、一方的な交渉をしかけてきた。その交渉の実務者にいたのが、いまのライトハイザーである。同盟国を潰しにかかるための、ヒットマンと言っても過言でない。このUSTRと労組を抱える民主党の議員が屈託して、一方的な日本いじめを繰り返したのが1980年代である。それでも日本は経済的に繁栄し、削り取られた分を何とかカバーしていたが、バブル経済に踊って自分でつまずいてしまい、以後アメリから敵視されることもないほど、落ちぶれた。そうした流れで、日本にとって仮想敵国の中国が、同盟国のアメリカにかつての日本に対するのと同じように攻撃されているのは、安全保障上結構なことである。一方で、「こっちに矢が飛んで来なければよいのだが」という一抹の不安も抱えていることだろう。
アメリカ側が中国側へ強く指摘しているのは、(1)知的財産の収奪(2)中国企業への強制的技術移転(3)不公正な競争力を与える産業補助金(4)国有企業による歪曲化・過剰生産体質の是正などである。特に米国の技術を盗み取るような中国の行為は絶対許さないという米国側の強い姿勢が目立っているが、中国側はそもそも知的財産の収奪も強制移転も強要していないと、原則論、ボケたフリでごまかし続けている。交渉期限を何度も延長してきたが、5月に入ってしびれを切らして、ついには中国からの全製品に25パーセントの完全を課すと宣言した。中国が完全に折れるまでは、一歩も譲らないというアメリカ側の姿勢は強烈である。
米中貿易戦争が単なる経済問題ではなく米中の覇権争いというのは分かるのだが、実際はアメリカの旺盛な消費欲は中国からの大量に輸入によって支えられており、これに大打撃を与える政策を拙速に進めれば、世界経済を牽引するマッチポンプが潰れてしまい、米中だけでなく、世界中が経済的に打撃を受ける。実際に各国では株価の下落が進んでいる。場合によっては、リーマンズショック級の経済打撃が起きることも思慮される。もちろん、世界経済が不調になっても、最大の被害を受けるのは中国であって、相対的にアメリカが大損する立場にはない。そこが強気の姿勢を貫くバックボーンになっているのだが、商人感覚では先行きが見えずに安心していられない。もしリーマンズショック級の経済混乱が発生すれば、サプライチェーンに組み込まれている日本経済へも影響が及ぶことが必至で、その際は消費税増税の延長も頭をもたげてくる可能性はある。安倍総理が「リーマンズショック級の経済混乱がなければ予定通り秋に増税」と言っているように、常に枕詞がついている。これはあり得るからそう言っているのであって、アメリカは世界経済がダメージを受けても、中国を潰すことを優先する、という覚悟をもって貿易協議を行っている、というのを安倍総理が感じている証拠でもあろう。
そうなると、米中貿易戦争悪化→世界経済の減速→日本経済の減速→景気対策を徹底するための衆参同時選挙という流れもあり得る。この夏は経済的にも政治的にも、かなり穏やかでないことは間違いなさそうだ。

« 日本文化のすごさを自画自賛する番組群 | トップページ | 愛すべきミックスジュース »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 日本文化のすごさを自画自賛する番組群 | トップページ | 愛すべきミックスジュース »