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2018年4月14日 (土)

学校給食制度にもイノベーションが必要

神奈川県大磯町で「まずい給食」問題がニュースになったが、その後どうなったかと言えば、教育委員会が委託先の給食製造業者の変更を検討していたところ、その決定前に槍玉に挙げられた業者側から納品を中止すると通告された。町は慌てて別の業者を募ったものの、なんと、「リスクが大きい」ということで、全部断られ、給食提供がストップしている。従って、基本は弁当持参状態のようだ。
一般に業者は事業を拡大継続するためにも、まとまった仕事は必死で取りにくるものだ。すべての民間業者から断られるということは、コストの問題ではなく、リスクの問題、すなわち、モンスターペアレンツがゾロゾロ待ち構えている、異物が入っているとか味が薄いとか難癖ばかり言って食わない生徒の多い学校の給食事業など受託できるものかということだ。こういうのを、巷では「ブーメラン効果」という。残飯率が高いことは事実なのかもしれないが、他の自治体と比較してクオリティーはどうなのか、クレーム自体に客観性、合理的な要素があったのか、そこを思慮することなく、安直にマスコミへ積極リークしてしまった結果、告発した親側が大迷惑するという最悪の結果になったと言えよう。給食の問題は地域の問題であり、ネットにリークして火を付けて解決するような問題ではない。実にバカ親が居たモノだ。
それはさておき、最近朝日新聞で、横浜市の学校給食の質が低下しているとの報道があった。これには具体的な写真が添付されていて、それを見ると、メロンがどんどん小型化し、八宝菜のような主菜に入っていたエビが消えている。食材費の高騰が背景にあるという。中には魚や肉をやめて、竹輪やミートボールに切り替えているところもあるという。これは栄養学的に大問題である。守るべきは子供たちの栄養状態であって、食材費の高騰のしわ寄せを給食の質に反映するべきではない。
Yokohama_elem_meal

文科省の資料をみると、学校給食の月額は、小学校で平均4200円、中学校で4800円となっている。また、年間の給食回数が190回といわれている。8月の給食費はないので、単価を出すと、小学校で243円、中学校で278円となる。牛乳は必ず付いていているので、この単価(80円ぐらいか)を差し引くと、1食あたり160~220円という単価になる。ほとんどコンビニのおむすび+αという少ない金額で給食はまかなわれているのである。これを事業として請け負って利益を捻出できる民間業者はそう多くないと思われる。このことが、学校給食がいつまでも自治体の税金で補助され続け、給食センターという人件費食いの施設が生き続け、質の改善がなされない最大の要因となっている。
食材費も人件費も年々高騰する状況では、自治体ごとに最安値の食材を調達し、厳しい財政状況下で給食サービスを実施するのは既に限界に達していると言わざるを得ない。だからと言って、給食費をさらに値上げするとなれば、「そもそも昼飯だけでここまで払わせるか!」という保護者側からの反発も大きい。だいたい今でも給食費を滞納する家庭が結構居るのである。結局肉も魚も出せずに根菜ばかりで、貴重なタンパク源を竹輪や豆腐に置き換えるというのは、本来の食育の目的を逸脱しているが、食材費や人件費が上昇し、給食費は値上げできない現状では、こうなることは必至だと言える。
民間業者への委託に関して、上記のようにデリバリーコストを考えると厳しい。しかし、これがフローズン流通なら、決して難しくもない。結局食育だ、地産地消だと教育的な視点を入れたがるからコスト高になるのであって、「子供たちに安く良質な食事を」という基本に立ち返って民間の力を入れれば、現状でも給食費を値上げすることなく、質の向上は図れると考える。
慶が考えて最も効率の良い配給システムは機内食である。皆さん外国便に乗って、2回ほど出てくる機内食にクレームを入れますか?立派なものである。それでいて、単価は安いもので500円ぐらいである。しかも、暖かいし、肉も魚もたっぷりである。この機内食であるが、基本的には空港の近くで少数人数で集中調理され、これが冷凍状態で機内へ持ち込まれる。そして、専用の加熱器で暖められ、乗客の元へ届けられるシステムである。このシステムをそのまま流用すれば、食材は各ブロックごとに製造された後、冷凍段ボール詰の状態で各学校へ配送される。そして、実際の調理は、外部委託された業者に雇用された地元在住の派遣職員1人が9時すぎに学校へ入り、機内でお馴染みの加熱機能付きのカートに冷凍された食材入りトレーをセットし、加温ヒータを入れる。そして昼休みになったら、生徒たちがそのカートをコロコロ引いて各教室へ移動して配膳する。ちゃんと暖かいし、配膳手間はスープ以外不要だ。食べ終わった容器などは生徒たちが紙タオルなどでざっと拭き取り洗浄し、コンパクトに梱包したのち配送元へ返送するのである。
このシステムであれば、食中毒や異物の問題も発生しないし、必要最小限のコストで高い質のランチを食べることができる。場合によっては、老人ホームなどの配送にも転用でき、色んな意味で社会的なコストを下げることが可能となる。もう良い加減に食育などと言った理想論など捨てて(そもそも家庭の仕事)、単純にコスパと安全性を追求して給食の安心感を保証して欲しいものだ。

Delta_airline_meal


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