« バブル崩壊後の中国国内を予測 | トップページ | 懐かしのアナログオーディオ:さらばレコード(その1) »

2013年7月15日 (月)

ネット選挙を解禁しても何も変わらない

1週間後に投開票が予定されている参議院選挙。年末の衆議院選で自民党が圧勝し、その後は野党となるべき民主党も日本維新の会も何一つポイントを稼げず、このまま再び自民党圧勝で長期保守政権が誕生することが確実視される。この選挙では政権公約というのがさっぱり鳴りを潜めている。理由は簡単だ。民主党が鳴り物入りで政権与党になった時に、そこに書いてあった政権公約は何一つ実行できず、有言不実行だったので、国民が全く信用をしていない。自民党は元々政権公約を立てるのは大嫌いだから、今回の選挙では何が争点なのかさっぱり分からない。
ただ今回の選挙で大きく変わるのは「ネット選挙解禁」である。一定の制約はあるが、事実上候補者がインターネット上で選挙運動を行うことができる。インターネットの世界は個人で文章や画像をどんどんネット上にアップロードして、思い切り自分の信念や政策をアピールすることができるし、人出もかからずとても安上がりである。選挙運動といえば、ウグイス嬢が白手袋をして、延々候補者の名前と「どうぞよろしくお願いします」「ありがとうございます」を連呼するだけの実に殺風景な光景が過去半世紀続いてきた。国政選挙だけで無く、自治体の首長や議会選挙など、ほぼ毎年選挙があるから、正直うざくてどうしようもない。その割には金がかかるので、立候補して当選するのは土建屋、商工会議所、宗教団体に担がれた候補者ばかりである。ネット選挙が解禁されることで、金のかからない選挙運動が可能である。むしろ遅かったと言える。
それにしても、この前テレビで政治部記者が出ていて、ネット選挙でどうなると聞かれ「当然ですが投票率がかなり上がるでしょう」とコメントして大爆笑した。おいおい、インターネットの普及率だけで単純にかさ上げしてコメントするなどド素人だ。インターネットの普及率には、世代間格差があり、デジタルディバイドと呼ばれる状況が存在しているのを分かっているのだろうか。以下に総務省が調べた年代別のネット利用率のグラフを作ってみた。
Internet_percentage
これを見ると、ネットを毎日使う、すなわち、インターネット利用が生活の一部になっている人の割合は、20歳代と30歳代で高いものの、それ以上の年代ではどんどん低下する。選挙に必ず出かける60歳代以上では、インターネット利用率は17%以下。70歳代以上の女性では、たったの1.8%である。少なくとも、選挙行動で主役を担っている高齢者はインターネットをあまり利用していない。専らNHKのニュースが唯一の情報源である。そういう人たちにネット選挙を解禁しても効能は全くない。
次にインターネットを利用している若い世代は、基本的に選挙に行かない。選挙に行かない人は、インターネット上の選挙運動を見ても、「いいね!」「Tweet」ボタンを押しておしまいである。足を運ぶこと自体が面倒な世代は、ネット画面上で投票できない限り参加しない。だから、ネット選挙の効能はほとんど「無い」に等しい。
ということで、ネット選挙は候補者にとっては安上がりでメリットがあるものの、実際の投票行動には繋がらないから、候補者の気休めとしての効能しか無いというのが慶の見立てである。

(追記) 参院選時の出口調査によると、投票時にインターネット選挙活動の情報を参考にしたのは8パーセント、90パーセントは参考にしていないとの回答で予想とおりだった。

« バブル崩壊後の中国国内を予測 | トップページ | 懐かしのアナログオーディオ:さらばレコード(その1) »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ネット選挙を解禁しても何も変わらない:

« バブル崩壊後の中国国内を予測 | トップページ | 懐かしのアナログオーディオ:さらばレコード(その1) »