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2012年1月 7日 (土)

ラーメンを考える1

寒くなってくると動くのがおっくうになってくるので、勢い昼飯をインスタントラーメンにしてしまいがちだ。中年のインスタントラーメン頼りはかなり危険である。インスタントラーメンは例外なく麺を油で揚げているので、見た目では分らないが食用油脂がべっとりコーティングされている。素手で触ると良く分る。加えて、かなり長時間空気にさらされた状態になっている。カップラーメンなどは日が経つにつれて徐々に全体が膨らんでくるが、あれは油が酸化しているのを示していると思う。食物の中の過酸化脂質こそ、活性酸素などを誘発し、動脈硬化など万病の元となる悪しき成分である。そもそもカロリーが高く、栄養素も油と炭水化物と塩だけである。
どうせラーメンを食べるなら、ちゃんとしたお店で食べた方がおいしいし無難だ。日本には星の数ほどラーメン店があり、その数は間違いなく世界一だと思う。もちろん、味や価格はピンキリである。これだけ普及しているが、意外にラーメンの歴史は非常に浅い。発祥は大正時代であり、ほとんどが戦後に流行り始めたものである。歴史としては80年ぐらいしかないが、完全に国民食の地位を確立している。
ラーメンをセオリー通りに分けると、醤油、豚骨、味噌、塩に分かれる。最も多いのが醤油と豚骨だ。醤油は東日本、豚骨は西日本中心に展開している。今日は西日本の豚骨ラーメンについて考えてみる。豚骨ラーメンを最初に開発したのは福岡県の久留米市の飲食店である。以外と知られていないが、豚骨スープを開発するきっかけは、開発者の出身地である長崎のちゃんぽんのスープを、中華そばで再現できないか工夫したことに始まる。そういった意味で、豚骨ラーメンは長崎ちゃんぽんに触発されて開発されたと言える。その後、豚骨を強く煮込むことで白濁スープを生み出した。いずれにしても、豚骨ラーメンの発祥地は久留米である。今でもこのあたりでは開発当時に近い豚骨ラーメンを提供している店が少なくない。豚骨だけでスープを作るので、だいたい店の周辺が異様に豚骨臭いからすぐに分る。
久留米で開発された豚骨ラーメンは、屋台を通じて九州各地に広まった。そして80年代以降ほぼ全国区となった。豚骨ラーメンの最大の売りは、その「コク」と「サッパリ感」である。酒飲みの締めとして、豚骨ラーメンが好まれた理由はまさにここにある。豚骨独特の獣臭が最大の障害であるが、それを差し引いてもあまりあるうま味があり、必ず慣れるものである。豚骨がサッパリとは意外な気がするが、塩分が少なく、化学調味料もあまり加えないから喉ごしが良いし、胃にもたれないのである。加えて屋台の定番で広まった手前、注文を受けてからお客さんにすぐに出さないといけない。ということで、麺はストレートの極細麺となっている。その到達点は長浜ラーメンで、ゆで時間が30秒もない。これまた消化が良く、胃にもたれない。
豚骨の臭みと見た目の割にあっさりして物足りなさを補うために、九州ではいろんな工夫が試されてきた。細ネギたっぷり、紅ショウガ、ごま、焙煎ニンニク粉末を加えるのは、臭みを潰しつつ、スープにより深みと持続性を持たせるためである。個人的には豚骨ラーメンには辛子高菜が良く合うと思う。またキクラゲやゆで卵を加えることで、視覚的な楽しさが加わる。数あるラーメンの中で、豚骨ラーメンが様々な評価点から最高到達点に達していると思う。豚骨が苦手な関東・東北の人たちには理解できないようだが、中国やシンガポールで不動の地位を確立している味千拉麺は豚骨ラーメンである。ハリウッドスターやニューヨーカーも一度食べるだけでやみつきになるとコメントするのは豚骨ラーメンだ。醤油ラーメンはいまだ世界に羽ばたいていない。豚骨ラーメンの旨さはワールドクラスなのである。豚骨ラーメンはこれからもどんどんと世界に羽ばたいて行き、いずれは寿司や刺身と同じように、日本料理の代表格まで昇格することは間違いないだろう。

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