2022年6月 5日 (日)

失われた30年の原因・要因を考えて提言する

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GD Freak!より引用

日本の経済的な停滞が続いて既に30年経過している。気がつけば中国にGDPは追い抜かれ、国内で半導体もスマホもマスクもワクチンも開発・自給できない弱小国になってしまった。この先も日本経済の没落が進むため、日本円はどんどん売られてすさまじい円安が進行している。国際通貨の円がまるで通貨危機のような売られ方である。この長期の景気低迷から抜け出すために、ありとあらゆる方策が打ち出されてきた。公共事業によるバラマキ、法人税減税、現金や商品券のバラマキ、異次元の金融緩和。やることはすべてやったと言えよう。しかし、すべて不発だった。
なぜにあらゆる施策が空振りに終わるのか?この原因を考える前に、我々国民をめぐるお金の流れに関する事実関係を押さえておく必要がある。
寺島実朗さんが発信するYouTubeチャンネルにおける解説で詳しいが(https://www.youtube.com/watch?v=u4fws877ln0&ab_channel=TOKYOMX)、勤労者家庭可処分所得や家計支出が長期的に減少していることがとても重要だ。日本人が一番消費のために金を出していたのは、1993~1997年の間であり、それ以降、一環して減少している。日本のGDPの6割が内需なので、この消費支出の減少はGDPの減少、金回りの低下を即引き起こす。面白いのは、バブルの頃がピークではなく、バブルが弾けて、3~7年後ぐらいにピークが来ていることである。この1990年代の中頃というのは、消費支出が多いだけでなく、公共交通機関の輸送量などもピークだ。このピークが現れた原因を説明できれば、現在の消費支出の減少を説明できるのではないだろうか。
1人あたりのGDPをみると、1990年代前半にピークに達して、その後は横ばいが続いている。GDP自体は減っているのではなく横ばいなので、パイの大きさから言えば、1990年代のピークの頃の経済規模を維持することは可能な筈だ。このピークに達して4,5年間は日本人も金を使っていたが、その後使う量を漸減させ続けている。すなわち、金回りが悪くなっている証拠である。実際、変わらないGDPの中で国民の資産は増えているので、金を使わず貯蓄に回していることが明白である。これは企業の内部留保が増えるのと同じ心理だ。長期的に経済が低迷するという前提で、危機に備えている。結果として、金回りが悪くなって経済が停滞している。これを打破する切り札として異次元の金融緩和を行ったが、やはり将来不安が消えない以上、企業も個人も態度を変えることはなかった。
次に人口構成比であるが、これはとても明瞭で、この1990年代の消費支出ピーク時は、18~60才までの労働人口が一番多かった時代である。団塊の世代とその子供が同時に働いて居た時代である。給与収入で生計を立てている人が多ければ、それだけ支出も多くなるのは当たり前だ。今は団塊の世代はすべて労働者人口から退出している。それだけ年金生活者の比率が高ければ、消費支出は自然と減少する。年寄りは飲み食いと病院代ぐらいなもので、あとは孫にばらまくお小遣いぐらいなものだ。お金を使う働く世代が減少したことは、金回りを悪くした要因の一つである。
それと、少なくなった労働者の質も大きく変わった。まず非正規労働者が増えた。派遣やパート労働者が増えたのだ。当然実質給与は少ないから、特に派遣労働者は消費支出が少なくなる。パートの方も上がらない正規職員の給料の下支えなので、これが消費支出に回る可能性は高くない。増えない給料が前提であれば、外食をやめる、無駄な習い事には通わせない、車は維持費の少ない軽自動車に買い換える。そういう動きが全国的に進んだのだ。
そして、慶が金回りが悪くなった最大の戦犯と考えるのは、今の働き方改革に繋がる超過勤務撲滅運動だろう。1990年代までは超過勤務が非常に多かった。民間企業などでは、夜の10時、11時に帰宅なんていうのもザラだった。正に働いて、帰って寝るだけの生活である。その分、本給に毎月5~10万円ぐらいの上乗せがあった。もちろんボーナスも別にある。そうなると、金はあるが時間はないという状況になるので、消費支出としては、土日に散財旅行したり、趣味に金をつぎ込んだり、外食したりと、貯金ではなく使う方向にベクトルが向かう。今は金は減って時間はたっぷりあるという環境なので、金のかからない土日の過ごし方という方向に流れてしまう。家でネット動画をずっと見ている、キャンプが流行るというのは、一見相反する現象のように見えるが、金を使わず時間をダラダラ潰すという意味では同じ行為だ。
要約すると、以下のような現状がある
1.GDPはまだまだ高い水準で維持されている
2.余暇の時間が増えてもGDPには貢献しない
3.正規給与以外の上乗せ分が多いと消費が増える
4.資産増えても運用はしない
5.労働人口は増えた方が良い
以上のことから、今後日本の経済を回復させる、わかりやすく言えば、金回りを良くする秘策が見えてくる。

1.休暇を減らす
 余暇が多いとダラダラして金を使わない。一方で、労働時間を減らすのは国是なので、労働時間を延ばすことはできない。そうなると、国民の休日を減らすことがいい。国民の反感は大きいかもしれないが、毎日定時で帰れるなら、休日は要らないだろうという理屈も成立可能だ。そもそも年金生活者が多くなっている。年金生活者は毎日が土日なので、少なくなった労働人口の人にはめいいっぱい働いて、お金を使って貰ったが良い。元天皇の誕生日とかを国民の休日にするのでは、大義がない。国民の休日は減らした方が良い。

2.一時金を増やす
 超過勤務は企業としても避けたいところなので、労働再分配率を増やすために、ボーナスの上乗せで対応するのが良い。その際、働かないおじさんではないが、労働生産性の低い社員については、ボーナスの大幅カットを行うことが望ましい。ボトム2割を大幅カット、あるいはゼロにして、ミドルと上位2割に大幅に上乗せするのだ。能力給は世界的に当然の流れであり、このことにより、労働者の流動性もさらに増すことになる。

3.女性の正社員を増やす
 少子高齢化の中で労働者を増やすためには、専業主婦撲滅作戦を行うことだ。専業主婦が多い理由は、扶養手当で守られているからである。表向きは少子化対策となっているように思われているが、全然少子化に歯止めがかからない。ならば、この制度はいますぐに廃止して、専業主婦が多いと年金の受け取りも不利になるように制度を改変することだ。逆に正社員として働けば、乳幼児の預かりや子供手当増額など、様々なメリットがあるようにすると良い。乳幼児を抱えて職場に通勤できるなら、少子化対策の切り札になる。企業の内部留保が多いのだから、会社内に保育施設を設けることなど簡単の筈だ。

4.普通預金はマイナスとなる制度にする
 通常の普通預金では、預けても実質マイナスになるような制度にする必要がある。すなわち、元本割れだ。課税するという道もあるが、それをやると政権交代が何回も起きる。元本保証があるから、運用せず預金するのである。普通預金で持っていても、インフレになれば実質マイナスである。そのことを国民に思い知らせる必要がある。どうしても元本を保持したい人は国債を買うか、自宅で現金もしくは貴金属でもっておく。そうでなければ、投資信託や株や外国為替で運用させる。それだけでも、国内の金回りが劇的に良くなる。特に高齢者は預貯金の運用で資産を増やして欲しい。金を抱えてあの世には行けないのだから、人生の中で資産は使い切るという覚悟が必要だ。

2022年5月28日 (土)

内部圧力で戦争断念させるしかない

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https://www.yomiuri.co.jp/pluralphoto/20220526-OYT1I50055/

ロシアのウクライナ侵攻は既に3ヶ月を経過した。数日でキーウ(キエフ)陥落でゼレンスキー体制崩壊とウクライナの大半の自国領への編入をもくろんでいたプーチンであるが、正にもくろみハズレとなっている。今は親ロシア派の多いウクライナ東部2州の完全制圧に戦略を切り替えているところだ。キーウ周辺は奪還したものの、東部での状況は一進一退である。

西側は様々な経済制裁を加えているが、実際のところ、あまり効いていない。これは北朝鮮への経済制裁が全く効いていないのと同じだ。西側がいくら経済制裁を行っても、旧ソ連の同盟国あるいは中国やインド経由で窓は開いている。ルーブルは一時的に暴落したが、自国通貨での資源価格の支払いを強要するウルトラCで元に戻った。
ロシア国内から反戦運動が広がることが最も重要な動きであることに代わりはないが、さすが秘密警察出身者で固められたプーチン政権なので、見事に国内を押さえ込んでいる。この点においても、北朝鮮や中国と同じだ。ただ、反戦封じ込めは完璧に見えるが、北朝鮮や中国とは1点異なる抜け道がある。それは、兵士のお母さんが組織するNGOに強い発言権があるということだ。
ロシア軍は将校のほか、契約制の職業軍人と、徴兵による徴集兵で成り立っている。ロシア軍の定数は100万人、実数が約90万人であるが、その約30%が徴集兵であると言われている。

我々の周辺国で言えば、韓国が徴兵制度を維持していることが良く知られている。一定年齢に達した若者は、強制的に従軍させられるのである。韓国では2年間であるが、まさにこの2年間は失われた青春時代ということになり、かなりの苦痛である。これはロシアでも同じだ。徴兵による子供の権利を守るために、その母親たちが設立した組織が、「ロシア兵士の母の委員会連合」である。文字どおり、自分たちの子どもである兵士の権利を守る目的で設立されたNGOだ。しかも全国に支部を持っている大きな組織である。徴兵制度の枠組みの中で、軍隊内で立場の弱い新兵に対するいじめや虐待などの人権侵害が行われていないか、この団体が監視している。弁護士などの法律顧問団も抱えている強力な組織となっている。ロシアのような強権的な国家で、このような強力な監視組織があるとは少し驚きである。

この母の会はウクライナ侵攻で何を言っているかと言えば、(ロシアが言うところの)特別軍事作戦に息子たちが参加しているのだが、親から繰り返し心配する訴えが寄せられている。連絡が取れない息子がたくさんいるのに、死んで居るのかどうかさえ確認できないと。一体どうなっているのか政府は明らかにせよということだ。まあ親としては当然であろう。

こうした動きを気にしてか、先日プーチンが白衣を着て病院を訪問し、負傷したロシア兵士をお見舞いして激励するプロパガンダが流されていた。それだけ、兵士の親から相当なクレームが来ているという査証だろう。また前戦で1万5千人も兵士が死亡している現状で戦意の喪失が著しく、戦線からの離脱や新たな徴兵がうまく行っていないらしい。結果として兵士不足に陥り、高額の報酬で傭兵をやっているそうだ。

ウクライナ侵攻はプーチン側近が勝手に企画してゴーサインを出した大義無き戦争である。これだけの大規模な戦争は事前に漏れてはいけない。そのため、特別軍事作戦と言い張り、戦争という言葉は使わず、現場の兵隊にも一切内容を知らせていない。あくまで演習の延長でウクライナへ侵攻したのだ。結果として、闘い慣れていない新人の徴集兵が戦争の最前線に立たされて、命を落としている。こういう内部のだまし討ちのような戦争のやり方は、必ず内部で反感を食らって頓挫する。母の会が暴れているということは、既にプーチンは追い込まれているということだろう。

 

2022年5月13日 (金)

プーチンの大誤算:北欧中立国がNATO加盟へ

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フィンランドとスウェーデンがNATO加盟を早急に申請することになりそうだ。どちらもEUの加盟国であるが、軍事的にはNATOには加盟せず中立を維持していた。特にフィンランドはロシアと1300キロも国境を接しており過去には何度もロシア(ソ連)に国土を蹂躙されている関係でロシアの圧力を常に受け続けて来たデリケートな立場だ。 

フィンランドは言わずと知れた北欧の森と湖の国で、面積は日本よりちょっと狭い程度、人口は兵庫県ぐらいしかない。ヨーロッパの国は人口1000万人以上の国がゴロゴロあるので、ノルウェーと並んで面積は広いけど人口は少ないという国家だ。日本人から見ると、森と湖、作家トーベ・ヤンソンの「ムーミン・シリーズ」、Nokia、サウナというイメージが強い国だ。

第二次世界大戦後、フィンランドは資本主義体制を維持したまま共産化もワルシャワ条約機構への加盟もせず、ソ連へ配慮しながらも中立国としての立場を維持した。外交のみならず国内的にもソビエト批判をタブーとする空気に支配される状況は、海外では「フィンランド化」と呼ばれることもあった。すなわち、ロシア(ソ連)忖度外交である。そのため、「フィンランド外交とは、西側にあまり尻を出しすぎぬほどに、ロシアに頭を下げることである」と揶揄されるほどであった。過去に中曽根康弘首相が「ソ連は、日本をフィンランド化しようとしている」と演説で述べ、ソ連が日本をフィンランドのような自分に逆らわない国にしようとしている、となぞらえたことがあったが、この演説はフィンランド政府による抗議を受けている。それほど、ロシアと長く接してきて、政治上の判断をロシア側に忖度してきた歴史が長いということである。

フィンランドはロシアと国境を隔てながら、ロシアにペコペコすることで中立的な関係を維持してきた訳だが、NATOに加盟してしまえば中立国から対立国になる。ここのタブーまで破ってNATO加盟に踏み切る覚悟を決めたのもウクライナの現状を見て危機感を覚えたからに違いない。NATOに加盟していなければ、もしロシアが軍事的に侵攻してきた場合に、誰も助けてくれないというのが明らかにわかったからだ。またロシアは平気で他国に攻めてくると言う本性を見せつけてしまったから、フィンランド国内も穏やかではない。プーチンも、自分が腹を決めれば、力による現状変更ができると妄想して今回の軍事侵攻に踏み切ったわけだが、逆にこれまで中立を維持してきている国々までNATOに加盟してしまうと言う横の動きに関しては目論見外のことだったろう。自国の庭先で暴れてもどうにでもなると甘い見積だったのだろうが、世界は戦後の国際的秩序の破壊者とみなしてロシア包囲網に一気に動き始めた。フィンランドがNATOに加盟したらそれこそウクライナ以上にNATOとの国境線が増えてしまうから、軍事的にはロシアは大失態をしでかしてしまった。大ブーメランである。

ウクライナでドタバタやって苦労している最中にフィンランドのNATO加盟を阻止するために2正面作戦を実施する余力はないだろう。やるなら今すぐフィンランドに侵攻せねばならない。めんどくさいからどちらにも戦術核でもぶち込んで局面打開と考えるかもしれないが、結局のところNATO拡大の動きは加速するばかりだろう。ロシアの北朝鮮的な孤立化は避けられない状況だ。

2022年5月 5日 (木)

ローカル番組をローカル局で放送する摩訶不思議な世界

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番組公式 ツイッターより

 

 

毎日帰宅すると晩飯でも食べながらテレビのスイッチを入れるのが日課みたいになっている。夕方のゴールデンタイムは在京テレビ局が制作した全国区の番組が流されている。日本のあらゆる経済指標が最大値を示していた1980年代後半~1990年代中頃から比較すると、在京民放各局の番組制作費の原資となる企業広告費が大幅に縮小し、当然個別の番組制作費もこれに従って低下してきて、非常にお粗末な番組ばかりになっている。食レポ、街ブラ、クイズ、ひな壇芸人のディスり、だいたいこんなもんだ。Googleマップで探した山奥の一軒家に、番組ディレクター見習いがレンタカーで出かけて昔話を聞くだけという、実にしょうもない低予算番組などもある。実にバカバカしい。この程度の内容ならYouTubeで観た方がまだマシである。

予算のある時代の番組はどうだったか。「なるほど!ザ・ワールド」などは海外ロケで世界中を飛び回るなど、制作費の高い番組の代表格であった。しかも旭化成グループの1社スポンサー。現在も「日立世界ふしぎ発見」などに名残はあるが、これは観光地を巡るだけの街ブラの海外版というだけのことだ。クイズ番組もタイムショックが典型的だったが、セットに金がかかっていた。ほか、伊藤テリーが制作した番組など、バラエティーに素人を出すにしても、とにかく数が多かったし、セットに金かけていた。ドラマなども、北の国からのように、映画クラスのクオリティーだったものだ。もう、こういう時代は来ないのだろう。資本主義社会である以上、金がなければ、量も質も下がるというものなのだろう。

現代に戻る。土日になると、全国区の放送局の隙間となる時間帯の穴を埋めるべく、在京の放送局ではないローカル局制作の番組もチラチラある。最も多いのは地元のローカル局が制作する番組で、多くは週末のイベント情報、地元のスポーツチームの応援、お店の紹介あたりで、その土地ではそれなりに有名なレポーターを交えた情報番組である。これはこれで地元密着で良いのだが、芸能人はほとんど出ていないので、ケーブルテレビの延長戦的な雰囲気がプンプン漂う。ケーブルテレビで良い情報なら、地上波でやる必要はない。在京ではないが、関西の放送局が提供する番組というものも結構ある。上沼恵美子、たむらけんじ、笑い飯あたりが出てくる番組である。また大昔だと、名古屋のテレビ局が提供するまったりした昼ドラというのもあったりした。在京の番組とは異なる視点で制作された番組というのも、金こそかかってはいないが、たまに観ると新鮮感があるものだ。

こうした状況で、近年少し風変わりなローカル局作成番組がローカル局同士で放送されている。一例を挙げると、テレビ新広島(TSS)が制作する「西村キャンプ場」である。出演者はバイきんぐの西村1人。バイきんぐのもう一人の相方である小峠の方は全国区で引っ張りだこであるが、西村の方は全国区ではほとんどテレビ出演の機会がない(すなわち売れてない)のだが、西村は出身地の広島ではこの番組をレギュラーで務めている。わかりやすく言えば、都落ちして地元に戻ったという感じである。それにしても、この番組、かなり異質だ。まずローカル局制作なので、広島県内しか取材対象としていない。しかもスタジオ収録は一つもない。タイトルに「キャンプ場」とあるので、広島県内の都市部は目もくれず、ひたすら山間部や島嶼部など僻地を攻めまくっている。西村本人が車を運転して僻地へ繰り出し、そこで本当にたまたま出会った地元民に西村自身が取材交渉しつつ、キャンプ飯の食材をタダでくれという流れである。昔田舎に泊めてくれという筋の悪い番組があったが、それの食材くれバージョンだ。スタッフは後ろをついていくだけの超低予算番組、出会った人は西村本人にひたすらモノくれとねだられる、実に失礼極まりない、筋の悪い番組である(笑)。

しかし、そこは西村のキャラでうまく笑顔と体育会系の爽やかなお礼で乗り切り、ちゃっかり食材を提供して貰うというオチになっており、最後は無類のキャンプ好きの西村がオリジナルキャンプ飯を披露して、人生を語って終わるというものだ。キャンプ大好き芸人である西村のキャラに引っ張られて、結果的に番組としては良くできている。また、この番組を観ていて、広島県というのは海と離島の美しさだけでなく、森も川も清らか、山間部は山深く、雪国のような積雪に覆われるなど、自然のグラデーションが素晴らしいところである。アカデミー賞を受賞したドライブマイカーのロケ地になった理由も分かる。全国区の番組で広島と言えば、宮島と原爆ドーム、お好み焼きとカキしか放送しないので、改めて色んな発見があるものだ。

それにしても何がすごいかと言うと、この番組、北は北海道から、南は熊本県まで、全国16局で放送されているのである。例えば、広島県とは縁もゆかりもない山形県の人たちは、ゴリゴリの広島の田舎で広島弁だらけの地元民と西村の掛け合いを観ているのである。山形県の人にとって、広島県の田舎は基本どうでも良い。まして、言葉が全然違う。この番組をみて、行ったこともない、ガイドブックにも載っていない広島の田舎の、怪しい広島弁のやりとりを観て一体どう思っているのか、実に気になる(ほとんど視聴率はないだろうな)。

しかし、例えば山形県でも同じようにオリジナルのローカル番組を制作して、同様に全国のローカル局に配信すれば、WinWinである。田舎には、田舎同士で共感する人情なり老いの寂しさ、田舎の不便さの中でみつける自然の恵みへの感謝があるものだ。こうしたローカル局の提供するローカル番組が広がれば、在京局の番組やYouTubeにはない魅力が発信できるかもしれない。地上波テレビの衰退とYouTube隆盛の流ればかりが話題になっているが、ローカル局の発信力に慶は密かに期待している。

 

2022年4月30日 (土)

新型コロナウイルスのその後の総括

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新型コロナウイルスのパンデミック発生からはや2年あまり。すっかりマスク姿にも慣れてしまい、マスク生活がむしろ日常ではないかと錯覚するような状況である。年末から変異株であるオミクロン系統が爆発的に感染を広げて、第6波が最大の感染者を出してしまった。第5波までは、まだ我々の周りで感染したという情報は散発的だったが、第6波ではほぼ知り合いが複数人感染してしまうという状況になった。幸い、専門家の指摘のとおり、このオミクロン株は軽症で、肺炎など重症呼吸器症候群を引き起こす確率が劇的に減っている。専門家によれば、新型コロナウイルスはSARS-CoV-2と呼称されているが、SARSは重症呼吸器症候群のことである。SARSをほとんど引き起こさないのにSARSという名称はおかしいかもしれない。元SARS-CoV-2とでも呼ぶべきだろうか。元々コロナウイルスは変異したら毒性が落ちると言われていたので、これが丸々2年かかったということだろう。今後も変異を繰り返すだろうが、毒性はさらに落ちて、ただの風邪ウイルスに落ち着くことを祈るばかりである。
さて、相変わらず毎日陽性者が○人とかニュースでやっている。さすがに重症化しないし病院の逼迫率も上がらないので、これにいちいち反応しなくなった。ただ、PCRや抗原検査で陽性となった人と、本当に感染した人の差分がどうなっているのか、さっぱり分かっていない。しかし、そこはちゃんと調べてられていて、国立感染症研究所が宮城県、東京都、愛知県、大阪府、福岡県で定期的にランダムに血液検査を行い、陽性者の属性を調べているようだ。具体的には、血液を調べて、過去の感染履歴を調べている。具体的には、Nタンパク質(ヌクレオカプシドタンパク質)に対する抗体の保有率を調べているそうだ。これとは別にSタンパク質というのもあるのだが、これはスパイクタンパク質のことで、現在国民対象に接種されているワクチンはここをターゲットとしたものである。Nタンパク質は、コロナウイルスの遺伝子を包む殻のことを指しており、タンパク質自体が大きく判別しやすい構造のため、コロナウイルス抗原検査ではこのNタンパク質を検出するように設計されている。Nタンパク質は現在使用されているmRNAワクチンからは人工的に生成することができないので、実物のウイルスに感染してできた抗体とワクチン接種で誘導された抗体と明瞭に区別が可能である。すなわち、本物のコロナウイルスに感染しないと、Nタンパク質に対する抗体は血中に出てこないしくみだ。このNタンパク質抗体の保有者(抗N抗体保有者)を調べると、以下のようになっている。

 

宮城県1.48%

東京都5.79%

愛知県3.48%

大阪府5.62%

福岡県2.71%


アメリカなどでは国民の6割が感染してしまっているようだが、日本では最も高い東京や大阪でも5%程度だ。アメリカの1/10である。他の地区は1~3%程度である。いまだ国民のほとんどがコロナウイルスに感染しておらず、実に優秀な感染症対策が達成されてきた証拠である。ロックダウンや罰金に基づく規制もせずに、これだけ低い感染率で死亡者も少なく抑えた日本は、スウェーデンと並んで今回のコロナパンデミックの勝者と言える。現在中国で行われているゼロコロナによるロックダウンが滑稽に見えるし、大量の死者を出した米国やヨーロッパ諸国とは比較にならない。ただ、第6波はこの低い感染率が仇になって、急激な感染者増加に繋がったが、3回目のワクチン接種がギリギリ間に合って、3月以降は落ち着いた展開を見せている。おかげで、このGWは何の規制もなく旅行等が楽しめる状況である。


このNタンパク質抗体保有量と通常のPCRや抗原検査で陽性となった者の関係をみてみる。グラフのとおり、両者には明瞭な相関関係がある。すなわち、PCR等で感染者とされた割合とNタンパク質の保有者の割合は一定の関係にあるということだ。従って、人口あたりの感染者数でいろいろ議論して問題ないようだ。

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このNタンパク質抗体陽性率を、それぞれの都府県の人口に掛け合わせて推定陽性者数を算出してみた。なお、Nタンパク質の保有者のうち4割が感染しましたという診断を受けていなかったそうだ。無症状で検査もされずに過ごしていたという訳だ。そうすると、普通に考えれば、PCR等で陽性とされた者の2.5倍が実際に感染した人の総数ということになるのだが、次の表を見ると、Nタンパク質抗体保有者の方がPCR等の陽性者数(のべ数)よりもかなり少ない。PCR陽性者の方がNタンパク質抗体の保有者の1.43~1.66倍あるのだ。ということは、PCRの方が過大評価しているという不思議な結果となった。

 

  PCR等陽性者数

抗N抗体保有者数

(推定実感染者数)

PCR等陽性者/実感染者数
宮城県 49,478 34,635 1.43
東京都 1,118,484 782,939 1.43
愛知県 372,511 260,758 1.43
大阪府 709,689 496,782 1.43
福岡県 229,993 138,237 1.66

PCR等の陽性者数は3月15日時点での累計値


この理由としては、1人の人が何回も陽性になってダブルカウントされた可能性、あるいは本当は感染していないのに、疑似陽性としてカウントされてしまったという可能性がある。いずれにしても、真相はNタンパク質の保有者の割合のとおりなので、実際にコロナウイルスに感染した人は、PCR等の感染者数と同じかやや少ないぐらいであった、と判断して差し支えないようだ。当初、実際の感染者数はPCR等の陽性者の2倍だ、5倍だ、10倍だと騒いでいたが、結論は以上のとおりである。コロナ女王なる煽り学者などの言っていたことは、結論として全部ハズレだったという訳だ。
次に人口10万人あたりの陽性者数を眺めていて、基本的に人口密度が高いところほど陽性者数の割合が高いという傾向が見て取れる。しかし、一方で人口密度が高いところは感染者数を押し上げる若者の比率も高く、単純にその影響が出ているだけの可能性もある。そこで、都道府県の人口と人口10万人あたりの陽性者数の関係をみると、以下のような直線関係にあることが分かる。この直線関係の上側に出るところが予想以上に高い感染者数を出したところ、下側に出るところが低い感染者で、コロナ対策がうまく行ったところという評価になる。この関係式から外れた府県を以下の表にしてみた。

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人口比の高陽性率県 人口比の低陽性率県
沖縄 新潟
奈良 岩手
滋賀 福島
佐賀 山形
京都 長野

 

人口の割に高い感染者数を出した県を見ると、面白い傾向がある。沖縄は一目瞭然で、感染症対策に失敗した県である。それ以外の4県のうち、3県は大阪に近接した県である。いずれも大阪との往来者(サラリーマンや学生)が多い県で、経済的にも依存しているので、こういう結果になっているのであろう。いわゆるもらい感染者が多かった訳だ。佐賀県がポツンと高い感染者数を出して居るが、これも福岡県とのサラリーマンや学生の往来が多く、経済的に依存しているという意味では関西の府県と同じような立場にある。北海道は当初高い感染者数と医療崩壊で大変な状況になったが、その後は対策が浸透した結果、平均的な数字に落ち着いている。
逆に人口当たりの感染者が人口比で低い県としては、新潟県、東北3県、そして長野県となっている。いれも3大都市圏との往来が少なく、人口密度も高くない。当然の結果であろう。

今回のパンデミックの経験は今後の新型インフルエンザなどの対策にも役立つだろう。以下に列挙する。
・外国から侵入して来るウイルスを防ぐことはできない
・PCR検査と濃厚接触者追跡、隔離政策は一定レベル有効であるが、デジタル化しないとパンクする
・マスクとRNAワクチンは強力な防御ツール
・地方都市で医療崩壊は起きない
・感染症対策と経済は強いトレードオフの関係にあり、偏った政策はだめ
・持病がある人は必ずワクチン必要



2022年4月12日 (火)

資源価格に連動して物価が上昇中!!

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新型コロナウイルスによるパンデミックで国際的にモノの余剰感が出るのかなと思っていたが、実態はロックダウンなどによって生産量が落ちてしまい、経済活動が再開するに連れてモノ不足が顕在化してきた。最初に問題となったのは半導体だった。これにより最も影響を受けたのは自動車産業で工場生産が一時的に停止し、その後も生産量が停滞気味である。ほか、様々な電子製品の生産能力が停滞気味である。

さらに国際的なコンテナ流通の大混乱は、海外からの輸入品に頼る分野で幅広い値上げとなっている。大豆や小麦は輸入依存度が高いので、食用油、小麦、パンや菓子、麺類、豆腐など当然値上げされている。また石油価格も高止まり。当然ガソリンや灯油は値上げされるが、食品以外の石油商品、具体的にはプラスチックまで価格上昇となっている。

そして、ここに来てロシアによるウクライナ侵攻が影を落として来た。特にロシアは石油と天然ガスの資源大国で、ロシアもウクライナも世界最大の小麦生産国だ。特にウクライナは国旗の下半分が黄色だが、これは小麦畑を示している。それほどの小麦生産国が戦争に巻き込まれたら世界的に小麦不足になることは自明だ。元々物流混乱で値上げされていた小麦がさらに値上がりするとなれば、家庭をモロ直撃するだろう。

しかし、元々小麦価格は米などよりもかなり低く、多くの加工食品の最大の素材であった。値上げによって米の価格に近づけば、代替品としての米の利用が加速するかもしれない。日本では長期的に食の洋風化で小麦加工品へとシフトしていたので、国内のコメの生産はずっと減少していた。米の方は毎年豊作で余り気味なのだから、こういう小麦不足の時こそ、国内の米に改めてスポットライトを当ててほしい。

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一方で原油価格の上昇への対応も真剣に考えたが良い。今回の原油価格上昇を一つの契機として、再生可能エネルギーへのシフトを加速度的に進めるべきだ。水力発電能力を上げるために、土砂で埋まった既存のダムの掘り下げを実施するとか、洋上風力発電のために風車をズラズラ並べるとか、電動自動車の税金を無料にするとか、やるべき対策はたくさん残されている。

また、石油製品の使用量削減も課題である。スーパーのビニール袋は有料化されているが、これなどは石油製品の一部である。食品包装材のほとんどがプラスチックフィルムばかりである。毎日食べる納豆も豆腐も卵もプラスチックで固められている。コンビニでワンパックのざる蕎麦を買ったら、容器そのものがプラスチックだけでなく、薬味、海苔、出汁つゆ、とろろ、ワサビなど、プラスチック小包のオンパレードである。ペットボトルは当然として、洗剤の容器なども全てプラスチック。便利なのは分かるが、脱炭素と言いながらこれだけプラスチックを多用するのではお話にならない。牛乳の紙パックのように、紙ベースの製品に置き換えてゆけば、ゴミの分別も楽になる。納豆の容器などは、絶対に紙で置き換えるべきだし、卵のパックなどは、外国では段ボールのようなものに入って居る。

2022年4月11日 (月)

外交と軍事は分けて考えてはいけない

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ロシアがウクライナに侵攻して、戦局を有利に進めながら停戦交渉に臨んだ。マスコミは戦争中でも交渉の窓口が開いていることは好ましいとして、停戦協議に少しの望みを繋いだような報道をしていたが、実際は停戦交渉の場が全面降伏の宣告場所と化して、全く双方が歩み寄る気配もなかった。その後、何回交渉しても、進展は全くなく、戦争だけが継続され、日々刻々と戦況は変わっていっている。

ここで、侵攻前に外交の専門家なる人たちの発言をたどってみよう。ほとんどの専門家は、軍事作戦は最終判断であって、ギリギリまで外交的な努力が払われて、最終的に侵攻は食い止められるのではないかという楽観論ばかりだった。しかし、蓋を開けてみると、ウクライナが全く何も挑発していないのに、ロシアは一方的に併合しようとしているウクライナ東部の住民を保護するというとってつけたような言いがかりをつけて、全面侵攻に踏み込んだ。

日本人的には、どうも外交と軍事をきれいに区別して議論しているから、現実を予測できないのだ。それは、日本の国家安全保障戦略を読むとすぐ分かる。



国家安全保障戦略(概要)

https://www.cas.go.jp/jp/siryou/131217anzenhoshou/gaiyou.html

(抜粋)

Ⅳ 我が国がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチ


 1 我が国の能力・役割の強化・拡大

 

  •  国家安全保障の確保のためには、まず我が国自身の能力とそれを発揮し得る基盤を強化するとともに、自らが果たすべき役割を果たしつつ、状況の変化に応じ、自身の能力を適応させていくことが必要である。
  •  経済力及び技術力の強化に加え、外交力、防衛力等を強化し、国家安全保障上の我が国の強靭性を高めることは、アジア太平洋地域を始めとする国際社会の平和と安定につながる。
  •  国家安全保障上の課題を克服し、目標を達成するためには、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、日米同盟を基軸としつつ、各国との協力関係を拡大・深化させるとともに、我が国が有する多様な資源を有効に活用し、総合的な施策を推進する必要がある。

(1)安定した国際環境創出のための外交の強化

 

  •  国家安全保障の要諦は、安定しかつ見通しがつきやすい国際環境を創出し、脅威の出現を未然に防ぐことにある。
  •  国際協調主義に基づく積極的平和主義の下、国際社会の平和と安定の実現に一層積極的な役割を果たし、我が国にとって望ましい国際秩序や安全保障環境を実現していく必要がある。
  •  我が国の主張を国際社会に浸透させ、我が国の立場への支持を集める外交的な創造力及び交渉力が必要である。
  •  我が国の魅力を活かし、国際社会に利益をもたらすソフトパワーの強化や我が国企業や国民のニーズを感度高く把握し、これらのグローバルな展開をサポートする力の充実が重要である。
  •  国連を始めとする国際機関に対し、邦人職員の増強を含め、より積極的に貢献を行っていく。

→日本を支持してくれる仲間を増やすための外交的な取り組み

 

(2)我が国を守り抜く総合的な防衛体制の構築

 

  •  厳しい安全保障環境の中、戦略環境の変化や国力国情に応じ、実効性の高い統合的な防衛力を効率的に整備し、統合運用を基本とする柔軟かつ即応性の高い運用に努める。
  •  政府機関・地方公共団体・民間部門との間の連携を深め、武力攻撃事態等から大規模自然災害に至るあらゆる事態にシームレスに対応するための総合的な体制を平素から構築していく。
  •  その中核を担う自衛隊の体制整備に当たっては、統合的・総合的視点から重要となる機能を優先しつつ、各種事態の抑止・対処のための体制を強化する。
  •  核兵器の脅威に対しては、核抑止力を中心とする米国の拡大抑止が不可欠であり、その信頼性の維持・強化のために米国と緊密に連携していくとともに、弾道ミサイル防衛や国民保護を含む我が国自身の取組により適切に対応する。

→いわゆる防衛力(軍事力) の強化によるハード的な取り組み

 

かし、ロシアとウクライナの停戦協議をみても分かるように、外交交渉は、交渉時点での戦況で着地点が決まってくる。ロシアが戦況を有利に進めている時は全面降伏を求めるゼロイチの姿勢で臨んでくるが、ウクライナが反撃して事態が膠着してくると、武装解除を前提で協議のテーブルに着くという姿勢に変化させる。すなわち、軍事的優位性と外交は、相互補完関係にあって、厳密には区別ができないのである。

また、外交的な努力において、日本の応援団を募ることの重要性を謳っているが、どんな友好国であって、2国間の紛争に直接関与しようとは絶対にしない。いや、国際法上、関与したら中立国では無くなるので関われないのだ。まして、今回は紛争国の片方は世界最大の核武装国家だから、関わったら自分も核攻撃されるリスクがある。だから、応援はするが、支援は武器の提供など物理的な補給に限られるのである。従って、もしロシアが北海道に侵入したり、中国が尖閣諸島への上陸作戦を実施する段階になっても、日本は自分の防衛力で跳ね返すしかないのである。跳ね返した上で、外交交渉のテーブルに着くしかないのである。実は日露戦争が正にそうであった。最も困難だった旅順にあった太平洋艦隊を殲滅し、防衛戦を奉天まで北上させ、バルチック艦隊の到着に準備万端で臨み、見事にほぼ壊滅させた。ここで日本はこれ以上の戦費増大や戦力消耗を避けるために、アメリカの仲介により講和交渉のテーブルに着き、ポーツマス条約(冒頭写真)により講和して戦争は終了した。軍事力で押し返して実力をみせつけたうえで、停戦協議に臨む。結局のところ、これしか対等交渉の道はないのである。

憲法9条と外交力だけで、武装解除状態で日本の平和を達成しようと言っている社民党や共産党などは、全くもってしてお話にならないバカ理論である。安全保障分野でも日本のダメさが露呈してしまった。

 

 

 

2022年4月 7日 (木)

ウクライナ軍善戦の背景

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2022年2月24日から始まったロシア軍のウクライナ侵攻。両国の軍事力の格差から、72時間もあれば首都キーウ(キエフ)を含めて陥落すると思われていた。しかし、蓋を開けるとウクライナ軍は1か月以上もの期間、よく善戦し、現在キーウ周辺に展開していたロシア軍はベラルーシ領内に戻っているようだ。侵攻直後に ロシア軍のヘリが飛んで居る映像が出ていた。また、キーウ郊外の空港にロシア軍の空挺部隊が降下してゼレンスキー大統領の斬首作戦を決行しようとしたようだが、すべて殲滅させられたようだ。ほとんどの軍事専門家が、侵攻初期にロシア軍が航空優勢を獲得し、地上部隊に空から強力な支援を与えて戦いを有利に展開すると予想されていたのだが、実際のところ、ウクライナ軍に対する完全な航空優勢を得ていないようだ。

現状、ロシア軍もウクライナ軍も、戦闘機を自由に飛ばして制空権を確保することはできていない。この理由は、戦闘機を飛ばすと地対空ミサイルで撃墜される可能性が高いからだ。戦闘機は非常に高価で、昔の日本軍の神風特攻隊のように撃墜必至で出動することは容易にできない。撃ち落とされると分かって戦場に飛来するバカはいない。パイロットだって貴重な戦力なのである。それだけ、今回双方が配備している地対空ミサイルが航空機にとって脅威になっているという訳だ。

 

特にS300というソ連時代に開発された地対空ミサイルは射程距離が高く、アメリカが供給しているパトリオットミサイル同様に航空機やミサイルにとって撃墜・迎撃されるリスクが高い。これにより、現在双方とも航空優勢を得ることができず、古典的な地上戦で戦うことになっているのである。地上戦と言っても、ウクライナ軍はドローン攻撃に加え、歩兵による迫撃砲や対戦車ミサイルを組み合わせたゲリラ戦で善戦しているようだ。

ロシア軍は20世紀の戦争よろしく、戦車や装甲車を大量に投入してお得意の地上戦にもつれ込ませようとしているのだが、何分兵力が多いために、兵站がうまく行かず、展開したままウクライナ軍に各個撃破されている状況のようだ。また、ぬかるみの多いウクライナ領内で図体のデカい戦車で侵攻しても通常の道路を通るしかなく、1列に並んでしまって攻撃に晒されている。ウクライナ軍も相手が道路から来るのが分かっているので、むやみに動かず待ち伏せして、戦力を保持しながら押し返している。そうなるとロシア軍は巡航ミサイルなど飛び道具で都市部を破壊する作戦に出ているのだが、この場合、ベラルーシ側から侵入した戦闘機からミサイルを発射したり、黒海側の艦船からミサイルを発射したりしているのだが、そこはNATOや米軍が早期警戒機などを国境付近に飛ばして動きを常時監視しているようで、すぐにウクライナ軍側に相手側の動きが伝わり、近況だとミサイル攻撃の迎撃などにも成功している。例えばベラルーシ側から戦闘機が飛来して攻撃態勢に入れば、その情報はすぐに察知され、ウクライナ側へリアルタイムで伝わるしくみになっているようである。フライトレーダー24というアプリで、こうした米軍やNATOの航空機の動きがリアルタイムで確認できる。

今回の戦争に関して、ロシアは明らかに情報戦で完敗している。国連で追求されても嘘に嘘を積み重ねるばかりで、これだと北朝鮮と全く同じだ。こんないい加減な国家が常任理事国の特権にあぐらをかいている理由がさっぱり理解できない。

2022年3月12日 (土)

ガンバレ!!ウクライナ

Zelenski

毎日テレビではロシアとウクライナのにらみ合いを報じている。それにしてもテレビに見たこともないロシア専門家なるものが頻出し、それはだいたい私立の大学教授だったりするのだが、まるで現地からの情報を直接仕入れているかのような流暢な話しぶりでやっているが、全部メディアで流れている情報を勝手に頭の中で組み立てて話してるだけのにわか専門家である。コロナの時も、コロナ情報専門家なるものが出てきて煽っていたが、まあ似たようなものである。その辺に転がっている情報の受け売りだ。一次情報と直接接していない専門家の話など全然あてにならない。だいたい今回の軍事侵攻を言い当てた専門家は一人もいないのだから、専門家など居ないに等しいのではないか?

さて素人中の素人である慶がその辺に転がってる情報を眺めても、プーチンの目的はすぐわかる。プーチンの目的はすごくシンプルだ。NATO加盟国、すなわちアメリカの影響下にある国をこれ以上ロシア側に近づけたくない。この一言に尽きる。確かに冷戦期のNATOとワルシャワ条約機構の勢力図を見れば共産主義国家の勢力衰退は明瞭である。外交交渉ではNATO諸国の東進を阻止できないので、軍事力を直接使った瀬戸際作戦で相手側から大幅な譲歩を引き出そうというのが狙いに違いない。特にプーチンと仲の良かったウクライナの前大統領が国民の反感を食らって追い落とされたことが今回の侵攻を計画した端緒になったのだろう。チェチェンやベラルーシの大統領のように、プーチンの犬で周りを固めたいのだ。

当初キエフを急襲して斬首作戦を試みたこと、またプーチン自身もウクライナを占領する気は毛頭ないと公言していることからも、一時的な瀬戸際作戦で反転攻勢に出ようとした可能性が非常に高い。しかし現時点で事態は長期化し、この間にロシアも戦術の立て直しを迫られているし、経済制裁の影響が国全体に日々拡大して、国内からの突き上げも気になる。何より、戦費がどんどんかさんでくる。兵士も何ヶ月も出動させられていて、当然休みなどもないだろうから、既にやる気を失っていると思われる。
こうした状況だと、さらに軍隊のケツを叩いてウクライナを力で屈服させるか、NATOを中心とした西側諸国が大幅な譲歩に傾くか、どちらかを果実の実として取らないとプーチンとしては収まらない。自ら拳を振り上げたものの結果的にいろいろブーメランになって追い込まれている感じは否めない。直近のプーチンの映像でも、話している最中に激しく右手のボールペンを擦ったり、苛立ちが隠せない。現段階では、都市包囲網の結果として市街地戦となり、泥沼の殺戮がじわじわと進んで双方が消耗することは自明だ。ロシアは世界中を敵に回しているので、中国さえ仲介役は買って出ないだろうし、こうした状況で核はおろか、化学兵器さえ使うと自らを追い込んでしまう。そこまでやるほど、プーチンは狂ってはいないだろう。
今後の展開は予断を許さないが市街地戦になって、ウクライナ軍がよほど壊滅的な被害を受けて政権首脳がキエフを逃げ出してしまうということがない限り、事態はずっとこう着状態に陥るだろう。望ましくは、ウクライナ軍が持ちこたえて、ロシアが侵攻を諦めることが望ましいのだが。NATOの総元締めのアメリカも、指をくわえて見ている訳には行かないから、衛星情報や通信傍受、内部通報者を通じて最新の情報をウクライナに伝えていることは間違いない。また、密かに潜入した軍事顧問団が、ウクライナ軍と密に戦略を練って、市街地に突入するロシア軍を撃破すべく態勢を整えていることだろう。コサックの発祥の地なのだから、なんとか一矢報いて欲しいものだ。


Ganbare Ukraine!

Daily TV reports on the matchup between Russia and Ukraine. Everyday not-so-famous Russia experts has appearing in TV programs. Many of them are professors at private universities, and they talk as if they have first-hand information from the ground, but all they do is assemble cheap information from the media in their own minds. They are just fake experts. He and She are recipient of cheap information that can be obtained from anywhere. You can't trust anything from an expert who is not in direct contact with primary information. Indeed, none of expert has succeeded in predicting the present military invasion.

Now, although KEI is a just military amateur, it can easily understand Putin's objective. Putin's objective is very simple: he does not want NATO members, i.e., countries under the influence of the U.S., to move any closer to the Russian side. It boils down to one word. Indeed, if one looks at the power structure of NATO and the Warsaw Pact during the Cold War, the decline in the power of the communist states is clear. Since the eastward expansion of NATO countries cannot be stopped through diplomatic negotiations, the aim must be to extract significant concessions from the other side through a brinkmanship strategy directly using military power. In particular, the fact that the former Ukrainian president, who was close to Putin, was ousted due to public resentment, may have been the catalyst for the planned invasion.

The fact that Putin himself has publicly stated that he has no intention of occupying Ukraine, as well as the fact that he initially attempted to raid and behead Kiev, makes it very likely that he was trying to launch a reversal offensive in a temporary brinkmanship operation. However, the situation is protracted at this point, and Russia is being forced to reorganize its tactics during this time, and the impact of economic sanctions is expanding daily throughout the Russian state, and there are concerns about a domestic pushback. Above all, the cost of war is mounting. Soldiers have been deployed for months and have not rested, so it is likely that they are already losing motivation.
Under these circumstances, Putin will not be satisfied unless he beats the asses of his troops even more and brings Ukraine to its knees by force, or the Western powers, especially NATO, are inclined to make significant concessions, either of which will bear fruit. He has raised his own fist in the air, but as a result, he seems to have been driven into a corner by various boomerangs. In the most recent video of Putin, he rubs the ballpoint pen in his right hand violently while he is speaking, and he cannot hide his irritation. At this stage, it is obvious that the result of the urban siege will be urban warfare, and that the mud slaughter will slowly progress and wear both sides down. Russia has the whole world as its enemy, and even China will not play the role of mediator, and in such a situation, Russia would drive itself into a corner by using nuclear or even chemical weapons. Putin is not crazy enough to go that far.
It is difficult to predict what will happen in the future. If the war turns into an urban war and the Ukrainian army is so devastated that the leaders of the regime flee Kiev, Russia will win. However, the situation may remain deadlocked. The U.S., as the head of NATO, will not stand idly by and watch, and will no doubt be keeping Ukraine informed of the latest developments through satellite intelligence, communications intercepts, and whistleblowers. In addition, a secretly infiltrated military advisory group is probably working closely with the Ukrainian military to formulate a strategy and prepare to destroy the Russian forces that are storming into the city. This is the birthplace of the Cossacks, so I hope they manage to get a shot in the arm.

2022年3月 9日 (水)

ウクライナの戦禍をみて日本に欠けているものを実感した

Antibombtunnel
http://yutaka901.fc2web.com/page5aix10.html

毎日ニュース映像で流れてくるロシア侵攻によるウクライナの戦火。テレビやネットは、当然であるが軍事専門家の目線ではなく、一般市民の目線で発信する。そした状況で、ロシアのミサイル攻撃を避けるために、多くの市民が建物地下のシェルター(地下壕)や地下鉄へ避難する様子が映し出されている。これをみて驚かない日本人はいないだろう。日本で地下壕を保有した住宅なり高層団地など、みたことも聞いたこともない。旧ソ連領であるウクライナでは、核戦争を想定して地下壕を必ず保有しているのである。実は第二次世界大戦中、日本は住宅近くの崖などに防空壕を多数掘っていて、実際に空襲警報が出れば頻繁に避難していた。そうした防空壕はほとんど消えているが、地方都市の集落に行くと、まだ防空壕が残っているところがポツポツある。戦後平和ボケした日本人は、米軍に守って貰っているという「幻想」でこうした戦争への基本的な装備を怠ってきた訳だ。

また、圧倒的な戦力で攻められた時に、戦力が弱い方が何をすべきか、これも日本人は分かっていない。とにかくレジスタンスしなければならないのだ。ベトナム人が米軍を追い払ったのも、アフガニスタンでソ連軍が撤退したのも、すべてゲリラ戦の成果だ。ゲリラ戦を展開するには、一般人に紛れた武装集団を養成したり、ジャングルや地下トンネルなどに紛れて、神出鬼没の攻撃を加えたり、工夫が必要だ。今回もウクライナは侵攻前から一般人への武器の供与や手ほどきをやっていた。平時に一般人に武器を与えると犯罪に使われるが、いざという時はそんなことは言ってられない。一般人に武器を持たせれば、事実上国民総動員でのレジスタンスが展開できる訳であるが、日本のように徴兵制度がない国では、自衛隊に志願しない限り、軍事訓練など誰も受けたことがないし、一般人に軍事訓練などを施したら、警官が警告射撃しただけで全国ニュースになるようなお国柄なのだから、それこそ日本共産党や立憲民主党などが国会で大騒ぎすることになる。

幸い、日本の場合は周りを海で囲まれている。ロシアや中国がミサイルや空爆で一斉攻撃をかけて制空権を奪ったとしても、日本を制圧するには海から揚陸するしかない。しかし、潜水艦から攻撃を食らうので、そんなに大量の軍人を送り込むことはできない。また仮に上陸したとしても、日本の都市の背後にはジャングルと言えるような森林地帯があり、いくらでもゲリラ戦ができる。ウクライナのように、平原で国境を接しているところとは、地の利が全然違うのである。
国会では敵基地攻撃だのミサイル防衛など20年ぐらい古い議論をしているようだが、基本ミサイル攻撃を防ぐことはできないのだから、制空権を失ってもなお、制海権は絶対に譲らない、いざという時はゲリラ戦という戦略で国防を考えていく必要があるだろう。

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